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異世界行っても喧嘩上等  作者: サザンテラス
51/73

51話 これ詰んでない?

 アイのキャラ崩壊があったが、俺達はどうにか洞窟の奥にある花のある所に着いた。

 道中またキャラ崩壊しかけたがそこは少し慣れたのかどうにかなった。


「あれが依頼の花か?」


「そう」


 俺の背中に背負られているアイが短く応えた。

 これまでさんざん怖い目にあってきたから顔が少し疲れている。


 俺の目の前には洞窟の中なのに一部だけ土の部分があり、そこには花弁が虹色に輝く花が一輪だけ咲いていた。

 周りの光る鉱石が微妙に暗い洞窟を明るくし、そこに咲く一輪の虹色の花は幻想的に輝いていた。


「見たところ近くに魔物もいないことだから、取り合えず取りに行くか」


 俺はキョロキョロと周りを見渡しながらそう言って花に近付こうとすると


「!!ケンヤ待って!」


 突然アイが声を挙げ俺に止まるように言った。

 俺はアイの言葉に立ち止まると、急に地面が揺れだした。


 すると土の部分が盛り上がり花を頂点にどんどん高くなっていった。

 

「おいおいまじかよ」


 俺はどんどん盛り上がっていく土を見上げながら言った。 

 土は盛り上がっていくにつれ形を成していき、やがて土の化物が現れた。


「ゴガァァァァ!!」


 土の魔物は低い声でうねりを挙げた。 

 あれが依頼にあった魔物か。

 近くっていうか、本体じゃねぇか!


「先ずはあれをどうにかしないとな!」


 俺はそう言ってアイを背負ったまま土の魔物に蹴りを喰らわした。

 しかし俺の蹴りは土の魔物の一部を粉砕しただけで直ぐに元に戻ってしまった。


 体が土だから打撃が通じないのか。

 これはかなり厄介だな。


「ケンヤ、あれは土の魔物だから水に弱い」


 アイはそう俺に助言するが俺は水の魔法は一切使えない。

 かといって、アイも雷しか使えないから水は無理だな。


「他に何かないのか?」


 俺はアイにそう聞くとアイは少し考え込み


「ない」

 

 きっぱりと言われた。

 いやないのかよ!

 ないってこれなんか詰んでないか?

 

「............これってやばくないか?」


「.........確かに」


 俺とアイは無言になったがここまで来て諦めるわけにはいかない。  

 アイの努力を無駄にしてたまるか。


「兎に角、何か策を考えるか」


「うん」


 俺の言葉にアイは頷き考えが思い付くまで取り合えず土の魔物の攻撃をかわし続けた。

 土の魔物の攻撃は体を倒して土の中に取り込むくらいしかしないので避けるのは簡単だ。

 考える余裕は十分にある。


 しかしどうしたもんだろうか。

 物理は効かない、魔法は水じゃなきゃ効果がない。

 少なくとも俺とアイが使う火と雷じゃ相性が悪すぎる。


「そういえば、この魔物はどうやって動いてるんだ?」

 

 土の魔物を観察し続ける内に俺はふと思った。

 体はただの土なのに一体どうやって動いてるんだ?


「それは、魔力?」


 何故か疑問系でアイが言った。

 アイも余り分かっていないようだな。

 にしても、魔力か。

 

「だったら、どうにかなるかもしれない」


「本当?」


 俺の言葉にアイは反応した。

 この魔物が魔力で動いているなら話は簡単だ。

 その魔力がなくなればいい。


「悪いが一旦下ろすぞ」


 俺はそう言って隅の方まで行きアイを下ろした。

 アイは若干名残惜しそうにしていたが、今は我慢して貰おう。


 俺は土の魔物の方を向き両手に闇の属性付与をして拳を構えた。


「どらぁぁぁぁ!!」


 闇の属性付与をした両手で土の魔物に連続で殴った。

 土は何度も崩れ、何度も再生した。

 土の魔物は俺を呑み込もうとするが速度が遅く俺は軽々とかわし、また殴り続けた。


 何度も殴り続けているうちに次第に土の魔物の再生速度が遅くなってきている。

 どうやら正解だったみたいだな。


 何度も何度も殴り続けている内に土の魔物の動きが止まった。


「ウゴガァ......」


 やがて、土の魔物は形を保てなくなったのか土が崩れ去り低い声の叫びと共に消えていった。

 地面には依頼の花だけが残っていて、俺はそれを速やかに回収した。


「やっと倒せたか」


 ここまで来るのに何回殴った事か。

 意外と時間が掛かったが俺は依頼の花を持ちながらアイの所に言った。


「アイ、立てるか?」


 俺はアイに手を差し伸べた。


「.............無理」


 これまでの事で腰が抜けていたのか、アイは立てそうになかった。


 仕方ないので俺はまたアイを背負うことにした。  

 アイは若干嬉しそうにしながら俺にしがみついていたが、そこはまあ、良しとしよう。

 

「それで、例の湖は何処にあるんだ?」


「あっち」


 アイが指差した方向に俺は進んだ。

 少し細い道だったが魔物は出てこず比較的安全に進めた。


 道中光る鉱石が急に少なくなり周りがかなり暗くなってアイが少し震えていたが、次の瞬間その震えが止まった。

  

「おぉ.........」


「すごい..........」


 細い道を抜けると俺達の目の前には水面が青く光るとても綺麗な湖があった。

 

 暗い洞窟の中に唯一光るそれは洞窟の中を明るく照らし幻想的に輝き続けていた。


 見た感じこの光は道中にあった光る鉱石が湖の底で大量に密集している影響で水面が青く光っているのだろう。


 天井にも幾つか鉱石が散らばっていてまるで星のように表現されている。


 まるで星空だな。


「綺麗だな」


「うん」


 いつの間にか俺達は近くの岩に腰掛け湖を眺めていた。

 距離は自然と近く肩と肩がくっついていた。

 

「アイ、来てよかったな」  


「確かに、良かった」  


 アイは何時も通り無表情だが確実に喜んでいた。  

 しばらくこの光景を眺めていると


「ねぇ、ケンヤ」


 不意にアイが話し掛けた。  


「今日は、ありがとう。色々と」


 色々とというのは、このデートの事だけでなくこれまでずっとおんぶしていた事もだろう。

 

「気にするな。約束だしな。それに、俺も来てよかったと思う」


 この景色にはそれほどの価値があるな。

 こんな綺麗な景色は今までに見た事がない。


「ありがとう。ケンヤ」


 そう言ってアイは顔を俺の肩に乗せた。

 俺とアイはそのまま静かな時を過ごした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーー





「そろそろ帰るか」


「うん」


 数十分が経ちそろそろ帰ろうと思い俺達は立ち上がった。

 アイももう腰は大丈夫なのかちゃんと立ち上がっている。


「それじゃあ、アイ。帰りも頑張ろうな」


 俺はそう言ってイタズラの笑みをすると、アイは反対に顔が真っ青になった。


「もう、無理」


 そう言ってアイはへたりこんだ。

 この後も俺はアイを背負いながら洞窟を出た。

 帰りも終始アイは水滴や魔力の声にビクビクしていた。

 多分これは一生治りそうにないな。

 同じ展開にビクビクしているアイを見て俺はそう思った。

 

 

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