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第十四話 大好きな友達

 お風呂から出て、寝室へ。

 客室に来たのだが、当然ながらボムはベッドに寝られない。そんなボムと寝るときは布団を敷く。しかし、結局ボムの分は足りないから、床に仰向けで寝る。それでも魔獣のときは、うつ伏せで寝てたからか、ボムは新鮮で気に入っている。


 今日は、ソモルンも一緒に、川の字でとも思ったのだが、ソモルンはボムの腹の上がいいらしい。その気持ちは分かる。

 ボムの腹は、モフモフで柔らかいのだ。一つ心配するとしたら、おデブさんが故に発病する無呼吸症候群だ。聖獣に適応するかは知らないが、心配ではある。


 それはさておき、詳しい説明をするためにもプモルンにも来てもらって、説明をしようと思う。


「ソモルン。ギフトを受け取ったときに聞いたとおり、もうすぐ旅に出なければいけない」


 途端に、悲しそうな顔をするソモルン。

 だが、説明しなければ、進まないのだ。


「創造神様を解放する旅に出るんだ。他にもやらなければならないこともある。今は一緒に行けないけど、地下で見た船が完成したら迎えに来るよ。そしたらまた、探検に行こう」


 瞳にいっぱいの涙を浮かべながら、コクコクと頷くソモルン。やっぱり泣かせてしまった。


「それまではたくさん遊ぼう。あとプレゼントがあるんだ。受け取ってくれるか?」


 コクコクと頷く。

 ボムに撫でられ、ようやく落ち着いて来たようだ。


 その前に、プモルンに聞いたことだが、星霊怪獣の星霊っていうのが重要らしく、星霊とつく種族は生まれながらに、創造神のペットとなるため、誰にもテイム出来ないわけだ。ただ例外はある。それが【隷属の首輪】だ。


 テイムスキルがないのに、テイムしたり、実力もないのに強力な魔物をテイムしたりするときに使う邪道アイテムだ。人間の場合は、奴隷に使われる。ただ星霊とつく種族は、効果が薄いらしく、動きが止まるくらいでしかない。

 つまり、テイムされてる生物を新たにテイムしようとするなら、主人を殺してテイムするのだが、これは強盗と同じで発覚した瞬間に、即お縄になる。


 この二人は目立つだろうから、犯人は即バレるだろう。王族や貴族以外は。ただ、ソモルンはテイムしていないのだ。ボムの方に隷属の首輪をつけようとしたら、はじかれるが、ソモルンの方は、はじかれない。

 ちなみに、俺のユニークスキルでのテイムでも出来ないそうだ。これが連れて行けない、一つ目の理由。


 次が二つ目だ。

 まず、この世界のテイマーは肩身が狭い。なぜなら、脳筋種族が基本六種族中の半数を占めることで、自分の力で闘ってこそだ。という、訳のわからない暴論を飛ばしているらしい。

 テイムスキルも、立派な自分の力だと言いたい。そして、そう言うと屁理屈だと、言われるらしい。


 さらに、実力もないし、意思の疎通も出来ないのに、どっかの阿呆が、街中で魔物を自慢していたらしいのだが、結果、その魔物は大暴れをし、街は壊滅したらしい。その事件の後、その話は瞬く間に広がり、テイマーは、街に入れるのも拒否するところがあったり、金銭を要求してきたりと、やられたい放題らしい。

 そこへ社会的地位が皆無で、珍しい生物を連れた子供のテイマーなんかが来たりしたら、厄介事に遭うことしか想像できない。


 ちなみに、他の戦闘職だよって言っても、魔物や動物を連れてたら、即テイマーになるらしい。

 このような規則にしないと、所有者不明の魔物がいるから、討伐や捕獲されても文句言えなくなってしまうというのが、根本にあるようだ。


 そんなことしてる暇があるなら、創造神様の願いを叶えるため、冒険しろよ! って言いたくなる。


 そんな訳で、社会的地位の確保をして、アイツの従魔に手を出してはならないっていう風潮を作ってからじゃなきゃ、迎えに来られない。

 まぁ一番簡単な地位の確保は、未踏破ダンジョンの初踏破だろう。ランクも上がるため、一石二鳥だ。ただ、ランクC以上はいらない。指名依頼が面倒なようだ。貴族に目をつけられる頻度も、高くなるというのもある。


 さて、話を戻すと、従魔もしくは使い魔には体のどこかに赤い物を身につけることが、義務付けられている。ボムは体が赤いから同化しそうだけど、それはそれでいいだろう。

 子機は、形を自由に好きなときに変えられるらしいから、人前だけでも構わない。プモルンは首の後ろのトゲトゲを変化させて、赤いマントにするようだ。


 ここまでを二人に説明する。

 もちろん機能も一緒に。

 そしたら、ソモルンは喜んで受け取っていた。形を変えているようだけど、完成したものは、小さいボムだった。色も完璧に同じ。相当ボムのこと好きなのだろう。ボムはというと、スカーフにするそうだ。その理由を聞くと。


「この腕は本物のソモルンを抱くためにあるんだ。目の前に本物がいるのに、抱かないわけないだろう。それに、首輪はいやだから他のを考えただけで完成ではない。それに寂しくなったら、ソモルンの形にしなきゃならないからな」


 照れながらそう言うボム。

 ソモルンも嬉しそうだ。

 寂しいのは自分だけではないのだと。

 その日は、みんな笑顔で就寝した。





 ◇◇◇





 とある場所。

 ラース達三人が笑顔で寝てる中、それを横目にはしゃぐ大人。


「やっと来たぜ。見ろよこの琥珀色の液体を。香りも味も抜群。一度でも飲んだら、忘れられないこの味。飲まないなんていう選択肢はないな」


「分かるぜ! 戦いと酒こそが人生の楽しみよ。祭壇もよかったけどな。こんな楽しいことに誘ってくれて、本当に感謝してるぞ」


「儂ももっと早くに知りたかったぞ。こんな素晴らしい酒……素晴らしい祭壇に巡り会えるなんて技工神として光栄だわい」


 火神、戦神、技工神の順でお供え物を楽しんでる最中である。




 一方の女神達はというと、こちらも三人で女子会である。まさか、話を聞きつけて来た豊穣神も来るとは思ってなく、二個ずつしかないものを三人で分けることに…。


(こうならないためにも純粋に水属性しか入っていない、魔石を送ったのに。まぁしょうがない。また供えさせればいいのだから)


「本当に美味しいわ。話半分で来てみたけど、正解だったわね。これなら、もっと早く知っていたら、いろいろ協力したのに……。あの適当コンビもたまにはいいことするのね」


「これが創造神様のためだと聞いて協力したが、確かに悪いものではないらしいな。聞くところによると、ソモルンとも仲良くしてくれてるようだし、今回の件は成功と言ってもいいのではないか? あの子達には、寂しい思いをさせてしまっているからな。創造神様を助け出してくれた暁には、私から褒美をやってもいいな」


「その通り。正解で成功なのだ。これからもいろいろ食べられるのだ」


 豊穣神、魔神、水神の順でこちらも言いたい放題。水神なんて威厳のある風に話していても、話の中身は食べ物のこと。あと、豊穣神に話をもらしたのは、もちろん酔っ払った、男神たちである。



 だが知らない。まだ知らない。

 自分たちが依頼したお使いがきっかけで、自分たちの首を、自分たちで占めることになるとは、欲にまみれた神々達では気づくはずもなかった。

 特に火神と水神……。





 ◇◇◇





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