47話 装備
俺は今だ気絶しているアラン達の下へ行き、取り合えず光の属性付与で治療した。
さっきの戦いのせいで結構魔力と体力を消費したから結構キツかったが、何とか治療した。
目覚めるまで俺は待っていると
「ん.........ここは」
アランが目を覚ました。
瞼を重々しく上げ、ゆっくりと体を起こした。
「おっす、目が覚めたみたいだな」
俺は目が覚めたアランに早速声を掛けた。
アランはしばらく黙ったままこちらを見て、これまでの事を思い出したのか次第にどんどん顔が険しくなった。
「ケンヤ?あ!そうだ!ブラックドラゴンは!!」
「あそこ」
慌てているアランに俺は顔が潰れて横たわっているブラックドラゴンを指差しながら言った。
「お、おい。まじかよ、お前まさか.........」
「倒した」
倒されたブラックドラゴンを見てわなわなと震えているアランに俺は淡々と答えた。
「倒したって、一体どうやって.......」
「その話は先ずこいつらが起きてからな」
そう言って俺は今だ気絶しているシルバとミルシーを見た。
俺とアランの会話が煩かったのか二人は体をピクッと動かせ目を覚ましていった。
「う、う~ん............」
「こ、ここは............」
「おはよう、お二人さん」
ゆっくりと体を起こして起き上がる二人に対して、俺は軽く挨拶した。
「ケ、ケンヤ、お前が無事ということは............倒したのだな」
シルバは体を起き上がらせ俺を見た後、少し考え込み今の状況を理解した。
呑み込みが早いな。
「そういうことだ」
そう言って俺はブラックドラゴンを指差した。
「こ、これは...........」
「す、すごい...........」
顔が潰れているブラックドラゴンを見て二人は感嘆の息を漏らした。
「んで、全員目覚めたんだ。一体どうやって倒したんだ?」
気になっていたのかアランは早速聞きに来た。
シルバとミルシーも気になるのか、二人もこちらに耳を傾けた。
話す約束もしたので俺はアラン達が気絶した後の事を話した。
俺の話を聞いてアラン達は呆れた表情をしていた。
え?何その反応?
「ケンヤ、お前馬鹿か」
「いや、何でだよ!!」
急な馬鹿呼ばわりに俺は声を上げた。
何か変な所あったか!?
「普通ブレスの中に突っ込む奴があるかよ。ドラゴンのブレスはどんな物も焼き付くすと言われるほどやばいやつなんだぞ。まあ、それを熱い程度で済ますお前もお前だけどな」
いや、そう言ってもそれしか思い付かなかったし。
「やはりお前は人外だな」
「信じられませんね」
シルバとミルシーも呆れ果てて乾いた笑みを浮かべていた。
そもそもドラゴンのブレスがそんにやばいやつなんて元々知らなかったし、それに倒せたんだからもう何でもよくね?
「まあ、いい。取り合えず下の階層に降りて地上に戻ろう。早く帰って魔族の事を報告しよう」
「それもそうだな」
「さっさと行くとしよう」
そう言って俺達は立ち上がった。
「でも、王国こんな話信じるでしょうか?」
立ち上がりながらミルシーが言った。
そういえばミルシーはまだ知らなかったな。
「安心しろ。魔族の存在は既に王様は知ってる」
「え!?そうなんですか!?」
ミルシーは驚いたように言った。
まあ、魔族は昔に滅んだって言われてるから信用しないと思うのも無理はないか。
「てか、ケンヤ。お前まだ宝箱開けてなかったのか?」
アランは今だ開けられていない宝箱を見て言った。
「どうせなら、全員目が覚めた時に開けようと思ってな」
「だったらこれはお前が開けろ。今回ブラックドラゴンを倒したのはお前だからな」
アランはそう言って宝箱の前を開けた。
シルバとミルシーもそう思っているのか無言で頷いた。
そういうことならと、俺は宝箱の前まで行き宝箱を開けた。
その瞬間宝箱の中身の情報が頭の中に流れ込んで来た。
中身を見るとそこには黒い指ぬきグローブがあった。
おいおいまじかよ..........。
流れ込んで来た情報に俺は驚いていた。
こんな俺にピッタリな奴が来るとはな。
「何だこれ?」
俺の横から宝箱を除きこんできたアランが言ってきた。
「これは【ジェミニグローブ】グローブに魔力を溜め込めばそれ分の魔法が打てる。つまり同時に二つの魔法が打てるようになる」
「まじかよ!!すげえ装備だな!!」
アランは俺の説明を聞いて驚いていた。
ユニークスキルでもない限り、魔法を二つも同時に使うことが出来ない。
つまり魔法を使う者にとってこれは夢の装備ということだな。
俺は【ジェミニグローブ】を手に嵌め眺めた。
試しにグローブに魔力を流してみた。
「おお!どんどん吸われていく!」
結構魔力を流したがまだまだ限界というわけではなさそうだ。
これなら俺の全魔力をグローブに溜め込む事が出来るじゃないか!
俺は新しい武器の性能に感情を高ぶらせていた。
「嬉しいのは分かるがとっとと下に降りて地上に戻るぞ」
アランにそう言われ俺はハッとなり我に返った。
見ると三人とも既に下に降りる階段にいた。
俺は少し小走りをしながらアラン達の下へと急いだ。
明日はこれを使って幾つか試そう。
俺達は階段を降りて早速転移結晶へと向かった。
「にしてもここって何階層だろうな?」
「あのブラックドラゴンを考えると六十一階層くらいじゃないか」
「七十一階層かもしれませんよ」
俺達はそんな事を話ながらアランの報告を待った。
しかし、アランは転移結晶の前で固まって動かなくなっていた。
「アラン?どうかしたのか?」
俺は気になりアランに話し掛けると、アランはギギギッとこちらを向いた。
「..............八十一階層」
「................はい?」
アランが放った言葉に俺は耳を疑った。
見るとシルバとミルシーは絶句していた。
「ここ、八十一階層だ」
「..............まじ?」
「まじ」
「......................」
「......................」
どうやら聞き間違いではなかったようで俺とアランは黙り込み顔を見つめあった。
グルァァァァァ!!
遠くから魔物の声が聞こえ俺達は我に返り急いでアランに言った。
「速く!速く転移させろ!!」
「急いでくれ!!」
「速くしてください!!」
「あ、あぁ!!」
俺達の必死の叫びにアランは若干気圧され急いで転移結晶を起動させた。
俺達の足元に魔方陣が浮かび、第一階層へと転移された。
「は~。焦った~」
第一階層へと転移されたの確認すると俺は両手を膝に当てそう言った。
他の皆も無事に転移されて安心したのか疲れた顔をしていた。
「まさか、八十一階層に落ちていたなんてな」
「全くだな」
「よく生きていましたね。私達」
第三十階層から第八十一階層まで落ちるって、ほんとこのダンジョンどんな構造してんだ。
「でも俺達が八十一階層から帰ってきたって知られたら」
「大騒ぎになるな」
俺の言葉にアランがそう言った。
まあ、そうなるよな。
これから起こることに、俺はため息しかでなかった。
案の定、ダンジョンから出た後は俺達が八十一階層から帰ってきた事が話題になり色々と大変だった。
俺達が三十階層から八十一階に行った理由は三十一階層で特殊な罠に引っかかり気付いたら八十階層まで落ちたということにした。
三十一階からはまだ未開の地なので疑うものは誰もいなかった。
それでもしばらく俺達は話題の的となり、その間は外出は極力控えた。
新しい装備試したかったのに。
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