第41話 お金が掛かりそうですね in 異世界
お待たせしました!(短めですが)
ゲームにハマって、少ない執筆時間も睡眠時間の一部もゲームに費やしてました(´ω`)
~前回のあらすじ~
・一階層の迷路を越えたよ!
階段状になっている通路を下へ下へと進んで、その出口に達した所で俺達は溜め息を吐いていた。
「うーん……いきなり迷路っていうのは想定内だけど……最初から四つの分かれ道か」
「三つが不正解ならまだ良いけど、正解と不正解の道があるなら厄介ね」
「これはちょっと、描きづらいかも」
リコルには頑張って貰わないといけない。なるべくは正解だけを選べたら最良だが、それは難しいだろう。とりあえずどの道から行くのかを決めないと。
「ルフィス、杖を立ててそれが倒れた方向に行こう。どうせ分からないなら、こういう方法だって面白いだろ?」
俺は詩葉さんに視線で尋ねて、頷きの返事を貰った。
別にこれで間違った道でも構わないし、運の高いルフィスに任せておけば、転んでもタダでは起きない感じに上手くいくと思っている。
「そういう事ならぁ~……えいっ! ……指したのは左上の道ですねっ」
「よし、じゃあ行ってみようか! 出会い頭での戦闘に注意しながらな」
ルフィスが杖で出した方向へ進んでいく。
初めて訪れるダンジョンなのにワクワクする余裕があるのは、成長と言ってもいいかもしれない。体力だって、転移によって身体が強化されているのもあるかもしれないが、前よりもはるかに身に付いたと思う。これだけ長距離歩けるなんて、昔じゃ考えられなかったもんな。
手慰みと言う訳では無いが、槍を回転させてみる。覚束なかった槍の技術だって、今はこんな事も朝飯前程度には出来る。
「ルフィス、ちょっと見て。槍を高速回転させる事で全ての攻撃を弾く……『槍車輪』!!」
「おぉ~!! 凄いですね、一縷さん! わ、私もっ」
ルフィスがくるくると杖を回す。回した杖の先から火とか出せたら、何となくだが格好良くなりそうだ。
そんな事をしながらも進んで行くと、右か左の分かれ道へと行き当たった。
「どっちに行ってみる?」
「うーん、悩みますねぇ。ちょっと相談してみますね!」
ルフィスが詩葉さんや聖女の所へと話に行って、すぐに戻って来た。どうやら初めて来た場所だし、進む方向はどちらでも良いとの返答を貰ったようだ。
もしかすると、宝箱という要素がある以上、行き止まりだと知っていてもあえて行くという事がこのダンジョンでは常識だったりするのかもしれないな。
「一縷さん、右に行ってみましょう!」
「了解した」
俺が曲がった先の警戒をして、特に何も無い事を確認してから進んで行く。視える範囲に敵は居らず、真っ直ぐ延びている地面の途中に曲がる場所が一ヶ所だけあった。
その地点でまた足を止めたが、リコルにマッピングだけしてもらい、まだ真っ直ぐ進む事になった。
「今までだって迷路の様なものでしたけど……ここは本格的ですね」
「そうだな……例えばルフィス、そこの壁に怪しげにある突起とかはなるべく押さない様にな」
「分かってますよ、流石にそんな怪しいのは……」
「ちょっと触ったら凹んだんですけどっ!?」
――うん、知ってた。
「ルフィス、周囲の警戒!」
「は、はいですっ!」
矢が飛んで来るか、槍が降ってくるか……何が起こるか分からない状況下、俺とルフィスは周囲に警戒を向けていた。詩葉さんはリコルと聖女を守ろうとしている。
何かが擦れる音の後に――レーロが押した壁の突起を中心に壁が地面へと沈んでいった。
「「た、宝箱!?」」
開いた壁の奥に赤色の宝箱が置かれていた。たしか、武器や防具、装備品関連が手に入る箱だったな。しかし……罠と見せ掛けた隠し扉か。今回はレーロを褒めなければならないかもしれない。
「レーロ! お手柄だぞ、宝箱!」
「ふ、ふ~ん! まぁ、このくらいは当然なんですけど~」
「罠だったらどうするのよ……まぁ、そんな事言ってたら何も見付けられないかも知れないけどね」
詩葉さんの言うとおりだな。得るには危険な選択を選ぶ必要がある。これも1つの冒険ってやつだな。
さっそく、勲章を与えても良いくらいの成果を出したレーロに宝箱を開ける楽しみを与えてあげた。
宝箱を見付けたのは、ボスを倒した時に出現した俺の単眼鏡を除くと、だいぶ久しぶりな気がする。
だから――宝箱に罠があることを忘れていたのは仕方の無い事だろう。
「おったから! おったから! 中身が 気 に な る ですけど~…………」
「あ。レーロ! ちょっと、まっ……!!」
プシュッ! っと、宝箱の隙間から霧吹きの如く液体が飛び出して、それがレーロの顔に付着した。
俺とルフィスが慌てて駆け寄り、レーロの状態を確認すると、顔が赤く、目の焦点も定まっていない。おそらく毒性の液体を浴びてしまったのだろう。これは……俺に治せない。詩葉さんに頼むしか無いだろう。
「詩葉さん、レーロが状態異常を引き起こしたっぽい!」
「うぅ……きゅ~~~っ」
「あぶねぇ!!」
フラフラな足取りで、仰向けに倒れそうな所を何とか支える。意外と軽い。
そのまま地面に寝かせて、後は詩葉さんにお任せだ。詩葉さんに任せておけば大丈夫という安心感が、ハンパじゃない。
「これは……酩酊しているわね。毒じゃないけど、いえ……毒じゃないから逆に面倒かしら」
「酩酊って事は、酒で酔った時みたいな感じだよな? 状態異常扱いにはならないの?」
「ならないわね。細かく言っても混乱するだけだろうし、言わないけど、とりあえずはそうよ。まぁ、時間が経てば勝手に治るわ」
治るという言葉を聞いて、リコルがホッとした表情を見せた。聖女は祈りますと、自分に出来る事をやろうとしてくれていた。
話し合いの結果、まだダンジョンの上層という事で戦闘はルフィスに任せ、治るまでは俺がレーロを背負って行く事となった。詩葉さんはリコルと聖女の安全確保やアドバイス係りだし、手が空いているのが俺しか居なかったという話だけど。
「レーロ、お前の犠牲は無駄にしないさ」
「いや、一縷さん、レーロさんは死んでは無いですよっ!?」
横になっているレーロにそう声を掛けて、解錠された宝箱の中身を確かめた。
「これは……弓か?」
形は弓と同じだがデザインというか、装飾が少し派手だ。白を基調に、緑の線が所々にあしらわれている。宝箱に入っていたのは、派手だがどこか美しさのある弓だった。
「詩葉さん、武器だった! 鑑定よろしくどーぞ」
「ちょっと、貸してもらえる? ……うん。そうね、評するならそこそこって所かしら? 冒険者として生活に余裕が出た頃に買える武器ね。もう少し魔法の力が強ければ価値も変わるのだけど」
「魔法の力……です?」
ルフィスと同じで、俺もそこが引っ掛かった。でも、流石に俺でも予想は出来る。ルフィスの持つ魔法発動の手助けになる武器や、リコルの御守りの様に直接魔法を発動させるアイテムがあるのだ、きっとこの弓もその類いの代物なのだろう。
「えぇ、魔法の込められている弓にも複数の系統はあるけど、これ系統の武器は普通の弓と違って、矢がいらないのよ。ちょっと、見てなさい」
そう言われて詩葉さんを見ていると、矢の無い状態にも関わらず弓を引き、発射直前の状態に構えた。
そして――そのまま指を離し、目に視える形となった緑の矢が、離れた場所の壁に衝撃音を鳴り響かせたのだった。
「す、すげぇ……」
「ま、見て分かったと思うけど……この弓は風の力が備わっているわ。だから当然、雷魔法しか使えない一縷君は使えないし、ルフィスも無理ね」
「いや、でも……それでも、十分に凄くない? 発射されるまで視認出来ない所とか!」
モンスターに対する後ろから不意の攻撃に使えるし、矢が要らないという事だってメリットだろう。
「まぁ、でも魔力はきっちり消費されるし……ルフィスこの弓を引っ張ってみて?」
「あ、はい! やってみ……っ!? お、重たいですぅ!」
「……マジか?」
「ま、一縷君の筋力なら問題無く引けるでしょうけど。それでもデメリットだってちゃんとあるのよ。美味い話は中々無いのよね」
俺もルフィスから弓を借りて試してみた。確かに引けない事は無いが、明らかに普通の弓よりも引っ張れない。ルフィスだってレベルは上がってる筈なのに……。
そうなると、この武器をいったいどうするか……となるのだが。
「うぇっへっへ~なんですけどぉ~」
「とりあえず、弓と言ったらエルフだろ。レーロが元に戻ってからまた考えよう」
「……そうね。じゃあ、ルフィス。先頭は任せたわよ」
「はいっ!」
いつまでもここに留まっても仕方ないという事で、俺達はまた迷路を歩きだした。
背中に感じる柔らかさをこっそりと堪能しておくが、決して表情に出してはいけない。出したら死ぬ。物理的にも精神的にもだ。
「どこみゃでも、ちゅいて行きゅんでしゅけどぉ~……むにゃむにゃ……」
◇◇◇
「うぅ……頭が痛いんですけど……」
レーロが少しばかりの正気を取り戻したのは、三階層に辿り着いて、これまたさ迷っている時だった。
しばらく眠っていて、ようやく目を覚ましたかと思えば、頭の痛みを訴え……それと、何故自分が背負われている状況なのかもよく分からないといった感じだった。
宝箱を見付けた所までは覚えているらしく、それからどうなったのかを説明したが、どうやら上手く頭が働いていないみたいで、レーロが状況を理解しているのか怪しい所だ。
「あぅぅ……もう少し揺れないで貰えると助かるんですけどぉ……」
「はいはい、気を付けますよ。というか、エルフってお酒飲めないのか?」
「それは違うわよ。あのタイプの罠はどんなに酒が強い人でも酔いの状態にするの。エルフだってお酒は飲める筈よ……たしか、エルフの作る果実酒は名品だった筈だし」
後方組に混ざると、会話のキャッチボールがあっちこっちに飛んで盛り上がる。一人で少し前を歩いているルフィスには悪いが、結構楽しいもんだな。リコルはマッピングに集中しているし、実際に話しているのは俺と詩葉さんが主だったりするけれど。
「果実酒ねぇ……美味しいのかね?」
「さぁ? 私も飲んだ事ないから分からないわ」
「異世界だしさ、俺の年齢でも飲めたりしないの?」
「たしか、この世界だと年齢制限は特に無かった筈よ。まぁ、高いから子供に飲ませる事が少ないだけで」
何だか一問一答みたいになっているが、知ってる事の多い詩葉さんに、ついつい聞いてしまうのは仕方の無い事だろう。
「たしか……そうよね? 聖女」
「はい~、果実酒は私も嗜みますよ~」
「回答がズレてるのはいつもの事だからいいんだが……まぁ、つまりは修道女だってお酒は飲むってことね。エルフの果実酒か……いくらになるかな?」
飲むのにだって興味が無い訳では無いが、値段だって気になる。きっとかなりの値打ちが付くだろうし、値段によっては売った方が助かるだろう。だが、エルフ産の品物を売るのはリスクはありそうだけど。
「一縷さーん、この先の分かれ道を右に曲がると行き止まりみたいですよっ」
「了解! じゃあ、少し休憩にしよう」
真っ直ぐ進み、そのまま真っ直ぐか、左か右に別れる道を右に曲がり、詩葉さんの魔法で壁を作って休憩に入った。
レーロをゆっくりと降ろすと、そのまま地面に寝転がってしまった。まだ、酔いは覚めていないのだろう。
「……今日はこのままここで終わりにしておきましょうか」
「っ!? マジか……もうそんなに時間経ってた?」
「えぇ、戦闘はあっさり終わるし、そもそもそんなに戦って無いから疲れては無いと思うけど……もうね」
確かに迷路をさ迷ってマッピングして……思い返せば結構な時間を歩いていた気がする。それでも、一日掛けて最初の二階層分しかルートを確保出来ていない。
つまり、この先の事を考えると、一日で一階層も攻略出来ない日がやって来る……という可能性があると言うことだ。
「ヤバくない?」
「ヤバいわね……ペースが遅いのは仕方ない。でも、最初の階層で躓くと、金銭的に今後厳しくなるでしょうね。この階層の素材は売れない。宝箱を探し回る余裕なんて無い」
詩葉さんに現状を伝えられ、ルフィスも聖女も危機感は感じている様だ。聖女のお布施作戦だって、こんな下の階層じゃあまり頼む人は居ないだろう。
ついに……やるしか無いのか、アレを。
「という事で計画の変更をするわよ! ダンジョンは七日の内の五日間! 行きと帰る事を考えると三日間と少しね。休日に一日を当てるとして……残りの一日は、お仕事をして貰うから」
攻略ばかりに専念した事によって、冒険者としてのランクの低い俺達だ。そんな俺達に割りの良い仕事なんて無いだろう。
ここに来て低ランクが裏目に出るとは、流石に思わなかった。
「今日はここで泊まって、明日も攻略。少し早いけど明後日は帰還するわ。割りの良いクエストを……探すわよ! ……裏の」
ポツリと、最後に不穏な一言が聞こえてしまったが……犯罪じゃない事だけは願いたい所だ。
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