37話 ダンジョン
強化合宿が終わり数日が経った。
俺は特にすることもなく、寮でだらだらと過ごしていた。
大半の生徒は実家に里帰りしていて、寮に人は余りいない。
「.......暇だな」
ベットに寝転がりながら俺は一人呟いた。
ここ数日こんな感じだ。
意外な事にこの学園には夏期休暇中の宿題とかがない。
そういうのは自主的にやるものらしい。
だから俺は今暇を持て余している。
ドンドン!!
ドアを叩く音が聞こえたので俺は玄関の方へ行きドアを開けた。
そこには、アランが爽やかな笑顔をしたまま立っていた。
「ケンヤ!ダンジョン行こうぜ!」
アランは爽やかな笑顔のままそう言った。
え、何急に。
域なり来て何野球に誘うのりで言ってんのこいつ。
「ダンジョン?」
「そう、ダンジョン。もしかして、知らないのか?」
今までの事があってかアランがまさか、という感じで聞いてきた。
「名前くらいなら」
ダンジョンは地球にいた頃にも一応あったからな。
大体の想像はつく。
「そうか、なら良かった。それじゃあ行こうぜ!」
「いや待て、先ず何故そうなったか説明しろよ」
俺が知ってて安心したのか、アランは俺を連れて勝手に何処かに行こうとした。
だが俺はアランを引き留めて状況の説明を求めた。
「ん、いやな、俺も合宿が終わってから暇でさ、毎日鍛練はしてたんだけどやっぱり一人でやるのは物足りなくてな。そんな時に、父さんの部下の人達が街の外にダンジョンがあるって聞いたから行きたくなってな。ついでにお前らも誘おうと思ったんだ」
街の外にダンジョンがあるなんて知らなかったな。
アランの父さんの部下ってことは騎士の人か。ならその情報は確かだろうな。
にしてもダンジョンか、お宝とかあったりするのかな?
「お前らってことは、他にも誰か誘ったのか?」
「あぁ、他にシルバも誘った。女子達には悪いが今回はなしだ。たまには男だけで楽しもうぜ。それに冒険のロマンが分かるのは男だけだろ?」
確かに最近はフィーやアイと一緒にいることが多かったな。
たまには男だけで楽しむのも悪くない。
冒険にも興味がある。
「面白そうだな。行くか」
アランの誘いに乗って、俺とアランはダンジョンに向かった。
ーーーーーーーーーーーーーー
「ダンジョンに行く前に先ず冒険者ギルドに行くぞ。そこで登録しないとダンジョンに入れないからな」
どうやらダンジョンに入るのに冒険者登録が必要みたいだ。
冒険者ギルドといえば合宿に行った時にチラッと見たが中には入ったことがなかったな。
やっぱり絡まれたりするのだろうか。
「ここが冒険者ギルドだ」
アランが立ち止まった先にはここら辺のより大きな建物が建っていた。
建物の上の方にはギルドの看板らしきもの打ち付けられていて見分けるのは簡単そうだな。
俺とアランがギルドに入るとそこには木製のテーブルやイスに座って酒を飲んでいる冒険者達が沢山いた。
奥には受付らしきものが3つ並んでいた。
俺とアランはその受付の所に真っ直ぐ進んだ。
周りをチラチラ見たが最初は見られていたが、今はそんな視線を感じない。
どうやら絡まれるなんて事はないようだ。
「いらっしゃいませ。ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件ですか?」
受付にいた美人な受付嬢さんがニッコリとした笑顔で出迎えてくれた。
営業スマイルが上手いなこの人。
「登録をしにきました。俺とこいつの」
そう言ってアランが俺と自分を指差した。
こいつもこいつで爽やかな笑顔で返した。
こいつの場合は自覚ないだろうけどな。
「は、はい。それではこの用紙に記入してください」
アランの笑顔にやられたのか、受付嬢さんは若干頬が赤くなったが直ぐに持ち直した。
プロだなこの人。
用紙には名前、性別、年齢、得意武器、得意魔法と書かれていた。
名前、性別、年齢、得意武器まではいいが得意魔法か。
「あの、この得意魔法の欄は書かなくちゃ駄目ですか?」
俺の場合ユニークスキルだからあまり書きたくない。
「いえ、絶対ではありません。ただ書かれていた方がこちらから依頼を紹介するときに便利になるだけです」
と言われたので、俺は火魔法とだけ書いておこう。
俺もアランも書き終えたので、用紙を受付嬢さんに渡した。
用紙を渡された受付嬢さんは用紙にさっと目を通し用紙をテーブルに置いた。
「はい、大丈夫です。それでは冒険者について説明致しますね」
そこから受付嬢さんの長い説明が始まった。
先ずこの世界にランク制度などはなく全員が等しく同じ依頼を受けられるらしい。
ただし、その場合そこで死んでもギルドは一切責任を負わないとの約束の下でのようだ。
危険な依頼に関してはギルド側が信頼出来る冒険者に直接依頼する。
「凄い功績を挙げれば二つ名が与えられるので頑張ってくださいね」
この世界の二つ名はギルドに何らかの大きな貢献または功績を挙げれば貰えるらしい。
二つ名を与えられる冒険者は皆等しく並外れた力を持っていると言われていてギルドの待遇も良くなる。
謂わばプロの冒険者になれるということだ。
にしても二つ名か。
俺といつか欲しいな。
「説明は以上になります。何か質問はありますか?」
受付嬢さんにそう聞かれたが俺とアランも特に質問があるわけではないのでそのままギルドカードを貰った。
「こちらを無くさせれると再発行するのに銀貨一枚必要になるのでお気をつけ下さい」
貰ったカードは石で出来たカードでそこには先程書いた要項が書いてあった。
ギルドでと登録も終わったので、俺とアランはギルドを出てダンジョンに向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「そういえば、ダンジョンってどんな所なんだ?」
ダンジョンに向かう途中、俺はアランに聞いた。そういえば、まだ何も知らなかったな。
「何でも全部で100階層まであって敵が多く罠とかわんさかあるらしいぞ。ダンジョンはそれぞれ特徴があるが、今回のは10階層毎にボスがいてそいつを倒さなきゃ奥へは行けないようになっているみたいだ」
正にラノベにあるような感じだな。
にしても100階層って長いな。
「因みにお宝とかあるのか?」
「そりゃああるぞ。階層の下に行く程お宝のレア度は高いんだ。だから冒険者達はそのお宝目当てに何人も来るんだ」
やっぱりあるのか。
そりゃあなきゃ誰もダンジョン何て行かないよな。
にしてもお宝か。何かやる気でてきたな。
「因みにあのダンジョンは最高でまだ30階層までしか到達してないんだ。だから俺達でその記録を塗り替えようぜ!」
アランは自信とやる気に満ちた感じで言った。
てか100階層ちゅう30階層か。
意外とまだ攻略されてないんだな。
「着いたぞケンヤ。あれがダンジョンだ」
俺とアランが話し込んでいる内にどうやら目的地に着いたようだ。
そこには人が余裕で入れる位の穴がいた大きな丘にその前に兵士が立っている。
穴の中には階段がある。あそこが入り口だろう。
その周りにはこれから入るんだろうか冒険者達がウヨウヨいる。
俺達は先に来ているシルバを探そうと歩いていたらある冒険者達が目に入った。
小さな女の子が大きなカバンを背負って冒険者達の後ろを歩いていた。
だがその姿はボロボロの服に裸足といった格好だ。
あれは奴隷ってやつか。
この世界にもあるんだな、やっぱり。
他にも似たよう子がチラホラいた。
俺が何とも言えない感じでその少女を見ていると。
「よっ、待たせたなシルバ」
先に来ていたシルバにアランが見つけて声を掛けた。
「気にするな、そんなに待っていないからな。それより早く行かないか。楽しみで仕方がないんだ」
どうやらシルバもダンジョンが楽しみだったみたいだ。早く行きたがっていた。
俺とアランもダンジョンが楽しみだったので、早速ダンジョンに入る事にした。
ダンジョンの前にいた兵士にギルドカードを見せて、俺達はダンジョンに入った。
「ようこそ、闘争のダンジョン【ポレモスの跡地】へ」
入る際兵士の人達にそう言われ、俺の心は一層高ぶった。
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