63話 激戦
「悪いけど先手は譲らせて貰うよ。ルビー、アリス」
リオンがそう言うと、リオンの後ろに先程の青髪の精霊と赤髪のポニーテールに赤いドレスを着た精霊が出てきた。
弓の弦を引くと赤と青の光が混じった矢が現れた。
「霧隠れ」
弦を離し矢を俺達の中央に突き刺すと矢から水蒸気の様な霧を噴射させた。
霧はあっという間に辺りを埋めつくし、俺達は互いに前が見えないという状態になった。
途中「なんだぁ!!」というレオーネの声が聞こえたがそれ以外は何も聞こえない静かな空間になった。
意識を研ぎ澄ましていると真横から何か飛んでくる音が聞こえた。
「うお!!」
俺は反射的に体を反らすと緑色に光る矢が俺の体を掠めた。
「へぇ、今のよく避けたね」
何処から聞こえてくるのかリオンが面白そうに言った。
向こうの方でレオーネの「あぶね!」という声も聞こえたのであいつも俺と同じ目に合ってるんだろう。
「さあ、どんどん行こうか!」
リオンがそう言うと、四方八方から矢が大量に飛んできた。
「ちぃ!!」
俺はそれを避けるなり拳で無効化したりなどしてかわし続ける。
レオーネの方も「くそがぁぁ!」という声が聞こえるのであっちも頑張ってるんだろう。
しかし流石にこのまま避け続けるのも辛い。
そう思い俺はあることを思い付いた。
「折角なら送り返してやるよ!」
俺は今度は矢を無効化させるのではなく反射させることにした。
飛んでくる矢は飛んできた方向と反対に飛んでいく。
「おっと!危ないな。まさか跳ね返して来るなんて」
跳ね返した矢が当たりそうになったのかリオンが危なそうに言っていた。
「ちっ、そろそろ霧隠れの効果がきれるな」
矢を跳ね返している内にリオンがそう言うと段々霧が晴れていき、やがて消えていった。
霧が晴れるとそこにはレオーネが無傷で立っていた。彼の周りには矢が何本か突き刺さっていて、自力で跳ね返していた事が伺われる。
「全く、あれだけやって二人とも無傷なんて流石といっていいのか人外といっていいのか。一応矢の中で最速のブースターを使ったのに」
溜め息混じりリオンが言った。
後ろには先程の二人の精霊とは別に風の精霊と黒髪をツインテールにした闇の精霊らしき者がいた。
「でもまあ、まだ手はあるけどね」
そう言ってリオンは指をパチンッと鳴らすと途端にレオーネが悲鳴を上げた。
「な、何だこれ!!」
見るとレオーネの周りに刺さってた四本の黒い矢が輝きだし、矢から鎖が出た。それはレオーネの両腕と腰に巻き付き拘束した。
「呪いの拘束。闇の精霊、ミヤがいることによって出せるダークの矢によって造り出される拘束の鎖。攻撃する途中念のため二人の足元に設置しようと思ったんだけど、ケンヤ君には跳ね返されちゃったけどね」
「くそ!何だよこの鎖は!外れねぇ!」
リオンの説明を無視しながらレオーネは鎖を引きちぎろうと腕に力を入れるが一行に千切れそうになかった。
「ルビー」
リオンはフーリエとミヤを仕舞うと今度は火の精霊であるルビーを出した。
「さあ、先ずは一人目。焔の豪矢」
リオンは弦を引き四本の赤い矢を同時に飛ばすと、四本の矢が1つになり巨大な炎の矢と変わりレオーネに襲いかかった。
ドォォォン!!
巨大な炎の矢はレオーネに直撃し、爆発を起こした。レオーネの至近距離で爆発が起こると爆風でレオーネの姿が見えなくなり辺りは煙で包まれた。
煙が晴れ見るとそこには穴が開いた地面があった。俺はレオーネがやられたかと思い穴の開いた地面をよく見ると、レオーネは手を顔にクロスした状態で立っていた。
鎖はさっきの爆発で消えたのかなくなっている。
「へぇ、まだ生きてたんだ」
リオンは目を細めてレオーネを見る。
よく見るとレオーネの頭は白くなり、さっきまで纏っていた黄色のオーラから白色のオーラに変わっていた。
「【獣気 玄獣のオーラ】これは防御がくそ固くなるオーラだ。といっても熱までは完全に防げねぇけどな」
確かにレオーネの体は所々服が焼けている箇所がある。
ダメージはゼロじゃないみたいだな。
「この礼は倍にして返してやるよ。【獣気 琥獣のオーラ】」
今度はレオーネの頭と纏うオーラの色が緑色に変わった。
レオーネは体勢を低くして獣の様な姿勢になってリオンへと飛び出していった。
そのスピードは速く、俺の風の属性付与をした時より遥かに速かった。
「ぐぁ!!」
レオーネの拳はリオンの腹に直撃し、リオンは後ろに飛んでいった。
「ついでにてめぇもだ!」
レオーネはそう言うと同時に俺の懐まで来た。
俺はあまりの速さに呆気にとられ反応が遅れレオーネの拳を諸に腹に受けた。
「がはぁ!!」
俺は体をくの字に曲げながら飛んでいき岩へと激突した。
まじかよ、何だよあの速さ.......。
俺は腹を抑えながら立ち上がるとレオーネはリオンの方へ向かい、リオンの首を片手で持ち上げていた。
「先ずはてめぇからだキザ野郎。獣王の鉤爪」
そう言ってレオーネはリオンを掴む手とは反対の手の爪から緑色の爪を出現させた。
「くたばりな!」
レオーネは爪を突き立てリオンの首を刺そうとしたその時、リオンは不適に笑った。
「それは君の方だ、野蛮君。フーリエ!」
リオンは風の精霊のフーリエを呼ぶと手に精霊の弓を出しゼロ距離でレオーネに向けた。
「くそが!」
「爆風爆速矢!」
レオーネは先に爪を刺そうとしたがリオンが先に矢を放つと竜巻を帯びた矢がレオーネを襲った。
ゼロ距離で竜巻の矢がレオーネに直撃し、二人の間に突風が生まれ二人を岩まで吹き飛ばした。
「がぁ!」
「ぐっ!」
二人は岩に叩きつけられ呻き声を上げる。
「くそがぁ........」
「あぁ...........」
二人はフラフラになりながら立ち上がると互いに睨み合った。
「おいこら待ておめぇら、何俺を無視してんだ」
俺は睨み合っている二人に言うと俺は両手両足に火の属性付与をした。
「もうお前らのターンはやらねぇ。こっから少し本気で行くぞ」
そう言って俺は更に両手両足に風の属性付与をした。
炎は赤色から緑色に変わり俺の両手両足に燃え盛っている。
「複合属性付与。緑炎」
分かりづらいと思うので説明しときます。
リオンの精霊の弓には精霊を出すことによって特殊な矢を出します。
火 ファイア
水 アクア
土 ガイア
風 ブースター
光 ホーリー
闇 ダーク
と言った感じでそれぞれ分けられています。
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