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異世界行っても喧嘩上等  作者: サザンテラス
36/73

36話 海水浴

書いてたら長くなりました。

 いよいよ強化合宿最終日。

 最終日は午前に軽い特訓をして後は自由行動になっている。

 午前の特訓も終わり、今俺達は海に遊びに来ている。

 

「海だな」


「だな」


 俺とアランは水着姿で海を眺めていた。

 雲一つない快晴な空に何処までも広がる青い海。  

 まさに絶好の海水浴日和である。

 俺達は先に着替えていたから女子達はまだだ。


「いやー、にしても晴れて良かったっすね」


「.............海日和」


 シグマとクロークが青空の下で輝く海を見て感動していた。

 シグマは兎も角クロークもそんな反応するとは意外だな。

 相変わらず水着にローブというよく分からない組み合わせだが泳ぐのは案外好きだったりするのか?


「クローク先輩泳ぐの好きなんですか?」


 俺は何気なしに聞いてみた。


「..........泳ぐの無理」


 いや、無理なんかい!

 じゃあ何でそんなに楽しそうにしてたんだ! 


「...........砂遊び、楽しい」


 まさかの砂遊びでした。

 海より砂遊びって....。


「あはは、クロークの砂遊びはもはや遊びじゃないっすけどね」


 シグマはクロークに苦笑していた。

 てことはあれか、意外とクロークは芸術派で城とか造っちゃうタイプか。  



「去年造ったのは、確か等身大の屋敷っすよね?あの時は吃驚したっすね」


 城とかのレベルじゃなかったな。

 等身大の屋敷って、どんだけデカイんだよ。

 よく造れたな。


「........去年より、凄いの造る」

 

 声は小さいがやる気に満ちていた。

 いったい何を造るのだろうか?

 

 こうして話している間に男子陣は全員集まった。

 にしても女子達遅いな?どうかしたんだろうか?


「ごめんね!遅くなっちゃった!」


 俺がそう思っていると女子達がぞろぞろと一斉にやって来た。


「随分遅かったな。どうかしたのか?」


 ケイトも俺と同じ様に疑問に思ったのかリーズに聞いた。


「いやーそれがね。フィーリアちゃんが着替えた途端恥ずかしがって中々出てきてくれなかったんだよね」


 そう言ってリーズはフィーの方を見た。

 フィーは恥ずかしいのかレイカの後ろに隠れていた。


「ほら、早く見せてやりなさい。この日の為に水着を買ったんでしょ」


「え!?あ、ちょっと、まだ、心の準備が...きゃあ!!」


 レイカは焦れったくなったのかフィーを無理矢理引っ張り俺の前に出した。


「え、えっと、その、どう、ですか?」


 フィーは恥ずかしそうにしながら俺に聞いてきた。

 フィーが着ている水着は黄色の紐パンに左胸の所に花柄の模様がされているシンプルな水着だ。

 だがシンプル・イズ・ベストとはこの事か、はでな水着だとフィーの特徴でもある大きい胸があまり強調されないがこの水着はフィーの特徴ある胸を最大限生かしている。


 ............目のやり場に困るな。


「に、似合ってるぞ。とても」


 俺は若干照れながら顔を反らしつつ言った。

 フィーは嬉しそうな顔をしながらこちらを見てきた。

 何か恥ずかしくなってきたな。

 

「ケンヤ、私は?」


 横からアイが俺の腕に抱き着きながら聞いてきた。

 アイは白を基調としたこれもまたシンプルな水着だ。  

 フィーとはまた違った可愛さがあり、これもまた良い。

 ていうか、さっきから抱き着かれて腕に胸が当たって凄くドキドキするんだが。

 しかも生地の薄い水着だから布越しでもそれとなく体温が伝わってきて尚やばい。


「あ、あぁ、とても似合ってる」


 俺は顔を反らし少し顔を赤くしながら言った。


「なら、よかった」


 アイは俺の反応に満足なのか微笑んだ。

 そろそろ離れて欲しいんですけど。


「ちょ、ちょっとアインさん!!それずるくないですか!?」


 俺の反応が羨ましかったのかフィーがアイとは反対の腕に抱き着いてきた。

 俺の腕にフィーの大きな胸が押し付けられる。

 いや、ずるいのはフィーの胸の方だな。

 

「モテモテだねぇ」


 リーズが俺達を見てニヤニヤしながから言った。

 他の奴等も俺達のやり取りを見てニヤニヤしていた。

 

「な、なあ、そろそろ海に行かないか」


 そろそろこの視線と恥ずかしさが限界にきたので、俺は二人に遠回しに離れて貰うように言った。


「それもそうですね、行きましょうか!アインさん!」 


「沢山遊ぶ」


 二人は俺の腕から離れ海へと向かった。

 やっぱ仲良しだよな。あの二人。


 俺達のやり取りを見て満足したのか、他の皆も海へと向かった。

 クロークは一人砂場でせっせと砂を集め始めた。やっぱり泳がないんだな。


「いやー、海といえばやっぱりこれだよな!」


 俺とアランは海で遊んでいる女子達を見てそう言った。 

 女子達は楽しそうに水のかけあいをしている。

 

「お前も好きだな。こういうの」


「何だ?ケンヤもそう思うだろ?」


 いや、まあ確かにそうなんだが。


「もう俺はさっきので充分だ」 


「ははは!!確かにな」


 アランはさっきの俺を思い出したのか笑い出した。

 こいつ、他人事だと思って..........。


「どうかしたのか?二人共?」


 アランと話しているとシルバが近寄ってきた。


「シルバもこの光景を見て海に来た甲斐があったと思うだろ?」


 そう言って女子達の方を指差した。

 シルバはしばらく女子達の方を見つめて。


「確かに思わなくもないが、俺はどちらかというと体の鍛え具合を見るな」


 まじかよ、あのキャッキャウフフな場面を見てもどうも思わないのか。 


「何!?お前あれを見てもどうも思わないのか!?」  


 アランも俺と同様に驚いていた。


「正直思わないな」


 言い切ったよこいつ。

 しかも真顔で。

 俺とアランはシルバに唖然としていると、リーズ達に声をかけられた。


「ねぇ皆!今からスーカ割りしようよ!!買い物行ったときにオマケでくれたの!!」


 よく見ると他の女子達も既に海から上がっていて、スーカ割りの準備をしていた。


「スーカ割りってなんだ?」


「スーカ割りは目隠したまま棒を持ってスーカを割る遊びだ」


 ようはスイカ割りか。

 この世界にもあったんだな。

 スーカの見た目は黄色に黄緑色の縞模様で色違いのスイカって感じだ。


 皆の所に行こうとしたが、不意に横に何か建てられていた。

 見るとそこには砂で出来た城が出来ていた。

 だがその城はそんじょそこらの子供が造るような城じゃない。

 本物よりも小さいが十分の一位の大きさで、充分にでかい。


「........完璧」


 その城を見てクロークはご満悦だった。

 まじで凄いの造ったな。

 どうやったんだ?


 俺がクロークの砂の城に見とれている間にスーカ割りの準備も出来たので早速一人づつやり始めた。


「先ずは俺からだな!」


 先陣を切ったのはガルドだった。

 ガルドは目隠しをし手に棒を持ってそのまま10回位回転した。

  

「ガルド!もうちょい右だ!」


「ガルド後輩!今度は左っすよ!」

 

「いいよ!ガルド君!そのまま真っ直ぐだよ!」


 様々な指示が飛ぶなか、遂にガルドはスーカの前に辿り着いた。

 

「ガルド、そのままやっちゃいなさい!!」


 レイカの一言に反応したのかガルドは棒をおもいっきり降り下ろした。


「ぬぉぉぉぉ!!ガイアクラッシュ!!」


「あ」


 ガルドが降り下ろした棒はスーカに見事直撃した。

 そして、粉々になった。

 いや、ただのスーカ割りに何技使ってんの!?

 しかし、被害はそれだけではなかった。

 ガルドが放ったガイアクラッシュはそのまま衝撃波が伸びていき、クロークの砂の城に直撃し、城が崩れた。 

 それを見た瞬間、クロークは固まっていた。


「あ、やべ。レイカに言われてついやっちまった」


「私のせいだっていうの!?」


「うるせぇ!!元はと言えばてめぇがあんな指示するからだろう!!」


「やったのはあんだでしょ!!」


 また、喧嘩が始まった。

 この二人よく喧嘩するな。

 喧嘩するほど仲が良いとはこの事だろうか。


「..........ガルド」


 普段なら誰も止めに入ったりしないが、今回は別だ。

 クロークは体から黒い闇をだしながらガルドを呼んだ。

 声質は変わっていないが確実に怒っていた。


「あぁ!?....ひぃ!」


 レイカとの口喧嘩でクロークに気付いていなかったのか、クロークの怒りようにガルドは怯んだ。

 レイカもクロークに気圧されたのか黙ってガルドから離れた。


「.........城、壊した」


「へ?あ、いや、その」  


「壊した」


 クロークの怒りようにガルドは体中から汗をだし焦っていた。

 確かにあの怒り方は怖いな。


「.........マヒ」   


 無言になったかと思うとクロークは突然ガルドに魔法を掛けた。

 ガルドは痺れたのか体を痙攣させ地面に倒れた。


「........お仕置き」 


 そう言ってクロークはガルドに背を向けた。

 流石にあれはガルドが悪いな。

 クロークはまだご機嫌斜めなのか、シグマが必死に励ましていた。

 

「ま、まあまだスーカはあるし気を取り直して行こうか!」

 

 リーズの一言でスーカ割りは再開した。


「.........とりゃ」


「あ~、惜しかったっすね、クローク」


「..........残念」

  

 そこから特に問題なくスーカ割りは行われた。

 勿論スキルを使うのはなしと予め言ってからだ。

 シグマのお陰かクロークの機嫌は良くなっていた。


「じゃあ次は、ケンヤ君!」


 俺の名前が呼ばれ、俺は目隠しをして棒を持って10回回った。

 

「ケンヤ様!もう少し左です!」


「少し右」


「もう斜め45度くらい右だぞ」


 周りの声を頼りに、俺はスーカかの方へと歩いていった。

 てか何だよ斜め45度って、分かりづらいわ。


「ケンヤ様!そのまま降り下ろしてください!」

 

「ケンヤ君!やっちゃぇ!!」


 俺は合図を受け、おもいっきり棒を降り下ろした。

 勿論魔法なんて使わずに。

 だがここで忘れていた。

 俺のステータスは以上に高い事を。


「あ」


 気付いたときには既に遅く、降り下ろしたスーカは棒にぶつかると同時に爆散した。

 場は静まり返り俺は何と言おうか迷っていると、何時から復活したのかガルドが俺にポンッと手を俺の肩に置いて。

 

「俺と一緒だな」


 フッといった感じで俺に言った。

 何だろう、何か腹立つんだけど。 

 俺は一発殴りたい衝動に駆られたがグッと堪えた。

 静まり返った場は何とか元に戻り、それからも俺は海を楽しんだ。

 良い思い出になったな。

 こうして俺の夏の合宿は終わった。

 

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