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第1話 転移したよ in 異世界

更新は早くないですがよろしくお願いします。


※所々、会話の連続で読みにくいかも知れませんが、最新話につれて改善している筈なので……。kwsk言えば、16話くらいから……はなんとか。改稿は時間があればします


※代償のあたりに左目じゃなく、左目の視力と付け加えました。

 

「ち、遅刻する!遅刻しちゃ……ゲホッゲホッ……」


 俺は今、なけなしの体力を振り絞って走っていた。自分の運の無さに嘆きながら直向(ひたむ)きに走っていた。


 なぜこんなに走っているのかを語るには今朝にまで遡る。



 ◇◇◇




 今日は高校の入学式で、俺はルンルン気分で朝早くに家を出ていた。中学の頃の友達のほとんどは別の高校へ進学してしまったけど、新しい友達、新しい生活に期待を寄せながら学校へ向かっていた。


 最寄りの駅から電車に乗ってドアが閉まり、早くから出勤してる大人を横目に立っていたら同じ制服の子を見つけた。



「あの子も新入生かな?可愛い子だなぁ」



 黒い髪に少しキツめの表情をしている子が少し離れた所に立っていた。その子を少し見ていたら――電車が揺れた。




「ご乗車いただいてますお客様に申し上げます。この先の駅で事故がありましたために、一時停車させていただきます。お急ぎの所申し訳ありませんが、復旧するまで今しばらくお待ちください」


「マジかよ!?」

「会社に遅れちまうよ!」

「何のために早く乗ってると思ってんだよっ!」



 車内なら次々に不満の声が漏れている。俺も内心焦っていた。早めに家を出たのに、入学初日から遅刻は印象が悪いと思って。

 心の中で早く早くと思っていたが結局、復旧したのは30分以上経ってからだった。



 俺は自分の降りる駅に着いたら改札までは速歩き、改札を出た瞬間に走り始めた。学校までは駅から歩いて20分くらいの距離にあった筈だ。今から走ればギリギリ間に合うかもしれない。



 ◇◇◇



 と、いう事で俺は走っていた。心の中で今朝の自分を思い出して1人語りしちゃうくらいに疲れていた。



「はぁ…はぁ…も、もう無理かも…」



 学校は見えて来ているが体力が持たない。そんな俺の横にタクシーが止まった。



「あなた、あの電車に乗っていたのかしら?お互い不運に見舞われたわね」



 さっき電車内で見かけた女の子がタクシーの中から話しかけてきた。タクシーという選択肢もちらついたが、高校生になったばかりの俺に学校へ行くのにタクシーを使うのは少し敷居が高かった。


 まさか、乗せてくれたりするのだろうか?だとすれば……ありがたい。



「はぁ……はぁ……君も新入生?」


「そうよ、あなたも急がないともうHRが始まってしまうわよ?じゃ」



 じゃ、そう言った彼女はタクシーの窓を閉めてそのまま行ってしまった……。



「いや、乗せてってくれよぉぉぉぉ!」



 魂の叫びが出たが彼女はもう行った後だ。俺はあのタクシーを追うように走るのを再開させた。




「ぜぇ……ぜぇ……あ、汗だくになっちまった……」



 学校の校門を通過して、新入生のクラス別けの張り紙を見て自分のクラスへと急いで向かった。


 各教室の中からは話し声が聞こえてくる。もうHRは始まってしまっているようだ。



「1-Aは……あそこか。ん?やけに静かだな……」



 後ろの入り口の横開きのドアに付いている窓から教室の様子を覗いてみる。



「な、なんだあの模様は!?」



 教室の床にアニメなどでありそうな魔方陣が描かれてあり、光っていた。光がゆっくりと静まるのを待ってから教室へと足を踏み入れた。



「ク、クラスメイトが1人もいない……?まさか、今のに飲み込まれた……とか?」


「その認識でほぼ間違いないわ」



 突然後ろから話かけられ、心臓がキュッとした。



「……っと、ビックリしたぁ。君はさっきの……間違いないってどういうことだ?もしかして、さっきの魔方陣について何か知ってる……のか?」


「えぇ、知っているわ。詳しい事は言わないけどアレは召喚の魔方陣。つまり、私達のクラスメイトになる予定だった人達はどこか、こことは違う世界に呼び出されたわ」



 召喚……?違う世界……?いったい何を言っているんだ?


 まるで、作り話じゃないか。誰が何の目的で召喚したかは分からないが、あの電車が遅れていなければ巻き込まれていたかもしれないって事?不幸だと思っていたアレは幸運だったのか……。



「その、顔も知らないけどクラスメイトの皆は帰って来れるの?」


「さぁね、死ななければチャンスくらいはあるんじゃないかしら。どこに召喚されたかは知らないけど」



 この子はなんでこんなに詳しいのだろうか。正直に言うと、かなり痛い子の様に思えるが……まるで1度召喚されたことの有るような感じでスラスラと話している。



「これからどうしよう……え?はっ!?また、魔方陣が!」


「なっ……どういうこと!?さっきので召喚は終わったはずじゃ!?」



 この魔方陣は彼女も予想外だったらしく狼狽えてる。俺はもう頭が付いていかなくて、魔方陣の眩しさに視界を奪われて目をギュッと閉じる事しか出来なかった。



 ◇◇◇



「どうやら、また来てしまったのね……」



 そんな呟きが彼女から漏れだした。やはり俺と違って初めてじゃないのだろう。目が少し痛いがゆっくりと目を開けた。



「ここは……?」



「ここはね、君達の居た世界と今から行く世界の狭間。本当はこんな所に力を使ってまで呼び止める事はないんだけど、少し事情があって干渉させて貰ったよ」



 白く光っている丸い何かが話している。これは……何だろうか?



「神スフィア」


「おや、君は……たしか君達の世界での三年前にも会ったね。また召喚されるとは凄い確率だ。まぁ、君が魔王を倒せなかったから人族はまた召喚なんてしたんだろうけど。いや~封印出来ただけでも凄いと思うよ。ほんと」



 話に付いていけない……3年前?魔王?封印?



「……チッ。向こうの世界の事、情報を寄越しなさい。あと何故呼び止められたのかしら?前の時とは違うわね」


「まぁ、落ち着きなよ。ちゃんと理由は話すか、。そうだね、でもまずは自己紹介かな。そっちの男の子は初めましてだもんね、私はスフィア。今から君達の行く世界の神だ。君は?」



「か、神?あ、はい僕は霧島一縷(きりしまいちる)です……」



 神。この白く光っているのが……か?



「そう一縷くんね。じゃあ1つずつ説明しようか。時間は有限だからね、1回で理解してくれよ」



 だ、大丈夫かなぁ?無理だったら彼女に後で聞こう……。



「今から君達が行くのはトューダという世界だ。そこの彼女が初めて行った時より百年が経とうとしている。封印が弱くなったのは時間のせいだね。君達を召喚したのは人族。三つの人の国、大国が二つに小国が一つ。同時刻に召喚するように打ち合わせをしていたらしいんだけど、小国だけ少し遅い時間を教えられていてね、君達が巻き込まれたのはそのせいだよ」



 こっちでの三年前がそっちの世界では百年か……こっちの一日がむこうの三十三日位かな?あれ、違うかな?


 そんでもって、小国だから苛められてるのか?俺ら、その国に行くんだよな……?



「それで、召喚した理由なんだけどさっきもチラッと言ったよね、魔王リーベルトが復活しそうなんだ。魔王が復活すると魔族の勢力に勢いが出て他の大陸を襲いだすだろう。人族は数は多いんだけど身体能力は亜人族に及ばないし、魔法関係は魔族に及ばない。まぁ、全員がそうというわけじゃないけど。このままだと真っ先に滅ぼされる。それで人族が行ったのが召喚。勇者召喚さ」



 勇者……召喚。俺が勇者……勇者!? 今日から高校生の俺に……そんな力があるわけないだろ!? いやいや……ムリムリムリ!



「安心して欲しい。異世界へ渡る時に力はその身体に刻み込まれる。トゥーダでなら、それこそ勇者に相応しい力がそれぞれに与えられるよ。よかったね」



 そっか、それなら安心!……じゃない! 全然安心出来ないぞ。それって最前線に立って戦えという事だろ? 普通に嫌なんですけど……。



「それで、私達を個々に呼び止めた理由はなんなの?普通ならすぐにその小国へ行って、国王か王女の挨拶でしょう?」


「まぁね、そうなんだけどその小国が……分かってると思うけど立場が弱くってね。魔王討伐を果たした時にはその貢献度で利益の分配がされるんだけど……絶望的なんだよね。二大国の予定ではその小国には勇者は現れなかった、それで利益も何もなくなるって予定だったんだけど、君達が現れてくれた。私はね、あの小国……いや、その国の王女の為に君達に戦って欲しいんだ」



 大国としたら小国に下手に利益を取られて、国力を増やされるのは面白くないのかもしれないな……。


 というか、王女の為って言われてもなぁ?



「どちらにせよその小国に行くのでしょう?何も言う必要は無いのではないかしら?」


「あの子だけなんだよ。王族で民の為に魔王リーベルトを討伐って考えてるのは、そして何より私の存在を強く想ってくれている。他の人間にも神として崇められてはいるけどね、悲しい事に殆どの人は本気にしていない。教会も私の名の下にと言っているけど、ホントにスフィアという名前だけさ。それでも私はこの世界好きだよ? なかでもその王女が特別に好きなんだ。助けてあげたい。()のワガママで悪いけど、他の勇者より強い力を与えるからその国だけ……いや王女だけは守って欲しい。どうか頼まれてくれないだろうか?」



「……そう。ま、そんな理由は知らないわ。私は私の為に魔王リーベルトを倒す、今度こそ」


「うん。それでも構わない……一縷君はどうかな?」



 俺は……どうだ?いや、無理だろ。今日から高校生活を楽しむつもりで登校してきただけだぞ?それをいきなり争いのある世界へ連れて行く?


 それでも、起きたことはしょうがない……と、譲っても良い。が……流石に、大勢を守るなんて無理だと思う。自分が死なない事で精一杯だと思うし。



「無理……かもしれない、けど、自分が死なない力は欲しい。ワガママかもしれないけど」


「うん。それでいいよ。ホントにね王女は良い子なんだ。それは君自身で判断してくれていい。じゃあ、今からカタログを見せるからそこから選んでくれ。そこに書いてあるのはユニークスキル。他のスキルとは別格だ。普通のスキルは鍛えれば取れるからそれは頑張って。もちろん、身体能力の上昇値や元からの身体能力は高めにしておくね。けど、鍛えないと宝の持ち腐れになるから気をつけて」


「悩むなぁ……」


「私は決めたわ。この回復魔法にする。他のだいたいの魔法は既に使えるもの」



 そうか……前にも一度行っているんだったな。引き継いでいるだ……ズルくない? 強くてニューゲームってやつか。向こうに何年居たんだろ?



「そういえば、どうやって帰って来たんだ?それに、どのくらい向こうの世界に居たんだ?」


「それは、神である私が教えてあげるよ。魔王を倒す、または封印したと私が判断したらゲートを開く。だから心配はしないでね。こっちの世界に帰る時は君達が召喚された今日と同じ状態に戻れるよう調整するから大丈夫。身長とか体重はね。彼女は3年くらい居たのかな?」



 なるほど、帰れる算段はついているのか。なら死なないだけだ。誰かしらが魔王を倒してくれるかもしれないし。



「分かった。それにしても、スキルをどうするかな……矛か盾か……どっちにするかな」


「私とあなたが同じ小国なら恐らくパーティーを組む事になるわ。私は1人でいいんだけどね。つまり半端なユニークスキルなら足手まといになるわよ」


「あ、はい!」


 きっつぅぅぅ! 痛い……ハートが毒舌によってダメージを受けています。痛い……。


 何か無いかな……何か無いかな……ん? これはなんだろう?



「あの、カタログにある代償ページって何ですか?」


「それは……うん、支払う代償によって能力の幅が変わるヤツ。例えば、彼女が選んだ回復魔法だけど、代償が……爪や髪とかのまた生えて来るやつなら普通より少し強めになる程度。目や腕など生えて来ない物なら強力な能力になるよ」



 代償によって変わるのか。彼女は何を代償にしたのだろうか?



「ちなみに彼女は左目だよ……左目の視力」


「……勝手に言わないで欲しかったんだけど?」



 驚いた。声が出ないくらいに……そこまでするのか? 普通。そこまでしないと倒せないのか? 魔王ってのは……。



「そんなに強いんですか?魔王って」

「強いわね。魔王だけじゃないわ。魔王には配下だっている。死にたく無いならあなたも片方の視力くらい安いと思いなさい」



 えぇ……でも……えぇ。まぁ……死ぬよりマシか。



「決めました。俺はこの……消滅魔法ってのにします。代償は右目の視力」



「あら?あなたの利き目は左目なのかしら?」

「いや、多分右目だけど。2人共左目の視力が無いとかなんか……バランス悪いと思って」


「……変な人ね。まぁいいわ。私は白金詩葉(しらがねうたは)よろしく頼むわ」



 そういえば、名前聞いてなかったな。白金詩葉。白金さんだな!



「分からない事だらけだが、よろしく頼みます」


「そろそろ時間だね。とりあえず、眼帯あげるよ。痛みは無いと思うけど、向こうに行ったら違和感あると思うから気を付けてね。じゃ、また会えること願っているよ。……あの子の事よろしくね」



「頑張っては見ますよ」



 俺らは再び光に包まれた。



 ◇◇◇




「おぉ!勇者様だ!」

「この国にも勇者様が来られましたぞ!」

「これでこの国も……」



 片目を開けるときらびやかな部屋にきらびやかな服を着た人達の中心にいた。なるほど、来ましたか異世界に。



「し、白金さん。なんか、いろいろお願いします」



 情けない事にこんなに囲まれてる状況とか慣れていない。白金さんに全て任せた方が上手く行くだろう。あと左目だけってのに馴れないと。



「ゆ、勇者様、召喚に応じてくださって、ありがとうごじゃいます!」



 いいんですよ?そんなに顔を赤くなさらないで、僕もよく噛みます。いいんですよ。



「と、突然の事で驚かれていらっしゃると思いますんでせ、説明をしましゅね」



 落ち着いて下さい。どうぞ落ち着いて下さい。



「理由。経緯。この国の事は少しだけ知っているわ。大国との関係を教えて貰えますか?」



「え?あ、知ってるのです……か?」


「少しだけよ。とりあえず国の名前。その他の情報を聞かせてちょうだい」



「おい、なんだあの勇者は!」

「すこし、口が過ぎるようですな?」

「少し厄介そうだな……」



「な、なぁ…なんかザワついてるけど大丈夫なのか?」


「気にしなくていいわ。ソフィアも言ってたでしょ、聞いている良い子なのはあの王女だけ。全員悪いとは言わないけど、他は疑ってかかるくらいでいいわ」



 そ、そうなんだ……慣れてるなぁ~。



「で、では……説明させて貰いますね。この大陸はホルム大陸と言って主に人族が暮らしています。今回、会議で召喚を行ったのは三つの国で、エルミック王国、ボルトン帝国、そしてここソフュール王国です。この三国が魔王討伐の主な国となっています。とは言え、主なのは大国である他の二つの国なのですが…」



 まぁ、クラス単位で召喚して二人ってのは戦力の分散としてはおかしいよな。


「三ヵ国は協力関係にあります。魔王を倒すまでという期間は有りますが……」



 協力関係ね。残念ながら弱ければ食い物にされるのが、この世界の法則みたいだ。



「魔王は今、過去に勇者様が封印なされましたが、それが解けそうになっているみたいです。早くて1年後には現れると占いで予言されました。ですので勇者様にはこの1年で強くなって貰わなければなりません。勝手に召喚しといて本当に申し訳ありませんが、どうぞ、この世界を救ってくださいませ!」



「1つ、質問いいかしら?」


「は、はい!何でしょうか?」



「その封印した勇者について何か残ってるのかしら?」


「いえ、何故か勇者様は突然居なくなったとされています。たしか装備品がダンジョンの最奥部に在るという噂ならありますけど……」


「そう。それで私達は何をすれば良いのかしら?」


「勇者様達には強くなって貰うのが最優先になっています」



 うーん、なんかトントン拍子で話が進んでいくな。とりあえず強くなるって事しか理解出来てないぞ……?



「そう。霧島くん。何かあるかしら?」


「あ…えっと、僕、霧島って言うんですけど、王女様って名前なんでしょうか?」



「た、大変失礼しました。私、ソフュール王国の王女シルフィス=ソフュールと申します!」



 シルフィスさんね。覚えた覚えた。



「本日は部屋を用意しておりますのでそこでおくつろぎ下さい!」



 今日はここまでの様だ。俺達は騎士の格好をした男に部屋まで案内をして貰った。この国は弱小国って聞いてるし、大量に勇者が来たら、お金が足りなくなってたかもな。



「霧島くん、今からあなたの部屋で話すことがあるわ。いいわね」


「俺も聞きたい事あるし、それで大丈夫だけど?」



 俺に割り当てられた部屋に入ると内装は実にシンプルで使いやすそうな部屋だった。適当に座り、俺は白金さんに聞いた。



「ゲームとかでよく見るステータスってあるのかな?」



 俺が質問をすると白金さんが人差し指を口元に持ってきて“静に”のポーズをしてみせた。そして、部屋に置いてある紙とペンで文字を書き始めた。



 "盗聴の恐れがあるから筆記で"



 そこまで考えて無かったな。王女以外を疑うってそこまでするのか。



 "分かった"


 "さっきの質問の答えはイエスよ。指を前に出して下にスクロールするようにしながらステータスと唱えてみて"



 やっぱりあるのかステータス!早速やってみよう。



 ━━━━━━━━━

 イチル キリシマ Lv1


 HP 300/300

 MP 3000/3000


 STR 65

 VIT 65

 DEX 70

 AGI 85

 INT 50

 LUK 40


 スキル

 魔力制御 Lv1


 ユニークスキル

『消滅魔法』


 称号 『消滅の勇者』

 ━━━━━━━━━



 "出来ました”


 "他人からはそういったスキルが無いと見えないから安心して"


 "分かった”


 "ちなみにHP,MPが普通の大人は100ちょっとね。他のステータスは50ちょっとだから……あなたは魔力あるけど他はこれからって事ね”


 "あ、持ってるんですねスキル”


 "二度目ですもの。とりあえずあなたはユニークスキルで出来ることを模索しなさい。他の事は私がやるわ”


 "助かります”


 "目標はダンジョンに潜って私の装備を集めること。だから出来るだけ早く強くなりなさい”


 "やっぱり白金さんの装備なんですね、分かりました。では色々考えて見ます”


 "あの、称号なんですけど…ユニークスキルが関係してるんですかね?”


 "あなた…自滅とかやめてよ?”


 "消えないようにします……”




「今日の話はここまでね。とりあえず明日からよろしく」


「まだ分からない事だらけですが、お願いします」



 白金さんが部屋を出てから自分のユニークスキルについて考えていた。


 消滅って何だろうか……? 消す、滅する。拡大解釈も代償が片目だとどの程度可能かも調べないといけないな。


 そういえば、王女様も他の人達も目の事には突っ込んでこなかったけど……それほど不思議な事でも無いのかな?怪我してる人はそこそこ居るとかだろうか?



「うーん、紙に書き出してみるか……消滅だから、消す、滅するってことで」


 ━消す━

 火。音。灯り。文字。姿。消去。削除?



 ━滅する━

 心頭滅却。滅菌。



「まとまらないなぁ……とりあえず消すという事が根本にあって、それをどう応用するかだな。迂闊に消して、戻らないって事もありそうだし少し恐ろしい能力かもしれない」



 とりあえず何か消して良さそうな物は……さっきの紙でいいか!


「とりあえず文字を消したいけど、どうしたらいいんだろ? ……『ロスト』?」



 き、消えた!?文字だけじゃなく紙事ごと消えちゃったけど!



 別の紙に適当に平仮名を書き出した。



「今度こそ文字だけ消してみよう。たしか消しゴムがイレイサーだったから……『イレイス』」



 おぉ! 少し感動する。もう一度、今度は一文字ずつ消してみよう。


「イレイスだとまとめて消しちゃうから……『デリート』」



 今度は少し距離を取ってみよう。


「『デリート』」



 うん。部屋の端から端までの長さくらいなら、今の所大丈夫だな。今度は目を閉じて……。



「『デリート』」



 ……これは無理か。対象を見ている必要がありそうだな。少し楽しくなってきたぞ! こういうコツコツと何かを調べる事は嫌いじゃない。



「『ミュート』」



 音を消してみた。壁を叩いてもジャンプしても物音一つしない。これは使えそうだ。



「『パージ』」



 ヤバい!? どこかのネジが外れた!? でも、これは攻撃に使えるかもしれない。相手の関節を触れずに外したり……な。



 証拠を消すならイレイス。

 一部を消すならデリート

 音を消すならミュート。

 何かを外すならパージ。

 対象物そのものを消すならロスト。



 ロストはもっと練習すれば一部だけを消滅させる事が出来るかもしれない。


 守りでも、魔法そのものを消したり敵の武器、飛んでくる矢も消せる。


 これは、右目を犠牲にした甲斐はあったかもしれないぞ。課題は魔力が切れた時、それに魔法が使えなかった時にどうするかだな。その事は明日になったら白金さんに相談してみよう。



 俺はその後も消滅魔法の練習をして……眠りについた。



評価や感想お待ちしております!(´ω`)



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