68話 苦労人 2
「あれは確か、大会前で代表メンバーの皆さんと練習をしてそれが終わった後の事でした。
『会長、それでは僕はこれで』
『あら、何処行くの?』
『何時も通り美しいレディー達に会いに行ってきます』
『そ、程々にしなさい』
『はい、それでは』
そう言ってリオンは何時も通りナンパしに行きました「ちょっと待て」」
話の途中でパシオンが止めに入った。
「何だよ何時も通りって」
「リオンがナンパをしに行くのはうちでは何時も通りなんです。美人な人を見れば直ぐ様ナンパをしに行くんですもの。嫌でも慣れますわ」
「確かにリオン君のナンパしに行く時の行動力って凄いよね」
そう言って私はリオン君と初めて会った時の事を思い出した。
あれは本当に凄かったな。挨拶もせずに先ず第一声がナンパだたし。
「その癖リオンは顔が良いのでナンパされてそれで心射たれる人も少なくないです。リーズも危うくなりかけてましたが」
「な、なってないよ!あれは突然の事に驚いていただけ!」
確かに少しドキッとした所はあったけど、今はそんな事思ってない。勘違いしないで欲しいよ、全く。
私は少し恥ずかしそうにしながら言うと、分かっていたのかナティアはふふ、と微笑み続きを話した。
「話を続けますわね。何時も通りリオンはナンパしに行ったんですけど、その日からリオンは行方が分からなくなってしまい何日か経っても帰ってこなくなったのでどうかしたのかと思っていると、生徒の一人が慌てた様子で私の下に走ってきてこう言ったんです。
『会長!大変です!!リオンが他国の王族に捕まって死刑になるそうです!!』」
「ちょっと待てーー!!!」
話の途中でまたパシオンが止めに入った。
「何ですの、いちいち話の間に入って、これじゃあ話が進まないじゃありませんか」
「いや、お前の話に突っ込み所がありすぎんだよ!何でナンパしに行っただけなのにそうなるんだよ!」
話を止められて不機嫌になるナティアにパシオンは声を荒げて言った。
「どうもナンパの途中で他国の王女に出会した際にナンパしてしまったらしく、それがその国の国王様を怒らせしまい数日間捕まっていたみたいですの。
『初めまして、美しいお嬢さん。いえ、美しい姫様』
『え?』
『僕はリオン・ハーベスト。以後お見知りおきを(キラン)』
『は、はぁ』
『おい!何だ貴様!王女様から離れろ!』
『貴様!我が娘に何を慣れなれしくしている!!』
当然近くにいた騎士の人や国王様と止めに入ったんですけど、それでもリオンは止まらなかったんです。
『素敵なドレスですね。その首飾りも良く似合っています』
『あ、ありがとうございます。これは、母の形見なんです』
『そうですか。お母様もさぞ貴女に似てさぞお美しい方だったのでしょう』
『そ、そんな、美しいだなんて..........』
『おい!!貴様娘に変な事を吹き込むな!!お前達こいつを捕まえろ!!』
『本当の事を言ったまでです。現に今もこんな騒音が鳴り響く中貴女の美しさは損なわれる事なく美しいままなのですから』
『そ、そうでしょうか』
『はい、そうですよ』
『貴様!王女様から離れろ!』
『おっと、そろそろ時間のようです』
『あ!待って!リオン様!』
『また後でお会いしましょう。美しいお嬢さん』
ナンパされた後も王女様もナンパされて満更でない様子に国王様を更に怒らせた様で死刑に繋がったみたいです」
「救いようがねぇな」
「自業自得だね」
「私だって聞いた時はそう思いたしたわよ。それを聞いた時私はその国に行ってリオンと面会しました。
『リオン!!貴方何をやらかしたの!!』
『これは会長。今日も綺麗ですね』
『そんな事ないいの!それより自分が何をしたのか分かってますの!!』
『いやはや、美しいレディーを見ると、つい』
『ついじゃないのよ!!ついじゃ!!どうする気なの!!このままじゃ、貴方死刑になるわよ!!』
『その点に関しては問題ありませんよ。既に手は打ってあります』
『手?それはいったい何ですの?』
『いずれ分かります』
その時はリオンの言っている事が分かりませんでしたが、後日リオンは何食わぬ顔で学園に戻ってきましたの」
「いったい何をしたの?」
話の内容が気になり私はナティアに聞いた。
「どうやらこの前ナンパした王女様だけでなく、国王様の第二婦人達や側室の人もナンパして死刑を免れる様に頼んだみたいですの。後日帰ってきた時に国王様にもう来るなって泣かれたって言ってましたわ」
「それは..............」
「何ともひでぇ話だな.........」
娘をナンパした男を捕まえたら自分の妻達もナンパされるって、哀れな王様だな。
「この事があってから、私の目の届く範囲ではなるべくナンパはさせないようにしてますわ」
その方がいいだろうね。
もしまた王女とかをナンパしたら、今度こそ死刑になりかねないし。
「じゃあ、次は俺の番だな。俺も結構苦労な目に会ったぜ」
そう言ってパシオンは聞いてもいないのに語りだした。何か途中から暴露大会みたいになってきたね。
何か読んでてリオンが屑に見えてきた。
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