35話 何か気まずいんだけど
どうするか.........。
オークデーモン達を倒したのはいいが、この何とも言えない空気は何だろうか。
一撃で倒したのが悪かっだろうか。
俺がオークデーモン達を倒してからまだ誰一人として喋ってないぞ。
どうする、取り敢えず戻るか。
「あ、えと、終わりました」
俺は若干気まずくなりながら戻ると、皆はまだ少し固まっていた。
俺はどうしたらいいか分からず戸惑っていると、
「け、ケンヤ君今何したの!!」
リーズが俺の肩を掴みながら聞いた。
リーズの言葉に全員我に返ったのか、一斉にこっちを向きだした。
「え、あの、ちょっと、落ち着いて下さい」
俺の肩を掴えんでガンガン揺らしてくるリーズを俺は宥めようとした。
「これが落ち着いていられないよ!!あんな魔法見たことないよ!!!」
宥めようとしてもリーズは止まらなかった。
おぉ、何かすごい脳が揺れてる感じがする。
「リーズ、気持ちは分かるけど取り敢えず落ち着いて。これじゃあケンヤ君が話せないわ」
見かねたライラがリーズを止めた。
ライラに言われて流石にリーズも冷静になったのか、手を止めてくれた。
「それで、ケンヤ君、あの魔法はいったい何なの。見たところオリジナルっぽい感じだけど」
ライラが冷静に俺を見て言った。
何だ?あれを見てもしかして怖がられてるのか?
「いや、あれは只のファイアーボールですよ。ただ少しデカイだけの」
「いや、あれはデカイだけじゃないからね!!あんなのもうファイアーボールじゃないよ!!下手したら最上級位あるよ今の!!」
え、嘘。あれそんな威力高いの。
「まあ、俺魔力高い方なんで」
「高いだけじゃ済まされないわよ」
「俺、本気でやりあわなくてよかったわ」
俺の言葉にレイカは呆れ、ガルドはあの時の自分にホッとしていた。
そこまで言われるのか。
「やっぱ本当お前規格外だよな」
「それでこそケンヤ様です」
「流石」
「驚きの一言に尽きるな」
意外とフィー達の反応は薄かった。
やっぱ慣れてるのかな。
「まあ、それはそれとしてこの状況どうするっすか」
シグマがそう言って街の方を見た。
街の方はまだ状況を理解できてないない様で戸惑っていた。
あの位置じゃ俺が見えなかったから街の冒険者達にはオークデーモンが突然緑の炎に消えていった風に見えるだろう。
戸惑うのも無理はない。
「先ず状況を説明しに行こうか」
リーズはそう言って街の冒険者達がいる方へ向かった。
街の方についても冒険者達は何が起きたかまだ分からないでいた。
「すいません、ここの責任者は誰ですか?」
リーズがそう聞くと一人の男がでてきた。
ガッチリとした体型に鎧姿で如何にも強そうだった。
「俺はAランク冒険者のカイマンだ。お前さん達は学園の生徒さんか?」
「そうです。今ここで起きた状況を説明しに来ました」
「なに!?お前達あれがどうなったかしっているのか!?」
「はい、ここにいる我が学園の生徒ケンヤ・コドウ君がオークデーモンを全て殲滅しました」
それを聞いた瞬間一瞬の沈黙が生まれ、
「「「「うおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」
一気に歓声の声が鳴り響いた。
その中には武器を放り捨てて喜ぶ人や泣きながら近くにいる人と抱き合う人等様々いた。
そこまで喜ばれるとは何か照れるな。
「ありがとう!!本当にありがとう!!」
カイマンも泣いて鼻水を垂らしながらお礼を言ってきた。
気持ちは分かるが男にそこまで言われてもそこまで嬉しくない。何より何か汚い。
「い、いえ、気にしないで下さい」
俺は若干引きつつもカイマンに言った。
それでもカイマンは引かず俺にはぐしようとしたが、俺はサッと避けた。
その顔で抱き付かれたくない。
この後他の冒険者からも感謝されたが皆泣き顔で何か絵面が気持ち悪かった。
そこから先も是非お礼がしたいと言ってギルドに来るように言われたが、これ以上は面倒なので俺達はやんわりそれを断って合宿所に戻った。
何はともあれ、これで解決だな。
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ケンヤが冒険者達に感謝されていた時、一人の魔族がこれまでの事を一部始終見ていた。
「まさか、これ程とはな。アーケの魔人が殺られるのも納得だな」
これまでの事態を一人空中で見物していたスーラはケンヤの力を見てただただそう思った。
今回の件は偶然だがこれはチャンスと思い見物していたスーラだったが、実際にケンヤの実力を目の当たりにしてある疑問を抱いた。
「何故今まで出てこなかったんだ?あれだけの実力があればもっと前から名が知れ渡ってもおかしくない筈だ」
一人考えるスーラだったが、答えが一切出てこず考えるのをやめた。
「まあいい。取り敢えず監視を続けるか」
そう考えスーラは本拠地へと戻った。
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