48話 お祭りデート
間違えて完結済みになってました。すいません。
しっかり続きますのでよろしくお願いします。
「ケンヤ様!次はこちらに行きましょう!!」
俺はフィーに手を引っ張られながら人込みの中を歩いていた。
「ちょっ!そんな引っ張るなって!」
俺は片手に持っているアイスのような物を落とさないように気にしながらフィーに引っ張られていた。
どうしてこうなったかというと時間は大分前に遡る。
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「暇だ..........」
俺は自室で一人そう呟いた。
ダンジョンでの一件以来ギルドではちょっとした騒動になり、パーティーへの勧誘が絶えなかった。
魔族に関してはアレックスに報告したから後は大丈夫だろう。
この状態では街もろくに歩けないので俺達は今自室で大人しくしている。
きっと他の三人も同じような状態だろう。
だがあの一件で一番厄介だったのは、フィーとアイだな。
今回二人には内緒でダンジョン攻略をしていたので、
「どうして私達を誘って下さらなかったのですか!!」
と言われ納得して貰うのにとても苦労した。
最後には今度フィー達一人づつとデートすることで事なきを得た。
ミルシーの事についても最初俺の女だと思われたようで、
「ケンヤ様、あの女は何ですか?」
「ケンヤ、あの人、誰?」
と笑顔で詰め寄られた。
俺は若干恐怖しながらも俺の弁明とミルシーの助言により何とかそこは回避した。
だが逆にシルバのミルシーに対しての接し方や反応を見て、フィーとアイは察したのか
「これは.....」
「将来の義姉?」
と完全にシルバのミルシーに対しての好意を見抜いていた。
やっぱり女はそこら辺に関しては鋭いな。
そんな一幕があってから数日が経ちこれまでの事を思い返していると
ドンドン!!
玄関に誰か来たようで俺は体を起こし、玄関のドアを開けるとそこには可愛らしい服装をしたフィーがいた。
「こんにちわ、ケンヤ様」
そう言ってフィーはにっこりと笑った。
白いワンピースに身を包んだその姿は天使と見間違える程の美しさで俺はその姿に少し見とれていたが、直ぐに平静を取り戻した。
「どうしたんだ?フィー」
「この前した約束のデートをしに来ました」
この前のというのはダンジョンに帰ってきた時にフィー達を宥める時にした約束だろうか。
「いや、今外に出たらデート所じゃなくなるぞ」
「心配入りません。外に馬車を待たせてあります。隣街に行けば問題ないと思います」
まさかの馬車ですか。
流石王女様は考えることは違うな。
「それでは行きましょう!」
フィーの流れに流されるままに俺は馬車に乗った。
拒否権はないんだな。
まあ、拒否することはないけどな。
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馬車に乗って俺は無事に街の城壁を抜けた。
街中はまだダンジョンの話で持ちきりになっていた。
何時まで続くんだろうか。
「そういえば、何処まで行くんだ」
まだ行き先を聞かされていなかったので、俺はフィーに聞いた。
「実は隣の街でお祭りがあるんです。そしてそこにはここら辺では有名な劇団が来るらしいんです」
そんな祭りがあったのか。
俺はその話を楽しそうにしているフィーを見て思わず微笑んだ。
余程楽しみなんだな。
「それに」
急にフィーは喋り出すのを止め、少し恥ずかしそうにしている。
「それにケンヤ様とお出掛けするのがこれが初めてなので、つい嬉しくて」
恥ずかしそうに手で口許を隠すその仕草に俺はドキっとした。
何かさっきからドキドキされっぱなしだな。
それに確かに今思えばフィーと二人で出掛けるのは初めてだな。
「それじゃあ、今日は目一杯遊ぶか」
「はい!!」
俺の言葉にフィーは元気な返事をした。
俺も段々楽しみになってきたな。
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目的地の街に着き、俺とフィーは馬車を降りた。
街の中はお祭りを満喫する人や出店などで賑わっていた。
「とても賑わっていますねケンヤ様!」
祭りの賑わいようにフィーは目を輝かせながら言った。
祭りの出店からは香ばしい匂いや甘い匂いが漂って確かに色々目移りしてしまう。
フィーが目を輝かせるのも分かる。
「どれから行くか」
俺は通りに並ぶ様々な種類の出店を見ながら言った。
月並みな物から異世界人の俺にはよく分からない物まで色々ありすぎて結構悩む。
「でしたら先ずはあれに行きましょう!」
意気揚々とフィーが指差したのは、プカプカと浮かぶ風船のような物に吹き矢を当てる射的のような出店だった。
「すいません、一回お願いします」
そう言ってフィーは屋台の店主に料金を払った。
「はいよ!!一人五発な!!」
そう言って店主から五発の吹き矢の矢を貰い、フィーは早速吹き矢に矢を入れ構えた。
目の前の風船は大小様々な風船があって風船が小さければ小さいほど豪華な賞品を貰えるようだ。
フッ!!
勢いよく発射された矢は風船の横を通り地面に落ちた。
「う~、難しいですね」
矢が外れてフィーは悔しそうに軽く唸った。
「今度こそ!」
フッ!!
また勢いよく発射された矢はそこそこ大きい風船に当たり、風船が破裂した。
「やった!!当たりました!!」
矢が風船に当たり、フィーは喜んでいた。
「はい、おめでとう!!賞品の髪留めね!!」
はい!!と何処にでもある普通の髪留めを貰い、フィーは少し落胆していた。
「何だ、これですか」
「フィーは何が欲しいんだ?」
「あれです」
俺がそう聞いてフィーが指差したのは赤い宝石のような物がついたペンダントだった。
それを狙うなら一番小さいのから二番目の奴を狙わなきゃ駄目だな。
「まだ、後三発残ってます!!」
フィーはそう言って残りの二発を吹いたがどれも風船に当たる事はなかった。
「う~、残り一発に」
残り一発の矢を見てフィーは駄目と悟ったのか半ば諦めていた。
ここは俺の出番だな。
「フィー、俺にやらせてくれないか?」
「ケンヤ様?」
「嫌なら別にいいんだが」
「い、いえ、良いですよ」
そう言ってフィーは吹き矢を俺に渡した。
実は俺は結構祭りが好きだ。
よく子供の頃は射的や輪投げをやっていたもんだ。
俺は矢を吹き矢に入れ、標準を風船に向けた。
「これは、ケンヤ様との間接キス」
何か後ろでフィーが少し顔を赤くしているが、今は目の前の標的に集中だ。
風向きや矢の弾道からして少し上向きのちょい右だな。
俺は吹き矢の位置を修正し矢を吹いた。
フッ!!
勢いよく吹かれた矢は放物線を描くように真っ直ぐ標的の風船へと近付いていき、矢は標的の風船へと直撃した。
風船はパンッ!!と破裂してそれを見た店主は手に持っていたベルを勢いよく鳴らした。
「おめでとう!!見事二等賞に命中!!」
「よっしゃ!!」
見事お目当ての風船に命中させ俺はガッツポーズした。
まだ腕は鈍っていなかったな。
「凄いですケンヤ様!!」
そんな俺を見てフィーは凄い凄い!!と俺を褒めていた。
「はい!!賞品のペンダントね!!」
「どうも、ほら」
俺は店主からお目当てのペンダントを貰いフィーの首に掛けた。
フィーはそれを嬉しそうにしながらペンダントを眺めた。
「ありがとうございます!大事にしますね!!」
フィーは満面の笑みでそう言った。
そこまで喜んで貰えて何よりだな。
「よかったな嬢ちゃん!彼氏に取って貰って!」
俺達のやり取りを見て吹き矢の店主は俺達を冷やかすように言った。
店主の冷やかしにフィーは恥ずかしそうにしながら微笑んだ。
俺もフィーにつられるように微笑んだ。
まだまだ祭りは始まったばかりだ。
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