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第14話 キングサイズだよ in 異世界

書き上がりました!よろしくお願いします!

 


 25階層に降りて散策を開始する。その間も槍を回したり、掴む位置を変えて手に掛かる負担の大きさを確認したり…とにかく槍が少しでも身近になるために色々としていた。


「一縷君、この先を曲がった所に…1体ね。今までの流れからすると少し強くなったオーガかしら」


「とりあえず魔法で倒してくるよ。例え魔法でも1度倒せたら相手を過大に見ることも無くなるし」


「そうね。でも、この次からは槍の練習よ!」


「それは分かってる。じゃあ、ちょっと行ってくるね」


 俺は道を曲がる直前まで走り、そこから様子を見てみる。


「居た。ちゃんと1体だな。体の色が茶色に少し、黒みがかってるな。これはオークの時と一緒か…」


 俺は曲がり角から姿を晒し、少し距離のあるオーガへ向けて地面にあった小石を投げつける。スピードを確める為だ。


『グォ…グガアアアアアア!!』


 気付いたか。スピードは中々…ん?オークが武器を掲げて…


「うわっ!?『ロスト』!!」


『グオオオ!!?』


「こいつ…手持ちの武器投げて来やがった……っぶねぇ~。よし、スピードは分かってきたし……『ロスト』」


『ガアアアアアアアア!!グガアアアアアア!!』


 膝から下を消滅させる。血も噴き出すしオーガはもがいてるが硬度も確かめておきたい。無抵抗のオーガの背中から槍で突くのもどうかとは考えるが…どうせやらないといけないなら何を考えても結論は同じと思い至って、俺は槍を構えて突き刺した。


「感触からするとやっぱり上の階のオーガより少し硬いかな。下手に突き刺すと槍が抜けない事態に陥るかもしれないな。注意ただな。」


『ガアアア!!グガアア…!!』


「すまない。今トドメを刺してやる」


 槍で急所を突き刺し、完全に動かなくなった事を確かめてから俺はみんなの所に戻った。



「一縷さん、どうでした?」


「上の階より速いし硬くなってたよ。あと、離れてたら武器を投げて来たから…ルフィスはそこも気を付けないとだ」


「武器を…ですか。一縷さん、ありがとうございます。いきなり投げられてたらびっくりして回避出来なかったかも知れません…」


「あれはビビる。俺もとっさに魔法を使ったけど焦ったしな。でも、それを知っていれば次から避ける事くらいは…ね」


「そうですね。一縷さんから先にオーガを倒しますか?」


「先にやっていいなら行かせて貰うね」


「一縷君、分かってると思うけど…」


「あぁ、油断はしない。少し強いだけのオーガになら俺はもう負けない」


「そう。頼もしいわね。じゃあ早速だけどここの道の先…曲がり角から姿を現しそうよ。…ルフィス、リコル、少し下がりましょう」


「はい!…一縷さん、頑張ってください」


「お兄ちゃん、頑張って!」


 応援を貰って、オーガが姿を見せるのを待った。オーガがキョロキョロ左右を見ながら曲がり角から現れ、目が合う。それが合図となって、俺も駆け出す。


『ガアアアアアアアア』


「行くぞ!!」


 オーガは大剣を所持してそれを自慢の力で振り回す。速さを活かした回避や受け流しでオーガを翻弄し、隙を作っては少しずつ削っていく。左から右下への振り下ろしを右足を半歩だけ退いて剣を避け、オーガの剣を持つ右手に槍を突き刺す。


『グヲオオォォォォォ!!?』


「ちっ、拳か。その体で突っ込んで来られた方がやっかいだったかな?」


 剣を落としたオーガは自慢の肉体で攻撃をしてきた。大剣ほどのリーチは無いが、がむしゃらに突っ込んでくる分…戦いにくくなってしまった。


 それでも、槍の長さを活かして削って削って、とことん削って…一撃で倒す様な格好いい戦い方では無かったが、どうにか削り切ってオーガを倒す事が出来た。


「ふぅ…結果だけみればほぼ無傷だけど…安全重視の戦いだから時間がかかるな」


「一縷さ~ん。お疲れ様です!」


「うん、あれだ。武器は使わせてた方が良いこともあるんだな。無いと動きの予測が難しい」


「一縷君も槍を飛ばされたら魔法を使うでしょ?モンスターも強いのは魔法を使う事があるわ。オーガくらいだと魔法より肉体を使ってくるのだけど…魔法を使うモンスターも居ることを覚えておいて」


「了解だ。それより魔法か…消すことは簡単だけど回避の練習もその内しておかないとな」


「実戦で慣れるわよ…と、言いたい所だけど、そうね。練習くらいならしておいてもいいかも知れないわね」


 魔法も簡単なやつなら連射も可能みたいだし、回避の練習もしておかないと俺の呂律が間に合わないで噛み噛みの可能性があるしな。魔法の連射とか…俺がやってみたいよ、格好いいし…。


 俺は1度ルフィスと交代した。1回の戦闘での疲れが大きくなってきたから念の為、1回戦ったら交代するようにした。


 この階層のオーガはルフィスの魔法に対しても少しだけ耐えていた。それでも『火の砲弾(ファイアーボール)』を3回、上手い具合に当てれば2回で倒しているけれど。


 それから何回か交代で戦った。俺は防御が間に合ったがオーガの拳を受けたり、ルフィスは斧を投げつけられたり、少しヒヤッとする場面はあったがそれでもこの階層のオーガも敵では無くなった。


 これも単にレベルアップや槍の技術の向上、白金さんのアドバイスのお陰だったりするが、全部自分の力になってるし、オールオッケーだろう。


 白金さん曰く、外はとっくに夜になってるみたいだから今日は25階層で休む事になった。



「はい、ヤバ肉の炒め物よあと、パンとスープ」


「ヤバ肉って言ってるじゃん…もう…いや、美味しいから食べるけど…」


「お腹ペコペコですよ~」


「だな、飲み込んじゃえば大丈夫か。いただきます」


 夕食を頂き、片付けを白金さんとリコルがしてくれているのでら少しの自由時間になる。俺は少しやることがあるからみんなから離れる。



「詩葉さん、一縷さん、昨日も壁に向かってましたけど…何をしているのでしょうか?」


「ルフィス、一縷君にも色々とあるのよ…とりあえず気にしないであげたらいいの。気になる様なら私から後で言っておくわ…やれやれ」


「詩葉さんは、一縷さんが何をしているか分かるのですか?」


「まぁね。やっぱりしときたいのかもね…」


「はぁ…良くわかりませんが、まぁ、いいですね!詩葉さん、それより魔法を教えてください!水と光魔法がまだまだなので」


「分かったわ。少し待って、もう少しで片付くから」



「ふむ。何かとんでもない誤解を受けている様な気もするが…よし!今日も魔法の練習するぞ!っと」


 魔法といっても消滅魔法じゃなく、ルフィスが使っている様な魔法の練習だ。才能も消滅しているとか白金さんに馬鹿にされた事もあるが、きっと練習を積めば簡単なやつなら魔法くらいなら使える様になるはずだ。


 何故、少し離れて壁に向かっているかと言うと…


「出でよ火の矢!出でよ水の矢!出でよ風の矢!出でよ土の矢!出でよ雷の矢!出でよ氷の矢!出でよ光の矢!出でよ闇の矢!」


 全く何も反応してくれないのに1人で腕を振るっている姿を見られたく無いからだ。


 例えその属性に適性の無い人物でも、少し練習するば使い物になるレベルではないが発動か発動の兆候くらいは出せるらしい。俺には全くその素振りも無い…。


 それでも人より時間が掛かるだけだと信じて、こうして練習している訳だ。俺の消滅魔法には魔方陣とか出ないが、ルフィスみたいに魔方陣を出してみたい。その為だけに練習しているまである。


「うーん…やっぱ何か1つに絞った方が良いかな?」


 だとすると何が良いだろうか、直感で決めた方が良いかな?どうせどれも同じレベルなんだし…それともアミダくじにでもするか?運に任せるというのも良いかもしれない。運、悪いけど。いや、悪いからこそアミダくじだな。どれの才能も無いからそこで選ばれるのは1番マシなヤツだろう。悪い中で1番悪い…つまりマシ!という理論だ。


「よし、テキトーに線を付け足して…ど、れ、に、し、よ、う、か、な!」


 左から3番目の線に決まった。さて、どこに繋がっているかね?


「雷……雷!良いじゃん良いじゃん、格好いい代表格だ。雷魔法ならちょっとくらい出せればそれでも色々と使えそうだし。よし!練習再開!」


 俺は壁に向かって初級も初級、子供が練習する時に使う(アロー)を出す練習を繰り返した。



「一縷君、いつまでゴソゴソやってるのかしら?そろそろ寝といた方が良いわよ、寝不足は厳禁ね」


「……了解。というか今日はリコルどうするの?昨日と一緒で俺の所で寝かせていいのか?」


「リコルがそれでいいと言うのよね…。街に戻ったら寝袋をもう1つ買っておきましょうか…」


「まぁ、それが良いかもな。じゃあ今日はもう寝ますか」


「そうね。テントは私達で組み立てたけど、リコルがもう眠たそうにしていたから早めに寝袋に入れて上げて」


「分かった。リコル!寝るよ」


「うん…」


 おぉ…ギリギリだ。首がカクンカクンしてる。今日も沢山歩いたし、そりゃ疲れるか。


「ほら、リコル入って」


「えへへ…温かいよぉ~」


「おやすみリコル」


「お兄ちゃん、おやすみなさい……スー…スー」


 寝付きが良いのか限界だったのか…限界だったな。もう眠っちゃったか、俺も眠るとするか…。



 ◇◇◇



 翌日、朝の色々を済ませて早速、探索を再開させた。とりあえず下へと降りる階段を見付けることを優先させてはいるが、オーガと出会ったら倒して行くようにしている。


「『水の刃(ウォーターカッター)』!!」


 最近、というか昨日辺りからルフィスが詠唱していない事にさっき気付いた。白金さんに聞いたら詠唱破棄のスキルを取っていたらしく、簡単な魔法なら詠唱は必要無くなったみたいだ。それに、火属性だけじゃなく、水や光魔法も鍛え始めたらしい。



「あ、あれじゃないですか?ありましたよ!階段です!」


「ようやく見付かったか。26階層…次はどんなモンスターかな?」


「20階層も後半になるからモンスターも強くなって行く筈よ。気を引き締めて」


「分かった」


「分かりました!」


 俺達は階段を降りて下の26階層へと進んで行った。そこは踏み均された土の地面よりは少し岩っぽいゴツゴツしている感じだった。


「新感触」


「滑らなくて良いんじゃ無いですか?」


「地面が変わるとか他の何かしらが変わったら、モンスターも変わると思っていいわ。この階層はオーガ以外のモンスターが居るわよ」


「物理耐性の低いモンスターがいい!それならサクサク進める筈だし!」


「私は魔法耐性の低いモンスターじゃないと…全くお役に立てませんよ?」


 いや、頑張ろうぜルフィス。杖でポカポカ叩くとか…あんまり想像つかないけど…。


「この近くには居ないみたいね…先に進んでみましょう」


「槍で倒しやすいモンスターでありますように、槍で倒しやすいモンスターでありますように…」


「魔法で、魔法で、魔法で、魔法で!」


「静かにしなさいよ。…ん?音を拾ったわ。冒険者が戦ってるみたい…見に行くわよ」


「お、おう!」


「分かりました!リコルちゃん走りますよ」


「大丈夫です!ついていけます」


 白金さんの先頭に音がしたという方向に走っていく。ある程度近付いたら俺にも戦闘の音、何やら硬い物同士で叩きあってる様な甲高い音が聞こえてきた。


 もう少しだけ近づいて、様子を窺い見ると…。


「あれは…岩?」


「そうね。あれは、岩人間(ゴーレム)よ」


「岩人間? 何かイメージだと2メートルを越える化け物だと思っていたが普通の成人男性くらいなんだな」


「そういうタイプというだけよ。岩人間には種類があるの。今、あそこにいるのは標準タイプ。それでも硬度はそれなりよ。他にイメージしてる2メートル越えの縦にも横にも大きいタイプや標準より小さいけど硬度を増したタイプがいるわ」


「あ~~~~!また、硬いやつじゃんかぁー。しかも1番硬いじゃんか岩人間なんて…」


「岩人間は体の表面にある、どれかしらの岩が弱点なのよ。その岩だけは脆くて、それを破壊したら他も崩れるわ。だから広範囲にダメージを与えられる魔法の方が有利ではあるのは間違いない…わね」


「結構、大小さまざまな岩の集合体だと思うけど?槍じゃ厳しいってこれ…技術的な問題じゃ無いし…」


「そうね…。うん。いいわ!この階層は…岩人間に対してのみ魔法を使ってよろしい!」


「マジ!?良かったぁ~。流石に無理だと思ってたとこ」


「良かったですね、一縷さん」


「その代わり、沢山倒して経験値を稼いどいてね。槍の技術が上がらないんじゃ、しょうがないしね」


「了解!行くぞルフィス!岩人間狩りだ!」


 岩人間は良い。何が良いかって言うと、血が出ない所だ。岩がバラバラになると地面に溶けていく。どういう原理か解らないがダンジョンに還ってる感じだ。


 人型だけど、血も叫び声も上げないから人形みたいで俺のちっぽけな偽善も余計な事を考えずに済む。魔法が使えるなら、ここはさっさと突破して下の階へと行った方が吉だろうな。


「『ロスト』。やっぱり使い勝手がいいな。体の一部を消してもすぐに形が戻った時は驚いて何回も試したが…」


「最後の方は小さくなってましたね!掌サイズだとすこし可愛かったですね」


 そんな訳で、速く動いて狙いが定まらないというモンスターでも無かったし、頭を狙い撃って倒している。



「一縷君が操られた時の事を考えないといけないわね…。私の回復魔法で瞬時に再生…でも、頭を狙われたら…姿を隠す何かを常備しとくべき?厄介ね…」


「白金さん?物騒な事考えて居るけど…操る能力を持つモンスターとかいるの?」


「えぇ、滅多には居ないけど存在はしているわ。心を操られたり、直接体を操られたり、種類はあるけど」


「怖っ……それってヤバイ敵なんじゃ……。対処法とかあるの?」


「魅了して心を操るタイプは相手の心の隙間に入って意識を奪うわ。この手の敵は相対する人の大事な人に成り済ましたりする能力があるから厄介ね。対処法は…まぁ、魅了されなければそれが1番いいんだけど難しいから、仲間が居れば敵を倒すか、魅了した人を気絶させるか…かしらね」


「魅了されなければいいんでしょ?」


「一縷君がその台詞を吐いても何の説得力も無いわよ?ま、魅了されなかったら凄いとは思うけど」


「うっ…。そ、それで、直接操られるタイプは?」


「そっちのタイプなら操ってる敵を倒すのが早いわね。操る触媒…魔力の糸とか魔力の宿った何かなら、それを断ち切るって手もあるわ」


「そうなんですか~勉強になりますけど、もし、お二人が操られたら私じゃ対処できないので操られないでくださいね?」


「俺も白金さんが操られたらすぐ倒されると思うんだが……」


「早く私と戦えるくらい強くなってね。期待してるわよ二人共!」


「「が、頑張ります」」



 俺達は階段を探し、27階層へと進んだ。消滅魔法があると、最初にダンジョンを踏破したあの時の様にサクサク進めて少し楽しかったりする。宝箱を探すのも良いけど、それは偶然見付けたら開けるけどメインの目的じゃないからな…。


 27階層に降りていくと、上の階よりも圧倒的に冒険者が居た。サリファが28階層でモンスターに殺されたされた形跡があると言っていたから、1つ上の階層に登って来たのかもしれない。なんだか強そうな人達が多いな…。



「白金さん、こういう時ってどうするの?」


「こんだけ冒険者が居るなら休憩をしておきましょ。見張りもしなくて済むしね。休んでいれば向こうのお人好しか誰かが話し掛けに来るわ。私達の年齢を察してね」


「たしかに…俺達は見た目だと子供の集団だし、男が俺だけだからな…。休めるなら休んでおこうか」


「そうですね!リコルちゃんも休憩してくださいね」


「ありがとうお姉ちゃん!はい、お昼が入ってるカバンはこれ!」


 俺達は階段を降りた所から少し横にずれて、壁を背に並んで座って休憩を取ることにした。



「君達、この辺りで見掛けない顔だけど…最近降りて来たのかい?」


「ラータナ、冒険者は不干渉だぞ?ここまで降りてこられるなら問題無いだろ?」


「で、でも…」


 来たな、お節介焼きが。ありがたくお世話を受けよう。


「あ、はい。僕達まだまだ新人でして…あの、結構な数の冒険者さんが居ますけど…何でですか?」


 俺はリコルに目で合図を送る。リコルも目で合図を返す。休憩の時に打ち合わせをしていた通りに。


「お姉さん、お兄さん…何か…あったの?」


 か、完璧だ!言葉の終わりと同時に首を傾げるあざとい行動もリコルくらいの歳の子がやると純粋さが勝つ。目の前のお姉さんは勿論、さっきまで去ろうとしていたお兄さんまでも足を止めている。リコル…出来る子…末恐ろしい小悪魔になるなこれは。


「あのね、この層の下でちょっと事故があったのよ。それでBランクより上のパーティーが原因を探っているのよ。それでとりあえずはここで探索するか、一旦帰るかしているのよ。残ってる人達はまだこれから探索をする人達ね。…中には下に進んじゃう人も居るけど、君達はそんな危ない事しちゃダメよ?」


「ありがとうお姉さん!」


「ありがとうございました。助かります」


「気にしないで!やっぱり助け合わないとね」


「ははは、珍しい人ですね」


「よく、言われるわ。うちのリーダーにもね」



「じゃあ皆、そろそろ行きましょうか。あと、あなた…お人好しは早死にするわよ。優先順位は間違えない事ね」


「す、すいません。うちのリーダーは現実主義でして…。まぁ、でも少しフラグ立ってますよ?とりあえず今日は人助けはやめておくべきですね。うん、絶対に刺されますよ?」


「ご、こめんなさい。うちの二人が…。優しさはちゃんと返って来ますからこれからも大事にしてください!すいません、失礼します!」


「えへへ」



「…な、なんだったの…?変な子達」


「俺らも行くぞ。さっき階段も見つけたし、さっさと下にな。こんな所で止まってても無駄だろう」


「…ったく、仕方ないわね。皆、行きましょうか」


「「「はい、ラータナさん!」」」



 ◇◇◇



「この階層には異常は無いみたいね。下だけがおかしかったのかしら?」


「みたいだね」


「詩葉さん、ここは2体の岩人間ですけど…ここで戦って行きますか?」


「そうね…。いえ、やっぱり下に降りましょうか。1体の方がルフィスの魔力の節約にも繋がりそうだし…ね」


「そだな。下の方が敵も強くて経験値が多く手に入りそうだし」


 俺達は冒険者がうろついてる27階層をさっさと通り抜け…たいと思っていたが、思ってたより敵には会うし冒険者にも会う。冒険者の前で消滅させる訳にもいかないし、試しに槍で倒そうとしたらだいぶ時間を取られてしまった。硬すぎるせいで、槍が通らない。仕方なく、粘りに粘って冒険者の見えなくなった所でさっさと消滅させた。



「あった…。人がいない方に進んでいたら普通に着いたな、階段」


「ですね。皆さんこちらには近寄って無いみたいでしたね」


「流れで言えば…」


「ちょっと強めの岩人間だよな。ていうか、気付いたんだけどさ…」


「ん?どうしたのかしら?」


「どうかしたのですか?一縷さん」


「岩人間の瞳が赤と青が居たけどさ…、あれ…青が女性だと思うんだ。少し内股気味だし、武器も斧じゃなくて剣が多かったし!岩人間に男性女性の概念があるかは知らないけど!絶対に…」


「さ、行くわよ。時間が惜しいわ」


「そうですね。さっさと降りましょう!このまま岩人間なら今日でボス部屋まで行けるかも知れないですし!」


「……女性……男性…」


「お、お兄ちゃん…くっ、ごめんね!」


 そ、そんなに変な事言ったかなぁ…。でも、気付いちゃったしさぁ…話くらい聞いてくれてもさぁ…ぐすん。


「一縷君、置いてくわよー」


「ま、待って!すぐ行く!」


 俺達はトントン拍子で赤の三ツ星が死んだとされる問題のあった28階層へと降り立った。



「臭う。臭うわね…」


「ルフィス~」


「え?え!?何ですか!そのジトッとした視線は!し、失礼ですよ!臭いません!」


「違うわよ。確実に居るわね。この階層に似つかわしく無いモンスターが。亜種?突然現れた?ダンジョンのイタズラかしら?」


「ルフィス、何か居るみたいだな…」


「ですね。白金さんのレーダーが嗅ぎ取った見たいですし…それに強いモンスターみたいですね」


「えぇ、とりあえず28階層じゃないわね。ボス…あるいは30階層以下のモンスターね。どうする?無視して下へ行く?」


 ボスか30階層以下のモンスターか。これは決まりだな。


「当然、無視の1択だ!」

「当然、倒しますよね!」


「「え?」」


「おい、おいおいルフィス!いつからそんな戦闘狂になったんだ?」

「一縷さん、これはどうせ倒さねばならない強さの敵ですよ?予習復習を大事にしているじゃないですか?」


「「はい?」」



「私は戦闘狂ではありませんよ!確認して倒せるなら倒してしまおうという考えです!」

「俺もどうせ下で倒すならそこで十分だって考えだ!」


「「ふーん」」



「お姉ちゃん、これ…」


「やれやれ…そんな事で揉めてもしょうがないでしょ?」


「でも!」

「ですが!」


「「…あっ!なら、白金 (詩葉)さんが倒してくれればいいんだ!

  (です!)」」


「…はい?」


「おっ、やっぱりルフィスもそう思った?」


「はい!詩葉さんが倒してくれるなら敵も分かりますし、安全に観察出来ます!良いことだらけです!」


「白金さん、お願いします!僕達の為に!」


「詩葉さん、お願いします!私達の為に!」



「お姉ちゃん、これ…」


「はぁ…争ったと思ったらすぐ仲良く…どういう話の展開してるのよ?」


 ダメか?結構いい案だとは思うんだが……。


「早く行くわよ!他の冒険者達に見られる前にサクッと倒すわ。見逃さない様にしなさいよ!」


「よし!」


「信じてました!」


 俺達はちょっと速く走り出した。白金さん曰く、そのモンスターは動き回ってはいないみたいだ。27階から降りてくる階段から離れてる地点に居るらしいから、もしかしたら階段の通路でも守っているのかもしれないらしい。


「近いわね…ちょっとストップ!」


「ん!?どうした?」


「3人くらいかしら?戦ってるわよ!」


「…先を越されたか。仕方ない、ちょっと様子を見させて貰おうか」


 岩陰に姿を隠し、こっそりみると3人が真っ黒のオークと戦っていた。


「真っ黒…顔周りとか少し土色だけど黒いな。怖っ!真っ黒って怖いな…」


「そうですね…何かあれ…押されてませんか?」


「ふむ、ふむ…。あれは、少しヤバイかも知れないわね。あの黒は…キングオーク。オークの中のオークよ」


 キング…オーク…。キングオーク!?それって20階層の序盤の階層で戦ってた奴の強さ増し増しバージョンか!少し黒み掛かってるものも居たがあれより更に強いのか。それって…


「ボスじゃないの?」


「きっと、ボスね」


「ボスですか…何故こんな所に…」


「ダンジョンの不思議って奴ね。便利な言葉だけど…。一縷君あれ」


「ん?ん~!?さっきの親切な人じゃん!怪我して後ろで座ってるじゃん!フラグがあるって教えてあげたのに!」


「い、行ってみましょう!」


 俺達は少し迂回したがキングオークと戦ってる場所から少し後方で座っているラータナ?っていう人の所までやって来た。どうやら右足を怪我しているみたいだ。


「あの、回復薬です!どうぞ!」


「き、君達はさっきの!?どうして降りて来ちゃったの!?そ、そんな事より私のパーティーメンバー…さっき一緒に居た男の人もこの階層に居るから呼んで来て貰えないかしら?このままじゃ…いつっ…」


「闇雲に探してもすぐには戻って来れないわよ?時間の無駄ね」


「む、無駄って……君、それはいくらなんでも…」


「時間の無駄よ。……だから、私が倒すわ」


「な、何言ってんの!?相手はキングオークよ!パーティーで当たらないと倒せないわ!君達も!今までパーティーで倒して来たんでしょ?早く止めないと失うわよ?」


「ん?よく、分かりませんが大丈夫ですよ。あの人強いんで」


「そうです。大丈夫ですよ!」


「お姉さん、倒したら素材は私が回収しますからね!」



「い、いや…いやいや!そんな事言ってる場合じゃな…」



「ま、そこそこは強いけど…私の昔のパーティーメンバーの、誰か1人ででも倒せるわね。ルフィスも逃げながら魔法の連撃で何とか倒せるかしら。一縷君…もボロボロでも倒せるかしら?一縷君は練習が必要ね」



「う…そ…Bランクの魔物が…?たった…1人…で?」


「ですから、強いんですよ。…お疲れ様」


「まぁまぁね。リコル、素材が取れると思うからよろしくね」


「はい!行ってきます」


「これで解決ってこと?なら、広まる前に下に進んじゃわない?」


「そうね。リコルが素材を取り終えたら進みましょうか」


「ちょ、ちょっと待って!Bランクのキングオークの単独撃破なんてうちのリーダーとか…Aランクレベルじゃないと無理な筈よ!?」


「はい?キングオークの討伐でAランク?冗談でしょ?」


「じょ、冗談じゃないわよ!き、君達も知ってるでしょ?」


「あ、すいません…僕達も初心者でして…この人が1番詳しいので…」


「いつも指示して貰ってます!」


「二人共、キングオークの単独撃破がAランク相当なんてデマを信じちゃダメよ?」


「まぁ、Aランクって言うともっと上だろうな」


「ですね。あれがAランクなら最下層のモンスターはランクとかつけられ無いじゃ?」


「な、何言ってるの?君達…。初心者って言ってたわよね?ギルドのモンスター図鑑とか見なかったの?」


「えぇ、この人が詳しいので…で、結局、このキングオークはどのランクなんだ?」


「私は少し目を通したけど特に何も無さそうだし新しく覚えた事は無いわね。キングオークよ?Cランクってとこね」


「それなら納得だ。ルフィス、俺達もCランクくらいはあるのかも知れないな?」


「そうですね!…でも、クエストとか受けて無いから上がりませんね…」


「お待たせしました!換金出来そうな部位は剥ぎ取りましたよ!」


 仕事が早いな。流石リコル。サポートの腕が良いな。


「じゃあ降りようか。お姉さん、フラグ立てたんだから無理しちゃダメですよ?」


「いや、ちょっと待って!…君達名前は!?」


「俺達はパーティー『星の祈り(ステラプリエール)』Fランクです」


 ……決まった。


「さ、ダサ男の一縷君は置いて行くわよー」


「行きます行きます!」


「お兄ちゃん…流石に…くっ」


「えぇー…ちょ、待ってくれー!」


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(´ω`)

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