6人目 足利義教(室町)
足利義教(義宣、僧としての名は義円)
室町幕府第6代将軍、第153代天台座主
父 足利義満
母 藤原慶子
生誕 1394年7月12日(応永元年6月14日)
死去 1441年7月12日(嘉吉元年6月24日)
死去の理由 暗殺
別名 くじ引き将軍
足利義教は室町幕府の第6代将軍です。この人物は中学日本史においては登場しませんが、高校日本史においては登場します。また、この人物の存在がこの後の歴史に大きな影響を与えます。今回は、足利義教の考察をしていきます。
まず、義教は1394年(応永元年)に室町幕府第3代将軍足利義満の五男として生まれます。幼名は春寅と言います。五男ということもあり家督を継ぐのはほぼ不可能な状態。そのため、1403年(応永10年)に青蓮院という天台宗系の寺に入り義円と名乗ります。1419年(応永26年)には、第153代の天台宗のトップである天台座主に就任しています。
僧として俗世から離れた義教ですが、室町幕府では5代将軍の足利義量が酒におぼれてわずか19歳にして死亡。その後、4代将軍の足利義持が代理で将軍職を務め公認を指名するように依頼するも幕臣が守らなければ意味がないとかたくなに後継指名をしないまま1428年(応永35年1月)に死去。そのため、幕府は6代将軍を誰にするのか揉めました。そこで、幕臣たちはくじ引きによって将軍を選ぶことにしました。くじ引きは神事であり神によって選ばれるというもので尊きものでした。現在でも選挙の際に票が同票であればくじ引きによって当選者を決めています。このくじ引きの対象となったのは、義持の弟の梶井門跡義承・大覚寺門跡義昭・相国寺虎山永隆・青蓮院門跡義圓の4人です。そして、くじ引きの結果、義円が将軍に就任することになりました。さっそく、義円は還俗し義宣のちに義教と名乗り6代将軍になります。くじ引きによって将軍に選ばれたことからくじ引き将軍と呼ばれました。なお、還俗するまで官位がなかったりしたので従五位下左馬頭を朝廷から最初は反対されたもののなんとかして叙位されます。
さて、くじ引きによって将軍になった義教ですが、彼はくじ引きは神事すなわち自身は神によって選ばれた存在として強権政治を行います。父である3代将軍義満の時の様な将軍専制の政治を目指そうとします。しかし、室町幕府というのは連合政権のようなものです。将軍の力と同じように守護大名の力があります。将軍専制というのはかなり受けが悪いのです。室町幕府が鎌倉幕府や江戸幕府と違うのは幕府の力がかなり弱いというところにあります。(ただし強いと主張している学者もいるのでこの感想は私個人の物です)
義教の政治として有名なのは延暦寺との対立、そして永享の乱です。永享の乱は、1439年(永享10年)に室町幕府の関東支配の地方機関である鎌倉府の公方(長官のこと)足利持氏と関東管領(副長官に相当)上杉憲実の対立のよって生じた戦のことです。そもそも持氏は義教の将軍の就任にも反対していました。そのため、義教とも対立していたのです。関東管領は将軍が任命する役職です。そのため持氏が室町幕府に対して反抗的な態度を取っていましたが、憲実は幕府に従順でした。こうした2人の関係が対立につながります。最終的に2人は軍事的に衝突し義教は自分に従っていなかった持氏を討つ絶好の機会であったので討伐を命じます。結果的に持氏は負けますが、これ以後関東においては応仁の乱以前よりも戦国時代に入ったとする学者もいるほど鎌倉府の力は弱まります。
持氏を始めとしてほかにも幕府の重要人物を多く粛清しています。こうした中、室町幕府の中央機関の1つである侍所の頭人(長官)に就任することができる四家(京極、山名、赤松、一色)の一角である播磨・備前・美作守護赤松満祐が義教に暗殺されるという噂が流れていた。満祐はこのことを警戒し、最終的に自分で先手を打って自らの屋敷に義教を呼び暗殺をしてしまいます。(嘉吉の乱)
義教は48歳で死去します。義教の死後赤松征伐の軍が送られるのに時間がかかっており幕府にも義教のかたき討ちをしようと考える勢力が少ないぐらいの人気のなさでした。この将軍暗殺という事件を通して室町幕府は衰退の一途をたどることになるのでした。
今回はこのあたりで終わりです。
◇参考
・ウィキペディア『足利義教』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E5%88%A9%E7%BE%A9%E6%95%99
・ウィキペディア『天台座主』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%8F%B0%E5%BA%A7%E4%B8%BB
・ウィキペディア『青蓮院』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E8%93%AE%E9%99%A2
・ウィキペディア『永享の乱』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E4%BA%AB%E3%81%AE%E4%B9%B1
・ウィキペディア『赤松満祐』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E6%9D%BE%E6%BA%80%E7%A5%90