第38話 やはり指名手配されてたか in 異世界
すいません……最近なんかこう……全然書けてなくて今回も短めです。
よろしくお願いします!(´ω`)
帝国を出発して早くも二週間。ようやく半分くらいは進めた感じだ。
転々と街を目指しながら進んで、食料を調達したらすぐに出発をしているから最速で動いているのは間違いない。
滞在する時間が長ければ長いほど……何かに巻き込まれるのは分かりきっている事だ。それに、聖女が起きてる間は魔物に襲われる心配が無い為、レベルアップが難しい状況で、一刻も早く次のダンジョンに潜りたい気持ちが大きかった。
詩葉さんとの訓練や自主トレでスキルのレベルを上げようとはしているが、やはり実戦の方が効率的なのは間違いなかった。
「今日は少しだけ風が強そうですね?」
「この馬車だとそういうの防げるから助かるよな。詩葉さんとリコルは……魔法で巧く対処してるみたいだ」
新しく手に入れた……もとい強奪した馬車の乗り心地は、貴族が使っていた代物なだけあって、流石の一言だ。
雨が降っても慌てずに休めるし、砂埃だって防げる。太陽の熱だって気にしなくて済むのだ。
操縦席に居る詩葉さんとリコルは風の影響を受ける筈なのに、髪が全く揺れていない。つまり、魔法を発動させているのだと分かる。器用というか……いったいどれくらいの時間継続しているのか気になる所だ。
「揃いました~、私のアガリですね~」
「ふぃぃー! また最下位なんですけどぉー!」
そろそろ新しい遊びでも考えないと、トランプだけでは限界だ。
こうも毎日やっていると、流石に飽きてくる。買った本だって読み終えてしまったし。
何より……運の低い俺が勝ててしまうレーロの弱さが何とも言えない。だいたい最下位か下から二番目という成績だ。
「もう一回お願いするんですけど!」
「皆、レーロがギャンブルに走らない様に注意しておいてくれ」
「ですね……最後の最後で負けちゃいますし」
弱いのに負けず嫌い。絶対にカジノで破産するタイプだろう。「コツは掴んだ」「次は大丈夫」と言う台詞が、既に負けフラグなのだ。
だが、暇なのは変わらない。レーロの足掻きに付き合ってやろうとトランプを配り、暇潰しを再会させた。
昼頃まで何回もゲームを変えて勝負したが、レーロが一位になることはついぞ無かった。
◇◇◇
「そろそろ食料が危ないわね……」
「あれ……? 前の街でかなりの量を買ってなかったっけ?」
「買ったわよ? 買った上で……ね」
今やパーティーに六人のメンバーが居る。一回の食事の量も大変になってきて、詩葉さんやリコルには感謝しかない。
だから、せめてものつもりで買い物には付き合っている。一回で移動中の分を纏めて買う為、大量になってしまうのは重々承知だったのだが、まさか……あの量がこんなにも早く無くなるとは、思っていなかった。
聖女がよく食べるのは知っていたが、最近はルフィスも食欲旺盛でレーロもめちゃくちゃ食べる。それを見越しての買い物だったのだが、それを悠々と越えてくる辺り……成長期の恐ろしさが伺えるな。
「次の街か村までは持ちそう?」
「大丈夫だとは思うけど、もしもの時は森で何かを取ってきて貰いましょう?」
「そうだな……とりあえず皆には節約生活とだけ伝えておくよ」
なるべくは寄り道はしたくないしな。あと数日くらいなら皆だって我慢は出来るだろう。詩葉さんの飯が美味いからつい食べちゃう気持ちは分かるが、食い過ぎっ子達には我慢して貰わないとな。
「お昼ご飯をガツガツ食べてる時に悪いけど、次の街までは食料の節約期間に入るから」
全員の手が止まり、信じられない事を聞かされた様な顔を向けてくる。残念だが嘘じゃない。ダンジョンと違って売れる素材を手に入れてる訳でも無いし、食費だってバカにならないのだ。節約と言ったら節約をする。
「次の街に着くまでさ。それに、エルミック王国に着いたらまた稼いで沢山食べられるだろ?」
「うぅむ……それなら我慢するんですけどー」
「そうですね……後どれくらいで着きますかね?」
「ふ~、私はお祈りの時間に入るのですよ~」
納得してくれてはいるみたいだが、食事のペースが一気に落ちた。聖女だけはいつも通りだが、ルフィスとレーロは一口一口を味わって食べている。
量が減るだけだと軽く念を押して、その場を離れた。近くで一緒に食べると、オカズを盗まれる恐れがあったからだ。食べ物での争いとか絶対にしたくないしな。
お昼御飯を食べ終えるとまた出発だ。お昼寝をする聖女、トランプをするルフィスとレーロを横目に、俺は窓の外を眺めていた。今は特に楽しむ景色の無い所を走っている。こんな景色があと数日は続くのかと思うとやるせないが、飛行機や新幹線の無い世界だし仕方の無い事だ。
こんな時は聖女を見倣って寝るに限ると、窓から目を離してソッと閉じた。
◇◇
夜は見張りをして昼間に寝る生活を続ける事、数日。ようやく大きめの街が見えてきた。
これで食料事情も良くなると、ルフィス達が喜びだして意気揚々している時に、レーロがちょっとした異変に気付いた。
「私、遠くを視るのは得意なんですけど……門の所に手配書が貼られているのは初めて見るんですけど?」
「詩葉さん、ちょっとストップ!」
手配書だからと言って、俺達の事とは限らない。もしかしたら街で事件があって、その犯人の特徴が書かれているだけかもしれない。でも、念のために詩葉さんには止まって貰った。近付いてから急に方向を変えたんじゃ、怪しすぎるからな。
「どうしたのよ、急に」
「うーん……この望遠レンズでもギリギリだなぁ」
まだ距離があるせいで、特別大きく飾られていない手配書が見辛かった。だが、読み取れる場所も確かにあった。『ローブ姿』『六人組』……少し大きく書かれてるその文字を読み取れた瞬間に、俺は確信した。
――俺達、犯罪者になっちゃった! ……と。
これは恐らくだが、ギルドの通信手段を使って周辺の連絡が届けられる場所に片っ端から連絡したのだろう。今まで通ってきた場所は、急な事で対応が遅れていたのだろうな。それはラッキーだったが……ここから先は面倒がありそうだ。
「詩葉さん、というか皆。俺達……指名手配されてる」
「そう」
「わ、悪い人になっちゃったの!?」
「何でですかぁ!?」
「ふへ~……バレてエルフの評判を下げるわけにはいかないんですけど」
「あらぁ~、困っちゃいますね~」
きっと常識人は慌てて、ネジの一本でも抜けてる人は冷静なんだろう。俺は常識人だと自分では思っているが、それほど慌てて無い事に気付いてしまった。
今更指名手配された所で……と、少し軽く感じているのは事実だったりする。こんな試練程度なら、問題無く乗り越えられる手段と仲間が居るからかもしれない。
「ここはともかく、エルミック王国で生活し難いかもな?」
「手配書には何て書いてあるの?」
「えっと、読み取れる所だけなら……六人組とローブ姿って書いてある。もしかしたら貴族の馬車とも書いてあるかもよ?」
帝国が発信した情報なら、あの場で知れた限りの情報を拡散しているだろう。子供連れ、男が一人……なんて情報も流れている可能性がある。
「簡単じゃない。レーロとルフィス以外はローブを脱げば良いわ。それなら別によくあるパーティーだし。一縷君がリコルを背負って見えなくしておけば五人組の完成ね。それか、また皆消えれば良いじゃない?」
「馬車はどうするんだ?」
「勿体無いけど、紋章を削りましょう。貴族用の出入り口を使えなくなるのは残念だけど」
詩葉さんの考えを聞いて、馬車を運転する詩葉さんと搭乗者として聖女を含めた二人は普通に進み、俺達四人は消えて街へと侵入する方法を取る事になった。
やはり問題となるのはエルフの存在だ。その中でもレーロは特に注意をしなければならない。一度、消えてる時にくしゃみをやらかしている事実がある。それに……こんな風の強い日には、無事に侵入が成功しても街中でローブが外れる可能性があるのだ。
「痛くは無い?」
「窮屈なんですけど……」
その為、レーロには対策を施した。
耳を可能な限り押さえ付け、布で耳を顔ごと巻き付け、髪で覆い隠すという偽装。
少しキツそうだが、とりあえず耳が目立たない事を最優先に実行してみた。これは今後も街中ではやって貰わないとだな。
馬車については正直どうなるかは分からない。紋章を消し、聖女に馬車の中で優雅に座って貰う所までは決まったが……後は詩葉さんにお任せだ。
「じゃ、ゆっくりと走るからとりあえずは馬車の後ろをついて来て。門が近くなったら消えて一気に進むこと。いいわね?」
「了解だ」
流石に、ここから消えて走るのは魔力が心配になる程遠い為、馬車の真後ろを走って隠れながら近付く。
門番からみて真っ直ぐになるように、横に広がらずに走れば見えないだろう。本当は……レーロ以外ならローブを外して普通に入る事も出来たかもしれないが、念には念を。それが俺達のやり方だからな。
計画を立てて準備が整ったなら、すぐに行動する。
ジョギング程度のスピードで走りながら進み、タイミングをみて後続の俺達は消える。音もなく、姿もなく走り出す。手が離れない様にしっかりと握って、並んでいる者達の横や門番の後ろを通って街へと侵入した。
◇◇
人気の無い場所に移動して、姿を現した俺達は詩葉さんがやって来るのを、物陰から見ながら待っていた。
「そうだ、エルミックで思い出したけど……ルフィスの知り合いの王女様が居るんだよね?」
「えぇ、居ますよっ! と、言っても余り会える機会は無かったんですけどね……。たまにですが、手紙のやりとりはしてましたよ?」
たしかラッカーラでチラッと見た記憶がある。あんまり覚えて無いけども。
友達なら会いたいと思ったりするのだろうか? でも、二大国のお姫様。国の為に動くとしたら、ルフィスの存在は隠せ無いだろうし……会うのは難しいかもしれない。
「会った時に何故か態度がツンツンしているんですよね……手紙ではそんな事は無いんですけど」
「その子に直接会って話したいとは思う? 魔王が現れれば俺達も隠れずとも大丈夫だと思うし……時間は掛かるかも知れないけどチャンスはあるかもだぞ?」
ルフィスの話を聞く限り、エルミックの王女はツンデレなお姫様らしい。
どこか物憂げな表情……もしかしたら心配しているのかもしれない。
「大丈夫ですよ、一縷さん! 全てが終わってからでも遅くはありませんし、シェリーの重荷になっちゃうかもしれませんし」
「そっか。まぁ、エルミックに着いて考えが変わったらいつでも言って良いぞ。城に忍び込むくらい手伝ってやる」
「へへっ、犯罪ですよ? 一縷さん」
もう犯罪者だと言っても良かったが、何も言わず、ただ何となく笑ってみた。
小さな声で会話をしていると、さっきまで俺達も乗っていた見慣れた馬車が街へと入って来た。その操縦者の余裕の表情がとても頼もしく見える。
俺達はそっと姿を消して、馬車に近付いてドアをノックする。
馬車が脇道に停車するのを待ってから、一気に乗り込む。侵入成功だ。
さっさと食料を買い漁って街を抜けますかね。
◇◇◇
最後に大きな街を経ってから約一週間。俺達が住んでいた世界では暑さが残りつつも、だんだんと涼しくなっていく季節。この世界に来てから半年以上の月日が過ぎた。
そもそも俺達がこんなに国を転々としているのは、かつて詩葉さんが使っていた装備を集める為で……それも、この国のダンジョンで最後となる。
――エルミック王国。
帝国ほど武力が秀でている訳では無いものの、食料自給率や武器の製造……周辺諸国と比べても国力は頭の一つや二つは高いらしい。
「帝国よりは殺伐として無いと思いますよっ!」
「なるほど、なら好きになれそうだ」
この国も帝国と同じく人や物の出入りが激しく、順番を待たされている。
夜までに何とか入りたいとは思うけど、ギリギリになりそうだ。
「レーロ、お前の住む森はもっと遠くにあるが……ここから歩いて帰るという手もあるけど? うん、良い考えじゃないかな!」
「おっと……厄介払いしようとしても無駄なんですけど! 森の近くに行くまで居座るんですけど!」
「……ちっ」
駄目か。レーロは言うなれば爆弾だ。
上手く扱えば強力な武器だが、失敗すれば自滅する。しかも、爆弾自身が勝手に爆発しかけるリスク付き。どの国でもエルフを拐ってはいけないとなっている現状で、いくら『エルフ側から仲間になりたいと懇願してきた』と言っても、信じて貰えないだろう。引きこもりエルフというイメージがあるからだ。
「チッてした! 今、チッてされたんですけど!? 黙って俺について来い……って言ってくれたのを覚えてるんですけど! 最後まで面倒をみて欲しいんですけどー!?」
「お、俺……そんな事言ったかな?」
ルフィスの顔を確認してみると、一回だけ頷かれた。
いつの間にそんな格好良い台詞を言ったのか覚えて無いけど、実際に言ってるらしい。
その後も、せめてレーロを王国に居る間は宿でお留守番の役に就かせようとしたが、ついて行くの一点張りで押しきられてしまった。
確かに実力はあるのだが、俺とルフィスの修行がメインだし出番は無いのだ。一人で暇と言われたら、返す言葉は見付からないがな。
日が傾いて、水平線に沈もうとしている頃になって、ようやく俺達の順番が回ってきた。
詩葉さんからレーロだけは念のために隠すように言われていて、馬車の中には三人で詩葉さんとリコルは操縦席に居る。
荷物の多い商人でもなければ、指名手配の情報とは食い違っている為、さほど時間も掛からずに王都へと入る事が出来た。
指名手配の情報は届いている筈だが、まだ帝国に居ると思われているのだろうか、特に怪しまれる様子も無かった。
「お兄ちゃん、まずは宿屋を探して部屋を確保するんだって!」
「了解。って事は……明日が準備で明後日からダンジョンかな?」
操縦席からリコルの伝言を聞いて、明日からの予定を考える。
いつも通りなら、ギルドへは詩葉さん、買い物へはレーロを除く他の女子チームなのだが、王国となるとルフィスは控えた方が良いだろう。
となると、詩葉さんとリコルがギルドで俺と聖女が買い物に行くパターン。
まぁ、結局はその日の気分次第で変わってくるんだけど。
ゆっくりと馬車は進んで行き、宿屋の空き状況を確認しては次の店を探して進む。
すっかり日が落ちた頃に、ようやく条件の良い宿屋を見つけ出せた。
「明日は買い物に出掛けるわ。それについても、その後の事も全部明日にするから、今日は早く休んで疲れを取りなさい」
「久し振りの宿だしな……ゆっくり眠れそうだ」
明日の予定はやはり買い物で、今日はそれだけ伝えられるとすぐに解散となった。
たしかに移動ばかりで精神的にも疲れていたし、久し振りの宿という事でグッスリ眠りたい気分だった。
「じゃ、おやすみ」
他の皆が泊まる部屋を出た俺は、自分の借りた部屋へと向かう。
今度こそ問題無く修行が出来るようにと祈ってしまう。その願いは無駄であると、心のどこかでは理解はしているのに。
そこまで広く無い一人用の部屋に入った俺は、鍵を掛けるとそのまま布団へと潜り込み……目を瞑って眠りについた。
誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!
先週に引き続き、いつもより短かったと思うので、何となく書いてみたラブコメでも投稿してみようと思いますよ!(いつも通り書き溜め無し)
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