57話 精霊使い
シルバ視点
「アランが負けたか」
俺は刀を鞘に修めながらそう言った。
先程エルフの生徒と鉢合わせしたが意外と大したことなかったな。
それにしてもあのアランが負けるとはな。
レオーネという奴はやはり相当な使い手というわけか。
「さて、次に行くとするか」
俺は魔方陣の方に行き転移しようとすると、域なり魔方陣が光だした。
敵か?俺は刀に手をやり戦闘体勢に入ると。
「おっす、お兄」
魔方陣からアイが出てきた。
「何だアイか」
俺は刀から手を離しアイの方へと向かった。
「敵にはあったか?」
「獣人とエルフにあった」
「こっちもエルフにあったぞ。大した事はなかったがな」
「私も余裕だった」
俺はそんなことを言うアイに流石だなと思った。
アイは俺より強い。
故に負け知らずだった。
だから中間試験でケンヤに負けた時はあんな事を言っていたが実質悔しかっただろう。
それに俺は知っている。
夏期休暇の時は俺達とダンジョンに行かず一人で修行していたことを。
一人の男に追い付く為に。
全くケンヤよ。お前なら妹を任せられるな。
「どうかした?お兄?」
「いや、何でもない。それより次に行くか」
「うん」
俺はアイと共に別の魔方陣に入った。
魔方陣に入り転移するとそこは森の中だった。
辺りを見渡すとそこには森の木が倒されていて明らかに戦闘をした形跡があった。
「おや?君達は?」
森の木が倒されていた場所の中央には一人の男が立っていた。
あの男は確か、エルフの切り札の......。
「確か、リオンだったか」
「そう」
俺達はリオンに近付くとリオンはアイを見るなにダッシュでこちらに向かってきた。
「初めまして美しいお嬢「雷化」おぉっと!!」
ダッシュで近付いてきたリオンに対しアイは得意の居合いでリオンを斬ろうとしたが、リオンは紙一重で避けた。
「おっと、これはまた過激なお嬢さんで」
「次は外さない」
やれやれと肩をすくめるリオンに対しアイは完全に殺る気な目でリオンを見ていた。
あれはアイの苦手なタイプだなと俺は思った。
「やれやれ、にしても今日は人族の人と縁でもあるんでしょうか。また人族の人と会うなんて」
その言葉に俺はピクリと反応した。
「俺達の他にもあったのか?」
「えぇ、フード被った暗い人と何か口調が後輩っぽい人に会いました。勿論倒しましたけど」
シグマ先輩とクローク先輩か。
あの二人が負けたということか。
「相手にとって不足なし。それでは参ろう」
「次は当てる」
俺は刀を抜きアイは刀を抜かず刀の柄を握った。
リオンはそれを見て仕方ないとばかりに構えた。
「仕方ない。美しいレディに手を出すのは少々気が引けますが、やりましょうか」
そう言ってリオンは無言のまま手を前に出し、人差し指をくいっと上に上げた。
「ぬお!!」
「ぐっ!!」
突如俺とアイの足元から炎が吹き出した。
俺とアイは突然の事に驚きながらも冷静に風と雷を使い炎から脱出した。
するとリオン今度は人差し指をくいっと下に下げた。
「ぐはっ!!」
俺の真上から大量の水が滝のように落ちてきた。
俺は水の水圧にやられ地面に這いつくばった。
永遠と落ちてくる水に俺は身動きができなくなった。
「お兄!」
それを見たアイは俺を助けようと雷化した状態でリオンに向かっていった。
ジグザグしながら向かうアイにリオンは少し翻弄されていた。
「速いですね。ならば!」
リオンは手を軽く下から上げると、リオンの周りの土が棘の様になって一斉に出てきた。
「ちっ!雷!」
アイはそれをジャンプしてかわすと空中でリオンに雷を落とした。
雷はリオンの所に落ち直撃した。
「いやはや、危ない所でしたね」
雷はリオンに直撃したと思いきや、リオンは自分の上に土の壁を造り雷を防いでいた。
すると何故か俺を拘束していた水が消え俺は立ち上がった。
にしても何なのだあいつは。
さっきから見ていればあいつの魔法は普通じゃないぞ。
無言で魔法を使うなんて聞いた事がない。
それに何故だろうか。あいつの魔法は魔法のようで魔法じゃない感じがする。
「お兄大丈夫?」
「あぁ、助かった」
俺はアイに礼を言うと、リオンの方を向いた。
リオンは余裕と言わんばかりの笑みをこちらに向けてきた。
何か腹立つな。
「アイ、俺があいつの隙を作る。その隙を突いて一気に決めてくれ」
「分かった」
アイは了承すると俺はリオンの方を向き刀を振るった。
「風斬波!」
「無駄だよ」
リオンは目の前に土の壁を造り風斬波を防いだ。
これで死角は出来たな。
「ジェットウインド!」
俺は土の壁をジャンプで飛び越え刀を上段に構えたままリオンへと向かった。
「風雅一閃!!」
「!!?」
リオンは咄嗟の事に反応出来ず刀はリオンに届こうとしていた。
だが刀はリオンに届かず空を斬った。
「今のは流石に危なかったですね」
声がした方を見るとリオンはふぅっと言った感じでホッとしていた。
見るとリオンの足元から風が吹き出していた。
それで避けたんだろうか。
だがそれでも甘い。
俺はそう思いにやっとした。
「安心するのはまだ速いんじゃないか?」
「え?」
俺の言葉にリオンは理解できていなかったが、次の瞬間リオンは俺の言葉の意味を理解することになる。
「やれ!アイ!」
「雷人化!」
ホッと安心しているリオンに対し、アイは後ろから黄色い雷と化した手と足でリオンに斬りかかった。
「しまっ!!」
リオンは完全に油断していたのか反応する前にアイの刀がリオンの体に届こうとしていた。
ガギィィィン!!
「なっ!?」
「何!?」
だが刀はリオンの体に届く前に何かに阻まれるように止まった。
見れば土の壁がアイの刀を遮っていた。
だがそれでもおかしい。
雷人化状態のアイの斬撃はあんな土の壁なら壊せる筈だ。
それが何故壊れない?
「助かった。ありがとう、マリア」
すると今度はリオンの後ろに突如として少女が現れた。
茶色のドレスに茶色の瞳と髪のその少女は無言で何か言いたそうにリオンを見ていた。
「ごめんごめん。もう油断しないからそんなに怒らないでよ」
リオンはその少女の言いたいことが分かるのか謝っていた。
いや待て、何なんだよそれは?
俺は突然現れた少女を見て驚いていた。
「紹介するよ。彼女はマリア。僕のユニークスキル【精霊使い】によって呼び出された土の精霊さ」
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