34話 久し振りにやり過ぎた
「だが、具体的にどうするんだ?」
「このまま考えもなしに行くのは心許ないですね」
ケイトとリグレットがリーズに聞いた。
確かに殲滅するんにしても考えなしに行くのは得策じゃないな。
「取り敢えずこのまま街の方まで行こう。途中ででくわすかもしれないし」
リーズの言葉に頷き俺達は街の方を目指しながら森を走った。
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「う~ん」
森を走っている最中、リーズは手を顎に当て何やら考え込んでいた。
よくそんな体勢で走れるな。上半身が全くぶれてないぞ。
「どうかしたんですか?」
「いやねぇ、何かおかしいなって思って」
「おかしい?何がですか?」
「さっきの兵士の人が言っていたよね。『オークデーモンの集団』って。それっておかしいんだよね。オークデーモンは知能が低いから集団で行動する魔物じゃないんだよ。変異種になったら知能は上がるけど他の魔物を従えるなんて事は出来ないんだよ」
「じゃあそれって」
「恐らく特異能力だね」
差し詰め他のオークデーモン達を操る力かだろうか。
「能力は多分他のオークデーモンを統率する力かな」
リーズも俺と同意見のようだ。
成る程、これで納得がいった。何故俺達の所にオークデーモンが現れたか。それはオークデーモン達が移動中一匹だけはぐれて変異種の能力から外れたからか。
「それじゃあ、まずそいつらを見つけたら」
「変異種を先に倒さなきゃね」
変異種、全く面倒な奴だな。
「!!見えたよ!!」
先頭を走っていたリーズがオークデーモン達を見つけたのか立ち止まった。
そこは丁度森を抜けたところでオークデーモン達は既に街の門の
前にいた。
体長三メートル程あるオークデーモンが大量に並んでいるその光景は迫力があった。
「ガァァァァ!!」
「おい、やべぇよ。まじで来たよ」
「俺ここで死ぬのか......」
「見ろ!!やっぱり俺の言った通りだ!!」
ギルドで訴えていた青年は赤いオークデーモンを見て騒いでいたが、目の前の光景に絶望し誰の耳にも入っていなかった。
「恐れるな!!」
そんな状況の中一人の男性が叫びだした。
「いいか!!数ではこちらが有利だ!!数人で一体を相手していけば必ず勝てる!!それによく考えろ!!今俺達がやらないで誰がやる!!」
その言葉が心に響いたのか全員目の色が変わった。
「そうだ。やるしかねぇ」
「ここで逃げたら冒険者の名折れだ!」
一人とまた一人と立ち直っていき何時しか全員が立ち直った。
「いいかお前ら!!俺達冒険者の意地を見せてやれ!!!」
「「「「「おおぉ!!!」」」」」
状況は今にも戦闘が始まろうとしていた。
数は軽く100を越えていてオークデーモン達は左右に広がって街に歩いていた。
その中で変異種は先頭にいて姿がチラッとしか確認出来ない。
街の冒険者達は門の前で武器を構えており戦闘体勢に入っていた。
遅かったな。この場面で先に変異種を倒してもどの道戦いは避けられない。
「見えたはいいけどどうしよう?」
あまりの数にリーズはおろおろしていた。
いや、何も考えてないんかい。
「前の時みたいに凍らせれないんですか?」
「範囲が広すぎて間に合わないよ」
「ここは一発強力な広範囲の魔法といきてぇが」
「この位置じゃ、街に被害がでるわね」
今の俺達の立ち位置を見てガルドとレイカが悔しそうにいった。
今俺達は街、オークデーモン、俺達という順番で並んでいる。しかもオークデーモンと街までの差が小さいので、ここで広範囲の魔法を放てば街に被害がでる。
「じゃあ横から攻撃するのはどうっすかね?」
シグマがそう提案した。
確かにそれなら街に被害はでないが左右に広がるオークデーモン達を一層するだけの火力が必要になる。
それにまず横に行くまでの時間がない。
レイカの瞬間移動は見えるところしか飛べないので、図体がデカイオークデーモンが邪魔で端が見えないせいで飛ぶことが出来ない。
これではどうしようもない。
とこの場にいる全員は思っただろう。
俺以外はな。
「それじゃあ、先ず俺が横から攻撃してみますね」
そう言って俺は足に風の属性付与をしてオークデーモン達が並んでいる端へと走った。
「え?ちょっ!!」
リーズが何か言っていたが、今はそんなこと気にしている場合ではないだろう。
俺は端に着き、先ずは俺が出せる数十メートルのファイアーボールをだし、右手には風の属性付与をした拳を構え、すうっと息を吸った。
「おい木偶の坊共!!今からボコってやるから覚悟しろや!!!」
俺は大声で叫んだ。
すると俺の声が届いたのかオークデーモン達は一斉に足を止めた。
この瞬間を待っていた。動かれると外れるかもしらないからな。
俺はニヤッと笑いながらファイアーボールを殴り飛ばした。
「大緑炎弾!!」
俺が殴り飛ばした緑色の巨大な炎は目にも止まらぬ速さでオークデーモン達の方に飛んでいった。
少し角度を曲げてあるのでそのまま飛んでいくことはなく丁度よく地面にぶつかるから先ず安心だろう。
これでかなり数が減ったな。
俺がそう思って確認したら、
ーーーーーー予想外の事が起きた。
「あれ、全滅?」
そこには黒い焦げた道と大緑炎弾がぶつかって抉れた地面しかなくオークデーモン達や変異種の姿はなかった。
あれ?これ?やり過ぎた?
俺はどうしようかと皆の方を見たら、信じられんとばかりに驚いた表情で固まっていて、街の人達は何が起きたか分からない表情をしていた。
これは、あれだな、
「久し振りにやり過ぎたな」
この事態に俺は一人そう呟いた。
ブグマ評価よろしくお願いします。




