71話 それぞれの戦い
魔族を一人撃退し俺は調子ずこうとした時、上から何やら巨大な気配を感じた。
「ほぉ、骨のありそうな奴がいるな」
上を見るとそこには黒金の髪に翼と角が生えた俺と同じ位の年の魔族が腕を組ながら降りてきた。
「我が名はスペル。【七罪悪魔】の一人にして傲慢の役職を持つ者だ」
俺はその名を聞いて顔が強張った。
【七罪悪魔】。差し詰め魔族の幹部って所か。
「我が名乗ったのだ。貴様も名を名乗れ」
「ケンヤ・コドウ。ただの学生だ」
俺は名を名乗るとスペルはピクッと眉を動かし、途端に興味深い物を見る顔になった。
「ケンヤ..........そうか、貴様がスーラのお気に入りか。それならば、少しは楽しめそうだ」
そう言ってスペルは面白そうに言ったが、こっちは訳が分からなかった。
スーラ?誰だそいつ?
俺はスペルの言葉に不思議に思っていると、スペルは急に神妙な顔をしだした。
「遂に、遂にこの時が来た。ご先祖様、見ていて下さい。必ずや貴方の無念を晴らします。にっくき人族共に永遠なる地獄を」
胸に手を当てながらスペルは遠い空を見ながら言った。
「我が先祖、偉大なる魔王様」
スペルの放った言葉に俺を目を見開かせながら驚いた。
「魔王?」
「そうだ、我は偉大なる魔王様の子孫。頭が高いぞ【ひれ伏せ】」
「!!?!」
次の瞬間、俺の体はまるで重力でも掛かったかの様に重くなり、徐々に体を屈め地面に膝を着き、スペルにひれ伏す体勢を取った。
おいおい、どうなってんだ!?体が勝手に!!
俺はこの状況に混乱していると、スペルが面白そうにしながら言った。
「驚いただろう。これは我が究極のスキル【魔言】。これに掛かった者は皆我の言いなりだ」
スペルの説明を聞いて俺は内心悪態ついていた。
何だよそれ!チートスキルすぎんだろ!!
俺は体を動かそうと必死にもがくが、体が少し動く位しか出来ず発砲塞がりになった。
くそ!動けねぇ.......。力じゃどうしようもないか、だったら!!
俺は意識を右拳に集中し、魔力を纏い少しずつ顔に近付け、拳が顔にぶつかると、俺の体の拘束が解け自由になった。
危ねぇ、やっと解けた。
俺は地面に手を着けながら息を荒くしていると、スペルは俺を見て関心していた。
「ほぉ、【魔言】を解いたか。流石はスーラが目を付けるだけある。そうでなくては面白ろくない」
関心関心と言った感じで言うスペルに俺は若干腹を立てるもこの状況の不味さを感じた。
正直やばいな。あの【魔言】のスキルは厄介だ。俺一人で倒せるか...........。
「言っておくが、援軍には期待するなよ。貴様の仲間も今頃は我が同胞達の相手をしているだろうからな」
ーーーーーーーーーーーーーー
ケンヤと別れたアイは一人の魔族と対峙していた。
「あら、可愛い小娘がいますわね」
「何、あんた?」
突如現れた魔族にアイは警戒していた。
その魔族は翼に口から牙が生え、黒く汚れた様な緑の髪をなびかせながらこちらを艶かしい眼差しで見ていた。
「あたくしは【七罪悪魔】の一人、【嫉妬】のサーペンス。貴女に会えて嬉しいわ。あたくし、貴女みたいな可愛い小娘が大嫌いなんですの。切り裂きたくてうずうずしちゃいますわ」
顔を赤くしながら舌を舐めずり回しているサーペンスを見て、アイは更に警戒を強めた。
「敵なら斬る」
「八つ裂きにしてあげますわ。小娘が」
「さっきから小娘小娘煩い、厚化粧なおばさん」
アイがそう言った瞬間、サーペンスは固まり、先程までとは違う鬼の形相になった。
「嘗めんじゃないわよ!!青臭い小娘が粋がってんじゃないよ!!」
サーペンスは怒声を上げるが、アイは澄ました顔のまま刀を構えた。
「ぶち殺す!!」
「こっちの台詞」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「何者だ貴様は」
「おいらはゼブ。【七罪悪魔】の一人で、役職は【暴食】。お前の魔力はどんな味だ?」
ポッチャリした体型にくすんだオレンジ色の髪をしたゼブは呑気な口調で言った。
だがそんな呑気なゼブとは対象にシルバは緊張の汗を掻いていた。
(この男、見た目以上に危険だ)
何故シルバがそう思うのかというと、ゼブの周りは沢山の市民や兵士、冒険者等の死体で埋まっているからだ。
しかも、よく見れば全員やつれた顔をしている。これは魔力枯渇をし過ぎた事によるものだ。つまりは奴に魔力を死ぬまで吸われたということか。
「早くお前の魔力を食わせてくれよ」
「ならば、早く決着を済ませよう」
ーーーーーーーーーーーーー
「おいおい、この程度かよ?もう少し頑張れよ」
「ぐっ....魔族がこんなに強いなんて......」
「フィーちゃん.........」
【強欲】の【七罪悪魔】、グリアとの戦いにフィーとココは手も足も出ず、地面に倒れ伏していた。まさか、ここまで実力に差があるなんて.......。
二人の攻撃は防御魔法を重ねているグリアには全く効かず、歯が立たないでいた。
もう、奴を倒す手がありません。
「まぁいい。楽に殺してやるよ」
この戦いに飽きたのかグリア手から圧縮された炎の球を出現させた。
ここまでですか.........。
「じゃあな」
グリアの手から炎の球が放たれフィー達の方へ真っ直ぐ向かっていった。
ご免なさい、ケンヤ様.........。
フィーはそう思うのと同時に顔を伏せ死を覚悟した。ーーーーーだがその時。
「シューティングウォーター」
突如横から放たれた水の矢に炎の球は消化され相殺された。
いったい何が......。
突然の事にフィーは驚いていると、横から声が聞こえた。
「か弱いレディーに手を掛けるとは、男の風上にも置けないね」
その声にフィーは顔を向けると、そこには光の弓を持ったリオンがいた。
「リオン、さん」
「やあ、美しいお嬢さん。折角の出会いに申し訳ないけど、ここは危ないから離れてくれるかな。僕があの男の相手をするから」
そう言ってリオンは鋭い目付きでグリアを見た。
「何だぁ、今度はてめぇが相手すんのか?」
「あぁ、僕がお前を倒す」
「はっ!!やれるもんならやってみな!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「お前が魔族か?」
「そうだよ。僕は【七罪悪魔】【怠惰】のアーケ。よろしくね~」
アランは目の前で手をヒラヒラさせながら挨拶をしてくるアーケと対峙していた。
「一応聞いておくが、お前敵なんだよな?」
アランはダルそうな雰囲気をしているアーケに何処かヤル気を削がれていた。
「ん~。まあ、そうだよ。僕は君の敵。だから僕は君を殺す」
「そうか、じゃあやるか」
そう言って俺は剣を構えると、上から叫び声が聞こえた。
「敵は何処だぁぁぁぁ!!!!」
ドォォォォォォン!!と地面にクレーターを作りながらその男は地面に着地した。
「レオーネ!?」
「あ?てめぇは大会の時の」
「ん~?何か増えた?」
突然降って現れたレオーネにアランは驚き、アーケは敵が増えたのかと不思議そうにしていた。
「あん?何だこいつ」
「魔族だよ。しかも【七罪悪魔】の一人だ」
「まじかよ。【七罪悪魔】って何かは知らねぇけど、強いってことだよな」
そう言うとレオーネは若干嬉しそうにしていた。
「何か増えたけど、ん~、まあいいや。纏めて倒せばいいか」
「舐めたこと言ってくれるじゃねぇか」
「倒されるのはお前の方だ」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「あら~、何やら粋の良さそうなのがいるわね~」
魔族を倒しているリーズとナティア、パシオンの三人の前に、ピンク色の髪の毛にはちけれんばかりの胸やスタイルを持った魔族が現れた。
「初めまして~、私ルリア。【七罪悪魔】の一人で役職は【色欲】よ~」
パチンとウィンクをするルリアにパシオンは若干動揺すると、リーズとナティアが冷めた目でパシオンを見た。
「ちょっと、パシオン」
「何敵にほだらかされてますの」
「なっ!?なってねぇよ!!」
顔を少し赤くしながら叫ぶパシオンにルリアはふふふと笑った。
「なるのも仕方ないわ~。私はそこの二人と違って魅力的ですもんね~」
そう言ってルリアは腕を組み自分の胸を強調させた。その事にリーズとナティアは腹を立て殺気をだした。
「ナティア、あの女ぶっ潰すよ」
「血祭りに挙げてやりますわ」
「ふふ、出来るかしら」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
スペルの言葉に俺は内心軽く舌打ちをした。
これじゃあ援軍には期待できないな。
俺は立ち上がり、拳に火の属性付与をした。
「てめぇ何か俺一人で十分だ」
「ふん、さあ、掛かってこい」
「ボコボコにしてやるから覚悟しろや!!」
ブックマーク、評価よろしくお願いします。




