39話 魔物の巣
それからも色々な罠に嵌まった。
落とし穴に下から槍が出てきたり、天井が落ちてきたりもした。
魔物も階層毎に強さを増していき、数も増えてきた。
それでもまだオークやオーガ程度の魔物位しか出ていないので、苦戦するほどではなかった。
俺達は第六階層に辿り着き、尚も攻略を続けていた。
幾つもの別れ道を歩いていくと少し広い部屋に出た。
「何だここ?」
「行き止まりみたいだな」
俺は周囲を見渡したがそこは広い部屋があるだけで他に道はなかった。
仕方ないので引き返そうとすると、不意に俺達が入ってきた通路が塞がれた。
「うお!!」
「な、何だ!?」
急な事に俺達は一瞬戸惑ったが、これが何なのか直ぐに理解した。
「おいアラン、これってまさか」
「そのまさかだ」
すると部屋の中に大量の魔物が出現した。
やっぱ魔物の巣か!!
出現した魔物はゴブリンやオーク、オーガといったそれほど強くはない魔物だが数が多すぎる。
部屋はあっという間に魔物達で埋め尽くされた。
おいおい、流石にやばいなこれ。
「焦るな!散らばらず、お互いに背中合わせになりながら殺るぞ!!」
アランの声に俺とシルバは即座に反応し、お互いに背中合わせになった。
「ファイアーストーム!!」
「風斬波!!」
「火炎弾!!」
俺達は魔法を使い次々と魔物を倒していくが、いくら倒しても魔物が減る事はなく寧ろ増えていく一方だった。
どんだけ出てくるんだよ!!
「くそ!このままじゃやばいな!」
「魔物の出現速度が速すぎるぞ!」
アランとシルバもこの事に悪態つきながろ魔法を放ち続けた。
ここで大火炎弾を打てばどうにかなるかもしれないがここで打てば俺達が巻き込まれる。
せめて魔物の出現が止まれば!
俺は何かいい案はないかと考えを巡らせていると、ある案を思い付いた。
「アラン、シルバ、今から言うことをよく聞け!上手くいけばどうにかなるかもしれない!!」
「本当か!!」
「誠か!!」
俺の言葉に二人は同時にくいついた。
「取り敢えず、お前らを高い壁まで投げ飛ばすからその剣や刀を壁に刺して壁に引っ付いてろ!」
「え!?投げ飛ばすって、ちょ、まっ!?」
「問答無用!!」
俺の言葉にアランは戸惑っていたが俺はそんなこと知らんと言わんばかりにアランを掴んで壁へと投げつけた。
そこからシルバも同様に壁へと投げつけた。
二人とも驚いていたが直ぐ様手に持っていた剣や刀で壁に張り付いた。
そこから俺は二人に向かってジャンプした。
二人は俺が飛んでくるのを見ると二人掛かりで俺を受け止めた。
「ふぅ、取り敢えず成功だな」
「ふぅじゃねぇよ!危ないだろうが!!」
「肝が冷えたな」
突然投げ飛ばされたことにアランは怒鳴り、シルバはひやひやしていた。
出来たんだから結果オーライだ。
二人に受け止められ、俺は一息ついた。
咄嗟に思い付いたけど案外上手くいったな。
天井が無駄に高くて助かったな。
「それで、これからどうするんだ?」
アランが今も出現し続けてる魔物達を見ながら言った。
うわ、上から見ると何か気持ち悪いな。
魔物が出現しすぎてギュウギュウ詰めになっている。
何か満員電車みたいだな。
暫くこのまま待っていると魔物の出現が止んだようだ。
「よし、今からあれを一掃してくる」
俺はそう言って左手で極大のファイアーボールを出し、右手に火の属性付与をして壁を蹴り、ファイアーボールの上へと飛んだ。
「大火炎弾!!」
俺は大火炎弾を魔物達へと打ち落とした。
部屋の下は赤い炎に包まれ多種多様な魔物達の悲鳴が聞こえる。
やがて炎は消え魔物達の悲鳴も聞こえなくなった。
見るとそこには黒い焦げた地面だけしか残っておらず魔物の姿がなくなっていた。
予想通りだな。
密閉された部屋の中で大火炎弾なんて巨大な魔法を打てば熱が籠って魔物達は炎に焼かれ一掃される。
「終わったぞ」
俺は地面に降りて軽く周囲を見回した後、上にいる二人に声を掛けた。
俺の声を聞いてアランとシルバは剣を抜き魔法をクッション代わりに使い降りてきた。
見ると二人は何とも言えない顔をしながらこちらを見ていた。
「どうかしたか?」
「いや、いいんだ。もう分かってるんだ。お前に俺の常識は通じないんだよな」
「あんな方法聞いたことないぞ」
まあ天井近くまで投げ飛ばすのは兎も角、あれを一掃するくらいなら出来るだろ?
「言っておくがあの状況でも一掃はできても影も形も残らないなんて事は無理だからな。しかも一撃で」
言いたいことが俺の顔に出ていたのかアランは呆れながら俺に言った。
一掃は出来るんだ。
「まあ、一掃出来るのも大いに凄いがな」
付け足すようにシルバが言った。
まあ、それはそれとしてだ。
無事生き残っただけでも良しとしよう。
「それより速く行こうぜ。通路も開いたことだし」
開いた通路を指差しながらアランが言った。
いつの間にか開いてたな。大火炎弾で燃やしている時に開いたのかな。
俺達は開いた通路に戻ろうとしたとき、不意に後ろから何かが現れた。
「お、おいあれ」
「宝箱だな」
俺が指差した方には宝箱が置かれていた。
どうやら魔物の巣をクリアしたから出てきたのか?
「取り敢えず開けてみるか」
アランが宝箱に近寄り宝箱を開けた。
ダンジョンに来て初の宝箱だ。
何かドキドキするな。
ここまで苦労したんだから結構いいのが入ってるんじゃないか。
宝箱を開けるとアランはそのまま黙ったまま宝箱の中身を見ていた。
どうかしたのか?
俺は不思議に思い宝箱の中を覗いた。
「何だこれ?」
宝箱の中には緑色の液体が入った瓶が一つだけ入っていた。
これって前道具屋でみたポーションに似ているけど別物だよな。
「ポーションだよ。道具屋で売ってる何の変哲もない。宝箱を開けた瞬間俺の頭の中にこれが何なのか情報が頭の中に流れてきたから間違いない」
え?嘘だろ?
あんだけ苦労したのに報酬がたったのポーション一個だと..........。
割りに合わなさすぎたろ。
「たまにあるんだよな。宝箱は何が出てくるかは確率によるんだ。階層が深ければ深いほど確率は上がるが今回のは流石に運が悪かったな」
まじかよ、運が悪かったってどんだけ運が悪かったんだよ。
俺はポーションを見てがっかりしていると
「まあ、そう気を落とすな。まだダンジョンは始まったばかりだぞ」
「そうだぞ、気を取り直して行こうぜ」
「............それもそうだな」
二人に励まされながら俺は更にダンジョンの奥を目指した。
次はもっといい宝を見つけてやる!
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