第15話 槍が壊れた!? in 異世界
すいません、少し遅れました!
よろしくお願いいたします!
格好良く決め台詞を言い切ったと思ったら、パーティーの皆にはアッサリと置いていかれてしまった。慌てて俺も29階層へと降り立ったが――ここは……。
「見える範囲に岩人間、岩鳥、岩豚人、岩鬼人がいますね…」
「その上、数もそこそこ居るみたいだな。流石…ボス階層の1つ上だ。うん、魔法を抜きにしたら俺にとっては1番苦手な階層だな。」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、大丈夫?」
「リコル、心配は要らないわよ。一縷君もルフィスも問題なく対処してくれるでしょうし。……とりあえずここも魔法で突破よ!」
「了解」
「分かりました!」
俺が動きの速い岩鳥と岩鬼人を魔法で消し去り、ルフィスが水の魔法の練習をしながら岩人間と岩豚人を粉々にしていく。この20階層は魔法の使える人間にとっては楽に鍛えられ、楽に素材を採れる良いポイントだな。
逆に俺みたいに槍だけとか魔法を使わないで来ようとすれば難所も難所である。結局、後半のゴーレムからは俺も消滅魔法を使ってしまうくらいには。
「今日でボスを倒したら1度、地上に戻りましょうか」
「賛成!そして、休暇は2日を申請します」
「駄目よ!馬車馬の如く働いて貰うわ!……と、言いたい所だけどこの次はもう、ここの最下層まで攻略するからそれでも良いわよ」
「よし!ぐっすり眠れるぞ!」
「その前にちゃんとボスを倒しなさいね?恐らくキングオークは確実に居ると思って良いわね」
あれか、あれは確かに厄介そうだ。ゴーレムじゃ無い限りは魔法も使わないでやらないといけないだろうし……ま、とりあえずはここを突破して休憩かな?
「俺とルフィスで何とか倒してみせるよ!な?」
「そうです!詩葉さんはリコルちゃんを守っていてください!」
「勇ましいのは良いけど…」
「「油断はしない!」」
「そういう事。じゃあ進みましょうか」
29階層で出会う敵をボス前の最後のレベルアップとしてどんどんと倒していく。そして、ルフィスの魔力がそろそろ危なくなって来た所で俺を先頭に置いて下への階段を探しに走り出した。
◇◇◇
「ふぅ…!やっと…見つかったか……」
「ありがとうございました、一縷さん」
「ん。あのまま迷ってたら流石に魔力も危なかったかも…モンスターが思ったより多かったな」
気のせいか、気のせいじゃないかは分からないが下の階層へ進む度にどんどん広くなっている様な気がする。つまりは三角形の上が入り口でそこから降りて行っている様な感じである。
更に…曲がり角も増える分、迷いやすい。モンスターとの出会い頭での戦闘に気を取られると、自分の立ち位置を忘れてより迷ってしまう。白金さんは分かってるのだろうがそういう事は教えてくれない……自分の体で覚えろというスパルタ具合だ。
「ここらで一休みしよう。流石にボス前なら魔力を回復しておかないと不安だし…」
「詩葉さん、薬を…薬を…」
ルフィスが詩葉さんに薬を求めているが、勿論、怪しい薬では無くて魔力回復薬だ。言い方があれだからヤバイ薬だと思ってしまうが……ん?魔力回復薬がいつから合法だなんて思ってしまったのだろうか?実はヤバイ薬なんじゃ……。
「待て、ルフィス。白金さん…魔力回復薬って本当に人に大丈夫な薬なのか?」
「うふふ」
「ルフィス、お前…今まで何回飲んだ!?」
「え?数回は飲んでますが…」
「くっ!!ルフィス…可哀想に」
「可哀想って何ですか!大丈夫ですよ、特に何かが起こってる訳でもありませんし!ね、詩葉さん!?」
「まぁ、大丈夫…よ?」
「歯切れが悪いです!?ちょ、ちょっと、何かあるんですか!?」
「…る」
「え?何ですか?」
「太る…わ。ルフィス、晩御飯の時…結構食べていたでしょ?魔力回復薬はエネルギーを変換して回復しているから、どうしてもお腹が空くのよ」
「う…そ…?」
「ほら、でも動いて…いや、ルフィスは後方から魔法だしあまり動いて無いわね…」
「い、嫌…。イヤ…イヤ……イヤーーーーーーーーーーー!!!!!!」
30階層にルフィスの叫び声が鳴り響いた瞬間であった。
◇◇
「ルフィス、大丈夫だって……変わってないよ、変わってないから…腹筋とか止めて休憩しろって!ボス前で疲れてどうするんだ!?」
「一縷さんには分からないんですよ!少し服がキツくなった時の絶望感が!女の子にとって体重や体型の変化は大事な事なんですから!ふん…ふん…ふん!」
「ルフィス、言わなかったのは悪いと思うけど……飲まないとやってられなかったでしょ?運動はこれからすればいいのだから、今は休みなさいな」
「詩葉さんのバカーー!私は詩葉さんの様な体つきじゃないんです!太りやすいんですからぁ!!ふん!ふん!ふん!!」
ルフィスは全く聞き耳を持たずに運動をしている。俺は槍を普段から使っていたから前より筋肉は付いた。それで多少の体重の変動はあったが気にならない。確かに男の俺だと女の子の体重うんぬんについては理解出来ないのかもしれない。が……
「ルフィス、痩せ過ぎより少しは肉付きの良い方が男受けは良いぞ?」
「……っ!?一縷さん、それはどういう事ですか?ちょ、ちょっと詳しく話して貰って良いですか?」
「お、おう」
「一縷君、私も特に興味は無いのだけれど一応、一縷君の考えなら聞いといて損は無いと思うしいいかしら?」
「あ、はい」
「お兄ちゃん、私も!」
「んー、リコルはまだ大丈夫かな?リコルはそのまま育ってくれればきっと素敵な女の子になると思うし?」
「ホント!?ホントのホント!?」
「もちろん!本当だよ」
「じゃあ、リコルは素材の整理しておくね!」
リコルが機嫌良さそうに作業に移ってくれた。それから俺はダイエットの危険性と細すぎる時の綺麗さより心配の方が勝つという事について…。
「確かに太り過ぎると、自分に甘そうとか、だらしないイメージもあるが…太もものムチムチ具合の様に要所要所でのムチムチさは男にとっては拝み倒す代物だ。だからルフィス、お前は痩せすぎない事を考えて適度に運動をすれば良いわけだ。…分かった?」
「一縷さんは…いえ、何でもないです」
「なに、今の間!?詳しくって言ったのはルフィスだよな!?」
「一縷君、体型の維持は難しいのよ?多少痩せていてもそこは許容して欲しいわね?」
「も、勿論。今、話した事を全て否定してしまう事を言うと……結局は知らない人100人の太ももよりも、好きな人1人の太ももの方が価値があるって事だ。以上です…っと」
「何故に太ももに拘っているかはあえて聞かないけど…だいたい理解したわ。つまり一縷君は私の太ももに価値があるって言っているのね?」
「うん……うん?」
「価値が無い…と?」
「い、いえ!あります!ありますとも!」
凄い殺気を感じて思わず肯定してしまった。まぁ、白金さんの太ももは張りがあって美しいから価値はめちゃくちゃ有ると言っていいだろう。
「そうよね。うんうん…さ、ルフィスとりあえず休憩なさいな」
「はい!私の体型にも価値はあるんですよね!?一縷さん?」
「お、おう。とりあえず休んでくれるなら何でもいい…」
やっと休憩に入ってくれたルフィスに魔力回復薬を飲ませて、ついでに俺も飲んでみた。味は何か……草だな。うん、草の味がする。にっがい…まっずい…。でも、体の中がポカポカしてくる。
「青汁より不味い」
「そんなもんよ。でも魔力は回復していると思うわ」
「そんな感じはするよ。ポカポカする…これがエネルギーを変換してるってことかな?」
「一縷さん、後でお腹が空くんです!気を付けないとついモグモグって食べちゃうんですよ!」
「気を付けないと…でも、後で運動したらいくら食べても良いと思ってしまう…!!」
「分かります!!」
……俺達はしばらく休憩をした後にボス部屋に入るべくして動き出した。キングオークなら俺とルフィスの二人で危うげなく倒せるだろうし、本当に危なかったら消滅魔法で消し去ってしまえばいい訳で……そんな安易な考えの元、俺達はボスへと挑もうとしていた。
「よし!扉を開けるぞ、準備は良いな?ルフィス」
「はい!いつでも行けます!」
◇◇◇
「無理」
「ヤバイです」
「「逃げろ!!」」
俺達はボス部屋に入った直後、さっきまでの勢いが嘘かの様に逃げの一手に決断した――けれど白金さんが笑顔で『倒せ』…っと言っている。キングオークは覚悟していた。
だが、2メートルくらいのキングオークに加えて同じ体格のキングオーガ…さらには十数体のゴーレムは予想していなかった。ここは戦略的撤退が正しい判断だろうに…。
「ダメだルフィス、白金さんが入り口からどかないつもりだ!!」
「一縷さん、どうするんですか!?む、無理じゃないですか!?」
「くそっ……世の中無理でも上司の命令ならやらなくちゃいけない事がある!ルフィス、俺がゴーレムをすぐ消し去るからオークはとオーガを引き受けろ!後は俺がオーガを引き受ける!!」
「分かりました!一縷さん、目を伏せていてください!」
「ん?どういう……?」
「白く輝き闇を照らし、見えぬ道を明るく染めよ!!『光玉』!!」
『ブモォォォォォォォォォ!!?』
『ガァァァァァァァァァァ!!?』
「目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「い、一縷さん!?目を伏せてと言ったじゃないですか!」
目が開かない!?まぶしっ!伏せてと言ってから魔法の発動が早いんだよぉぉぉぉ!?
「『火の砲弾』『火の砲弾』『火の砲弾』……一縷さん、早くしてください!1人じゃ無理ですよ!」
「もう少し……もう少しだから!」
誰のせいだと……!!目が開きそう。目がちょっとでも開いてゴーレムさえ見えれば消せるのに!でも、まだ開かないぃぃ!!
俺は目を手で覆って何とか少しずつ開けようと試みて、数十秒後にようやく目を開くことが出来た。キングオークとキングオーガは手持ちの武器を振り回しているがまだ目の方は回復していないみたいだ。
「『ロスト』『ロスト』『ロスト』『ロスト』――――『ロスト』!!」
開いた目の隙間から消滅魔法で見える範囲にいるゴーレムは全て消し去った。……どうやら撃ち損ないは無いようで残るはキングオークとキングオーガだけである。
「ルフィス、オークといえどキングだし速い。距離を取ることを忘れるなよ!」
「はい!!オークは私が倒します。一縷さんはオーガをお願いしますね!!」
「任せろ!……うしっ!目も大丈夫だ、行くぞ!」
俺は足下にあった石をオーガに投げつけて意識を俺の方に引き寄せる。石がぶつかったオーガもうっすらとこちらを睨み――
「あっぶねぇ!!」
『ガァァァァァァァァァァ!!』
躊躇いも無く俺に向かって突っ込んで来た。横っ跳びで回避は出来たがオーガはまたしても走って突っ込んで来る。
「…っらぁ!!」
今度は最小限の安全を確保した回避で槍の突きをオーガに当てたが……どうやら浅すぎたのかダメージは無いようだった。
「硬い……な。黒っぽいオーガとの戦闘が当てにならないレベルだ。けど、岩ほど硬い訳じゃないし弱点は変わらないだろう」
『グルラァァァァァァァ!!』
ついにキングオーガは、手持ちの1メートル以上の石の棒を使い始めた。地面が抉れる事からその石の硬さとオーガの力が見て取れる。当たってしまったら運が良くて骨折、当たりどころ次第では丈夫な体の俺でも死ぬだろうな…。
「っと、危ない……。打ち合いは無理みたいだな…。どうにか足の腱か目の玉かを…」
そこからは地味の一言で終わってしまう程の戦い様だった。キングオーガの左上から右下へ来る石棒の攻撃を避けて膝や肘あたりに槍を突き刺し、捻ってねじ込む。
すぐにキングオーガからの反撃が来る為地面を転がりながらも避け、すぐに距離を取る。後はひたすらそれを繰り返していった。
「回避!突く!捻る!回避!回避!突く!捻る!…………回避!!」
槍で与えられるダメージなんて微々たるモノだし、本当に時間がかかるしミスも出来ない為、集中力も切らせる事が出来ない。ずっと集中して少しずつ少しずつ削っていく。相手の傷口をおもいっきり殴りつけたりしたがその時は俺の手に来るダメージも大きいから1回で止めておいた。
「はぁ……はぁ…はぁ。くそっ、まだ倒れないのか!?」
『ガア………グラァァァァァァ!!』
「気合いと死ぬ気なら負けねーーぞ!!はああああああああ!!」
『ガアアアアアアアア!!』
俺の槍とキングオーガの石棒がぶつかりあって――パキンッ……俺の槍が先端からへし折れた。
「まだ……だっ!!」
俺はレベルが上がった時に成長したステータスの力を強引に発揮して、キングオーガへと飛び掛かり……手で掴んでいた槍の柄をその右目へと深々に差し込んだ。
『ゴガアアアアアアアアア!?』
「グアッ……っつ…いってぇ……」
キングオーガが上半身をおもいっきり振った反動で体を振りほどかれ地面へと落下してしまった。
だが――俺の勝ちだ。
右目へと突き刺した槍が弱点も弱点、脳へと達していたのだろう。ひとしきり叫び声を上げた後に、ゆっくりと仰向けに倒れていった。
◇◇
「清濁の水よ 弾よ 刃よ 穿て 断ち切れ! 水魔法『水呀斬弾』!!」
『ブヒィィィィィィィィ!!』
水の弾がキングオークを弾き水の刃がその肉体を削いでいく。
『ブモッ!?ブギィ!?』
「魔力を込めて込めて込めて込めて込めて込めて込めて…………いきますよ!!『炎火の砲弾』!!」
火より紅く火より熱い。火の砲弾より大きく、その熱量も桁違い。炎火の砲弾がキングオークへと迫りそして――。
「…………」
言葉を発する事なくその上半身……胸から上を焼き消した。
「はぁ…はぁ……ま、魔力切れですぅ~」
あと少し規模が大きい、またはその数が多ければ上級魔法にも届く魔法を繰り出してルフィスも何とかギリギリ、キングオークを倒す事が出来ていた。
◇◇◇
「お兄ちゃん!お姉ちゃん!凄い!凄い!凄いんだよ!!すごーく凄いんだよ!!」
「ありがとうリコル……俺は槍が壊れちゃったけどな~」
「ありがとうリコルちゃん。私はあれで倒せなければやられてましたから……ギリギリでしたぁ~」
「うんうん。二人共、何とか倒せたわね。とりあえずお疲れ様」
「いや、マジで危なかったっす。ルフィスの閃光弾が1番危なかった」
「そ、それは!一縷さんが……上手く…こう…やってくれれば!!」
「いや、ルフィスが!」
「一縷さんが!」
「はい、はい。!?一縷君、ルフィス……アレを!」
白金さんが顎で俺達の後ろを見ろと言ってきた。俺とルフィスが同時に振り替えると……そこにはルフィスが最初の魔法で倒していたゴーレムの岩の隙間から金色に輝く宝箱が見えた。
「「金色!?」」
金色の宝箱はたしか…金だ!金銀財宝のはずだ!俺とルフィスが宝箱の元に走って箱に触れようとした時に――後ろから白金さんに襟首を捕まれて引っ張られた。
「うぐぇ!」
「ぐりぇ!」
「けほっ……な、何をする白金さん?」
「詩葉さん……私、女の子が出しちゃいけない声がでましたけど?」
痛い。無駄に勢い良く飛び出した反動で引っ張られたときの首の絞まり具合が半端じゃなかった。
「はぁ……二人共、戦闘の後で気持ちが上がってるのは分かるけど、罠の存在を忘れないで欲しいのだけど?」
「「…っ!?」」
俺とルフィスは白金さんの後ろにすぐに隠れて様子を見る。まだ触れていない事は確かだけど念のためだ。……よし。
「危ない危ない…。完全に忘れていたよ、ごめん白金さん」
「す、すいません。まさか、また宝箱が出るなんて思わなかったものですから……つい」
「えぇ、気持ちは分かるから次からは全ての物に罠がある……という気持ちで行くのよ?ダンジョンの厳しさを教えてるのだから、試してもいいけど……その前に危険性がある事だけは理解だけはしておいて」
「はいっす…」
「わ、分かりました」
「では…………うん。罠があるわね。一縷君」
「ん?どうした?」
「確か、一縷君の魔法でネジとかの引っ掛かってる物を外す魔法が有ったわよね?宝箱に使ってみてくれないかしら?」
そういえば、前に何回か使ったことがあったな。部屋で使うと何かしらのネジが外れて困るからあまり使う機会が無かったけれど…。
「了解だ。いくぞ――『パージ』」
俺は宝箱に向けて魔法を放つと宝箱の中で『カランッ』と音がなった。白金さんの顔を見てみると目が笑っていて、頷いたので多分、成功したのだろう。
「開ける……ぞ?」
「は、はい!」
「お兄ちゃん、頑張って!」
金色の宝箱の蓋を開けると――――『スカ』と書かれた紙が入っている訳では無く、ちゃんと金、銀の硬貨が入っていた。
「お、お、お金だぁ!!」
「す、凄いです!凄いです!!」
「い、いくらくらいあるのでしょうか!?」
「ちょ、ちょっと待ってね?銀貨が1…2……8枚で、大銀貨が……7枚、金貨が…3枚!そして!大金貨が2枚!!」
「「大金貨!?」」
「ほ、ほら!コレ!」
俺は普通サイズの金貨より一回り大きい金貨をルフィスとリコルに手渡した。
「お金持ちですね!」
「て、手が震えます~」
「えっと…白金さん、これは俺達にしたらいくら?」
「えっと、237万8千円……って事かしらね?」
2、200万越えたぁーーーー!!?
「ま、ま、マジですか!?お、おい二人共、お金を早く隠して!白金さんに渡すんだ!!」
「「は、はい!」」
俺達3人は急いでお金を集めて白金さんに手渡した。これで安心だろう。こんな大金を持っているなんて知られたら狙われるに決まっているしな。この世界は悪人が平然としている世界だ。金や所持品はしっかりしておかないと!
「預かっておくわ。とりあえず、私とリコルで素材の採取をするから少しの間だけど休んでおいて。終わったら地上に戻るわよ!」
「はいよ!」
リコルと白金さんが素材を剥ぎ取ってくれていたが、ルフィスの倒したキングオークは燃えきってしまっているため、牙やらが取れずに終わった。
ルフィスは白金さんに謝っていたがモンスターは強かったし、今の俺達だと仕方ないと部分はあるかな?
「さ、そろそろ行くわよ。外は夜だと思うわ。空いてる宿があればいいけど…」
「俺達が止まっていた宿屋の『閑古鳥』?あそこに行ってから考えようぜ」
「リコルちゃんも遅いし、一緒に泊まりませんか?」
「え!?で、ですが…そこまでお世話になるわけには……」
「遠慮しないでいいわ。来たくないならそれでもいいけど、理由がないならついてきなさい」
「分かりました…お世話になります!!」
俺達は31階層へ降りて、1階層へと移動出来るワープに入っていった。そこから外に出てみると、白金さんの言っていた通りに夜で当然、人も出歩いてる数は少なかった。
「地上だ…」
「その感傷に浸る感じも、昔に私がやってるからさっさと行くわよ。リコル、暗いから気を付けなさいね」
「はい!」
宿屋の『閑古鳥』は、夜の食事の時間をだいぶ過ぎている時間でも部屋が空いていれば受付をしてくれるみたいで、俺達はなんとか部屋を確保することが出来た。勿論、部屋割りは俺が1人で他3人である。
今回のダンジョン探索は泊まりの時間も少し長く、モンスターも強かった。そのせいか、疲労はやっぱり溜まっていたみたいで、毛布を被って横になるといつの間にか深い眠りについていた。
◇◇◇
翌朝、俺を深い眠りから起こしたのは白金さんの声だった。
「一縷君、私とリコルで換金に行ってくるからギルドカードを貸して貰えないかしら?」
ギルドカード?確かズボンのポケットに……あった。
俺は部屋の扉を開いて白金さんに自分のギルドカードを渡した。
「ギルドカードなんて何に使うの?」
「覚えて無いの?ギルドにはお金を預けられて、それがギルドカードに反映されるのよ。本来ならギルドカードは本人しか使えないけど……パーティーのメンバーと証明出来れば使えるのよ」
そ、そんな機能あったっけかな?……全然利用してないから覚えて無い。まぁ、白金さんに任せておけばいいか。
「証明って?どういう方法でするのギルドの裏事情?」
「簡単よ?自分のギルドカードを見せて、血で確かめるのよ。それで自分の物と証明されたら、パーティーも載っているからね。他のメンバーのギルドカードにお金を入れる事も出来るのよ」
そ、そうなんだ。それも全部、白金さんに任せて俺は部屋で寝ていよう……ん?待てよ。
「それって、お金の所持を分散させるって事?」
「えぇ、流石に大金貨を私といえど一ヶ所に集めておくのは…ね?」
「え?でも、それって勝手に使っちゃわない?」
「え?使うの?皆で頑張って稼いだお金を使っちゃうの?リコルが頑張って剥ぎ取ってくれた素材を換金したお金を……使うの?」
は、ははは。まさか……ねぇ?
「す……すいませんっした!許可無く使いません!!」
リコルの頑張りは無駄に出来ないぃぃぃ!!
「ふふっ。ルフィスもリコルの名前を出したら同じ反応をしていたわよ?うーん……これは今後も使えそうね。じゃ、行ってくるから寝てて良いわよ?お昼にはまた起こしに来るわ」
「……了解です。おやすみなさい」
白金さんを見送って、俺は再び夢の中へと旅立った。
◇◇
きっちりお昼に起こしに来たが、今度来たのはルフィスだった。
「一縷さん、一縷さん、起きましたか?」
「うん、ふぁ~あ……眠い…」
「一縷さん、槍が壊れたじゃないですか?それで、買いに行こうって話してたんですよ!」
あの槍はルフィスが暮らしてた城で借りてからずっと使っていた槍だ思い入れも……いや、そんなに無いな。新しい槍で性能が良いならそっちの方が断然いいしな。
「それはありがたい。武器の良し悪しは相変わらず分かんないから白金さんやルフィスが居ると助かるよ。もう出発するの?」
「はい!一縷さんの準備が出来たら行けますよ!」
「そうか。ちょっと、待ってね…ステータスを見ておきたい。どれだけ伸びた……ね」
「あっ、私も見てなかったです!」
━━━━━━━━━
イチル キリシマ Lv42
HP 1530/1530
MP 11200/11200
STR 115
VIT 99
DEX 107
AGI 121
INT 84
LUK 59
スキル
魔力制御 Lv2
槍術 Lv3
ユニークスキル
『消滅魔法』
称号
『消滅の勇者』
『救う者』
『幼女キラー』
━━━━━━━━━
━━━━━━━━━
シルフィス ソフュール Lv36
HP 820/820
MP 2000/2000
STR 70
VIT 76
DEX 79
AGI 74
INT 69
LUK 70
スキル
魔力制御 Lv4
火魔法 Lv4
光魔法 Lv3
水魔法 Lv3
杖術 Lv1
魔力回復 Lv1
ユニークスキル
称号
『孤独な王女』
━━━━━━━━━━
「おぉ…!俺はMPの量が大台に乗ったぞ!あと、魔法も使ったから魔力制御のレベルも上がってるみたいだ!」
「私も、レベルは上がってますし、水魔法のレベルも上がりました!あ、あ、あと!魔力回復のスキルを手に入れてますよ!!」
「こ、声が大きいぞ。それはさておき、魔力回復のスキルってあれか?時間が経つと回復する魔力の量が増える…的な?」
「そうです!そうなのです!同じ1時間の休憩でも回復の量に差が出ますから戦える回数も増えますし!嬉しいです!」
「今回は大変だったもんなぁ…20階層あたりで確認した時よりもだいぶ成長出来たな。自分の目で見えるステータスも、記されない戦闘の技術も」
「そうですね。まさか、こんなに成長出来るなんて…昔の自分じゃ考えられないですよ。これも一縷さんと詩葉さんのお陰ですね……ありがとうございます」
「どういたしまして。でも、やっぱりルフィスが頑張ったってのが1番大きいと思うよ?これからも白金さんに追い付けるよう頑張ろうぜ!」
「はい!では、隣の部屋で待ってますから準備が出来たら声を掛けてくださいね?」
俺は返事を返して、急いで荷物を纏めた。部屋は明日の分も取っているから置いておいてもいいが、出来るだけ自分で管理しておいた方が良いだろうな。
頭を触ってみると三ヵ所ぐらい寝癖があったのに気付いて気恥ずかしくなったが、それも直して隣の部屋にいる3人に準備が出来た事を伝えに向かった。
「ごめん、お待たせしましたー!」
部屋から白金さん、ルフィス、リコルが出て来た。白金さんから朝に渡しておいたギルドカードを返された。
「とりあえず、今回で得た報酬を均等になるように配分はしておいたから……無くさないでよ?」
「了解。今から俺の新しい槍を見に行くんだよね?それってここの金額から使えばいいの?」
「一縷君の槍の予算分は既に手元にあるから大丈夫よ。ギルドカードに分配したお金は、私のカードから使うとしても使う時には使う理由とか話してから使うようにします。そういう事はきっちりしていきましょう?」
「分かったよ。とりあえず無くさない様にだけはしておかないと……。それで、武器ってどこに買いに行くか決めてあるの?」
「とりあえず、私とルフィスで杖を買いに行ったお店に行ってみましょうか?一縷君の感覚と値段に任せるわ。あっ…予算を優先にね!」
世知辛い…。が、まぁ、お金は大切だし、安めで丈夫な槍があればいいけどな。
「はいよ。じゃあ、案内よろしくね」
「分かったわ。行きましょうか」
俺達は武器屋を目指して歩きだした。
誤字脱字がありましたら報告…
は、話が長いのでヤバそうな間違いだけ、ありましたらお願いします!(´ω`)




