66話 好きな理由
魔闘大会から翌日が経ち、今日は一日【フォーカス】の街を観光する事になっている。天気は生憎曇りだが皆この日を楽しみにしていた。
俺はフィーとアイに前々から誘われていたため、一緒に観光する事になっている。
アランは俺達と行きたがっていたが、他の女子生徒に群がられ、半ば強制的にお茶に連れてかれていた。顔がいいのが仇になったな。
シルバは驚きな事にミルシーと行くことになった。最近何か元気がないミルシーにシルバが誘ったところオーケーしたらしい。
これは脈有り何じゃないか?
上級生達もそれぞれ別の所で観光に行っている。リーズはナティアとパシオンと一緒に何処かに行くらしい。結構仲が良いんだなあの三人。
「ケンヤ様、そろそろ行きましょうか」
「早く、行こう」
「あぁ、それじゃあ行くか」
俺達はいざ出発しようとした時、遠くから声が聞こえた。
「おおーい!フィーリアさんー!」
「ココさん!!」
ココが走りながらこちらに向かって叫んできた。フィーも嬉しそうにしながらココの名前を呼んだ。
「昨日ぶりだねフィーリアさん」
「そうですね。あの時はありがとうございました」
「気にしないで。僕も久し振りに楽しかったし」
ココはそう言うと俺達の方を向いた。
「初めまして、僕はココ。よろしくね」
「俺はケンヤだ。こちらこそよろしくな」
「アイン、よろしく」
俺達は互いに自己紹介を終えると、ココは俺をじっと見つめてきた。
「戦いを見てたけどケンヤ君は凄いね。まさか、レオが負けるなんて思わなかったよ」
「はい、ケンヤ様は凄い人ですから」
「ケンヤは、凄い」
ココの言葉にフィーとアイが乗るようにして俺を褒め称えてきた。何か慣れてきたな、こういうの。その事にココは少しにやにやしながらこちらを見てきた。これにも慣れてきたな。
「ケンヤ君って愛されてるねぇ」
「はい、私ケンヤ様が好きですから」
「私も、大好き」
前言撤回だ。やっぱり慣れないな。直球で言われるのはやっぱり恥ずかしい。逆に二人は慣れたのか好きというのに抵抗がない。いくら何でも慣れすぎじゃないか。初めの時のあの初々しさは何処いったんだ。
「そ、それでどうしたんだ?何か用があったんだろ」
俺は話を変えるべくココに言った。
「あ、そうそう。今日僕一人だからフィーリアさんと一緒に観光でもしようかなって思って」
「レオーネさんはどうしたんですか?」
「レオは修行する!!って言ってどっかに行っちゃった」
相変わらずだなレオーネの奴。
「それで、どうかな?」
「えっと、そうですね.....」
フィーはチラッとこっちを見てきた。明らかに行きたそうにしていたので、俺は頷くと途端に笑顔になりココに言った。
「はい!一緒に行きましょう」
「やった!ありがとうフィーリアさん!」
「フィーで構いませんよ。ココさん」
「うん!フィーちゃん!それじゃあ行こ!」
「はい、行きましょう」
そう言って二人は手を繋ぎながら歩いていった。仲良き事はいいことだな。
「それじゃあ、俺達も行くか」
「うん」
俺とアイもまた手を繋ぎながら別の方向へと歩いた。
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「それでは何処に行きましょうか?」
「それならここら辺に有名なカフェがあるからそこに行こうよ」
「いいですね。そうしましょうか」
私はココさんと一緒に街を歩いていると、ココさんが有名なカフェを知っているとのことなので早速そこに行ってみる事にした。
「ここがそのカフェだよ。ここのスイーツが物凄く美味しいんだ」
ココさんに連れられて来たのは自然な雰囲気で飾られたお洒落なカフェだった。
私達は早速店内に入りお目当てのスイーツを食べてみた。
「美味しいですね!これ!」
「でしょ!でしょ!これなら幾つでも食べられるよね!」
私が頼んだのは秋の栗のモンブランですけど、モンブランクリームの絶妙な甘さに中のクリームとスポンジがいい感じにマッチしていて、本当に美味しいです。
「レオにも誘ったのに甘いのには興味ねぇって言って一緒に行ってくれないんだよね。一度食べれば絶対好きになるはずなのに」
ココは残念そうにしながら言うと、私は唐突に言った。
「ココさんはレオーネさんの事が好きなんですか?」
「へ!?い、いや!べ、別にレオの事は好きっていうか......何というか....」
するとココさんは急に顔を赤くしながら慌てだした。分かりやすいですね。
「......好き....かな...」
ココは顔を真っ赤にしながらやがて顔を俯かせながら言った。
「そうなんですか~。成る程成る程」
私は顔を少しにやつかせながら言った。可愛い反応しますね~。やはり女子たるもの恋愛話は興味がつきませんね。
「むー、何か言いように言わされてる感じがする。そういうフィーちゃんだってどうなのさ。ケンヤ君の事好き........だったね」
「はい、私はケンヤ様が大好きですよ」
「物凄い正直だね。でもどうしてそんなに好きなの?」
ココさんの疑問に私はこれまであったことをココさんに話した。
「ーーーっという事があってから、私はケンヤ様の事が好きになりました」
「へぇ、色々あったんだね。でも理由は分かったけどどうしてそんなに素直になれるの?」
「そうですねぇ、一番の理由はアインさんがいたからだと思います」
「アインさんって、さっきケンヤ君と一緒にいた?」
「はい、アインさんもケンヤ様の事が好きで私以上に積極的だったので、負けじと対抗しようと思ったら何時の間にかこうなっちゃいました。」
もしアインさんがいなかったら私は今でもケンヤ様に思いを告げれらなかったでしょう。
初めはとても恥ずかしかったんですが、今ではもう慣れてしまいました。慣れとは恐ろしいものです。
「何だか、色々と凄いね」
「では次はココさんの番ですね」
「え!?僕!?」
「私が言ったんですから、当然ですよ」
私の言うことにココさんは恥ずかしそうにしながらどうしよう~と悩んでいたが、やがて決心したのか話始めた。
「えっとね、僕、昔は内気で臆病な性格だったの。【超怪力】のスキルがまだ上手く扱えなかった時で、謝って友達を傷つけたことがあったんだ。それ以来人に近付くのを止めようと人を避け続けていたら、レオに会ったの。
『お前が怪力女か?』
『君、誰?』
『俺はレオーネ。俺と勝負しろ』
『え、だ、駄目!こっちに来ないで!怪我するから!』
『うるせぇ!俺がお前を倒すんだから関係ねぇよ!』
そう言ってレオは私に襲い掛かってきたけど、当時はまだレオーネより私の方が強くて、勝負は私が勝ったんだ。
『お前やるな』
『嘘.....私の攻撃を受けて平気なの?』
『当たり前だろ。俺はあの程度平気に決まってるだろ。それよりまた明日勝負するぞ。同じ時間にまたここに来い。逃げるなよ。それじゃあな』
『え、ちょっと......』
それからレオは毎日の様に私の所に来て勝負するようになったの。まあ、あの後レオには直ぐに負けたけどね。でも、その時かな。レオを好きになったの。あの内気な私をここまで変えてくれたから好きになったんだと思う.........あぁ!!何だかまた恥ずかしくなってきたよ!!」
言い終わってまた恥ずかしくなってきて顔を両手で隠しているココさんを見て、私は思わず微笑んだ。
「とっても素敵な話ですね。正直感動しました」
「そ、そう.....」
「はい、とってもいい話でしたよ」
私はそう言って持っていた紅茶をすすった。
「その思いが叶うといいですね」
「う、うん.........」
またレオーネさんの事を考えたのかココさんは俯きながら頷いた。
叶うといいですね。ココさん。
レオーネがやたら頑丈な理由。昔ココに殴られたから。
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