7話 またやり過ぎた
授業が始まり俺は授業に集中していた。
正直内容はよく分からなかった。この世界の歴史に魔法に関する基礎知識等知らない内容が多すぎて途中で訳が分からなくなりそうだった。
休み時間中スティールの視線が痛かったがそれ以外特になんの問題もなく授業が進み、模擬戦の時間となった。
模擬戦の場所は前に俺がダグリー先生と試験をした所だった。
「おーし、それじゃあ二人組を組んで模擬戦を始める。適当に二人組を組んで各自始めろ」
先生の話が終わると皆それぞれの方向に散っていった。
俺は誰と組もうかと考えていると
「おい」
後ろからスティールが話し掛けてきた。
「俺と勝負しろ。そして俺が勝ったらもうフィーリア様に馴れ馴れしくするな」
まだ言ってくるんだこいつ。
しつこいな。
「あのなー、さっきから言ってるがそれはフィーの自由だろ。お前がどうこう言う事じゃない」
「うるさい、そもそも平民がフィーリア様と話すこと自体おこがましいんだ」
聞く耳持たないな。
「しゃあねー、いいぜ受けてやるよ。ただし俺が勝ったらもう俺に突っかかってくるなよ」
こういう奴には口で言ってもどうしようもないな。
「いいだろう」
実力で黙らせてやるよ。
俺とスティールは模擬戦をするため部屋の中央に立った。
周りには俺達の模擬戦を見るためにクラスの奴等が集まっていた。
俺がダグリー先生を倒したと聞いて皆注目しているんだろうか。
「では行くぞ」
「二度とそんな口がきけないようにボコってやるよ」
俺の言葉と同時に剣を持ったスティールが俺に迫って来た。
それにしても遅いな。
これなら避けるまでもない。
そう思い俺は魔力を纏わずスティールの剣を指二本で止めた。
「なっ!!」
スティールは信じられない物を見ているような顔をしていた。
「どうした?そんなんじゃ俺を傷付ける事なんて出来ないぜ」
パキィィン!!
そう言って俺は指二本でスティールの剣を折った。
「ばかな!俺はステータス平均Aクラスだぞ!!」
へー、あいつのステータス結構高いんだな。それでこの力なんだな。余程俺のステータスが高いのがわかる。
「だったらこれでどうだ!」
そう言ってスティールは俺と距離をあけ手を前に突きだし
「ウィンドスピア!!」
するとスティールの手から緑色の風の槍のようなものが出てきた。
それは俺に一直線に向かっていった。
流石に素手じゃ対抗できないので俺は手に魔力を纏い体勢を整え
「効かねぇよ」
魔力を纏った拳で思い切りウィンドスピアを殴り消滅させた。
「....嘘だろ」
それを見たスティールは信じられないという顔をしていた。
「それじゃ次はこっちの番だな」
そう言って俺は地面を蹴りそのままの勢いでスティールの腹を殴った。
「ぐふぅぅ!!」
魔力を纏っていたお陰でスティールは魔力を纏っていない俺の攻撃に吹っ飛ぶことなくそのまま地面に膝を付こうとしていた。
俺はスティールの制服の襟を持ち上げ無理やりスティールを立たせた。
「まだ模擬戦はおわってないだろ?勝手に倒れるなよ」
そう言って俺はスティールの腹を何度も殴った。
「いや...ぐふ!!..ちょ......がはぁ!!....やめ..がほぉ!!」
既に戦闘不能のスティールは抵抗できずにただ俺に殴られ続けていた。スティールは耐えきれずゲロを吐いたが俺はお構いなしに殴り続けた。吐いた時はちゃんと掛からないように顔を体を反らした。
「もうよせ、模擬戦は終わりだ」
見かねたダグリー先生が俺を止めに入った。
ダグリー先生に止められ俺はスティールを離した。スティールはそのまま動かなくなった。
そして一応念のため精神魔法(物理)を発動させ
「約束、守れよな」
そう言って俺はその場を去った。
しかし、あれだな。これは....................................またやり過ぎたー!!
やっぱり戦闘となるとこの喧嘩上等のスキルが勝手に発動しちゃうんだよな。
周りのクラスの連中は俺を見て物凄く引いてるよ!!中には俺を見て若干恐怖してる奴までいるよ!!これじゃ友達なんてできっこねーよ!!
フィーは事情を知ってるから特に変化が無いのが唯一の救いだな。何か逆に目を輝かせてないか?
「今日の授業はこれで終了とする。各自これで解散してくれ」
授業が終了して生徒達は解散していった。
「なあ、ケンヤ」
アランが俺に話し掛けてきた。
そういえばアランには何て言ったらいいんだ。下手したらこのまま縁を切られるかもしれないぞ。
俺が必死で言い訳を考えていると
「お前すげーな!!」
「はい?」
予想外の言葉に俺は驚いた。
「いや、強いとは思っていたけどまさかそこまで強いとは思わなかったわ。正直びっくりだ」
アランの言葉に俺は戸惑った。
「お前は何も思わなかったのか。俺の戦い方に」
「ん?いやまあ、確かにやり過ぎに見えるが何か理由があるだろ?戦ってるときのお前って別人見たいになってたし」
「そうなんですよ!!ケンヤ様はとっても凄いんですよ!!」
どこから出てきたのかフィーが俺達の話しに入ってきた。
俺は自分のスキルについて話した。スキルの能力に関しては話さなかった。自分の戦力は簡単に明かすもんじゃないからな。
「そんな欠点があったんだな」
「勝手に発動するから対処のしようがないんだ」
「でもあれはあれでかっこいいと思います」
「そう思ってるのフィーだけだと思うぞ」
どこの世界にあんなん見て格好いい何て思う奴がいるんだよ。
いや、目の前にいたか。
「俺もそう思う」
「えぇ!?格好いいですよ!!」
アランにも同意され、フィーは不満そうに否定した。
何か、そこまで言われると照れてくるな。
俺達はそんな会話をしながら教室へと戻った。
何かいいな、こういうの。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
帰り道アランと寮に帰る途中
「なあケンヤ」
「何だ?」
「次の模擬戦は俺と勝負してくれよ」
「それはいいけど、あんなん見た後にやりたいと思うか普通?」
「あんなん見た後だから言ったんだよ」
「は?」
「あんな強い奴と戦えるなんて堪らないだろ!!あれ見たときからわくわくしてしょうがないんだよ!!」
「そ、そうか」
「だからそんときは頼むぞ」
「あ、あー」
俺はアランの意外な一面を見た。
アランは戦闘狂だった。