33話 やらなきゃだよな
「さあ!今日も張り切って頑張ろうか!!」
合宿六日目となり、リーズの掛け声と共に午前の訓練が始まった。
早いようで長かった合宿も残り二日となり俺達は一層気を引き閉めた。
「今日は午前は何時も通りやるけど、午後は少し実戦的な特訓にするよ」
「実戦的な特訓?」
フィーの言葉にリーズは頷いた。
「そうだよ。午後は近くの森に行って魔物と戦って貰うよ。今までは私達と模擬戦をしてきたけど実戦では模擬戦みたいに損止めなんてことしたら一気に寝首を掻かれちゃうから、こういうのも必要だと思うんだよ」
実際に魔物と戦うのか。
そういえば初めて戦った時はこの世界に来たばかりの頃だったな。見つけて一気に蹴り飛ばしたからあんまり実感なかったな。
「でも、実際に魔物と戦うって、大丈夫なんですか?」
「安心して、あそこの魔物はそんなに強くないから深くいかない限り問題はないよ」
なら、平気だろうか。
仮に強い魔物が出てきてもこのメンバーではそうそう負ける事はないだろうから多分大丈夫なんだろうな。
「それじゃあ!午後の話はこれくらいにして午前の特訓を始めるよ!」
特に誰も異論がなかったので午前の特訓が始まった。
「なあ、ケンヤは魔物と戦ったことはあるのか?」
ランニング中横にいたアランが話し掛けてきた。
「あるぞ。アランはどうなんだ?」
「俺は昔ゴブリンやスライムを少し狩った位だな」
「そうか」
「ケンヤはどんな魔物を倒したんだ?」
「俺は確か、オークデーモンだったな」
「オークデーモン!?お前それ一人倒したのか!?」
俺がオークデーモンを倒したことにアランは驚いていた。
「そんなに凄いのか?」
驚いているアランを見て俺は不思議そうに聞いた。
「お前なぁ、オークデーモンはオークの上位互換で討伐ランクCの魔物だぞ。普通なら複数人で狩るんだが一人で狩るなんてそうはいないぞ。まあ、俺達なら単独でも問題ないだろうけど、それでも凄いことなんだぞ」
そんな強かったのかあれ。
最初速攻で終わらせたからよく分からなかったな。
アランにやれやれという感じで呆れられていたが知らないものは仕方がないと思う。
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午前の特訓が終わり昼食を食べてから、俺達は近くの森に来ていた。
「それじゃあ、まず一人ずつ魔物と戦ってみようか。この辺の魔物は大したことないから安心してね」
そう言って俺達は一人ずつ魔物と戦っていた。
出てくるのはゴブリンやスライム、オークぐらいでそこまで大した魔物は出てこなかった。
「ガイアクラッシュ!!」
「ライトアロー!!」
「風斬波!!」
流石にこの程度の魔物は俺達の相手ではないようで俺以外の全員は次々と瞬殺した。
「じゃあ、最後は俺ですね」
等々俺の番になり、魔物がでてくるのを待ち構えていた。
すると茂みの奥から何かが動くのを見つけ、拳を構えた。
「ガァァァァ!!」
茂みから出てきたのは今まで見てきたゴブリンやスライム、オークではなく。
「オークデーモン!?」
まさかのオークデーモンでした。
いきなりオークデーモンがでてきてリーズ達は吃驚していたが咄嗟に全員構えた。
そこら辺は流石だな。
「死ねやぁ!!」
だが俺はリーズが構えたと同時に魔力を纏わせた拳でオークデーモンを殴り飛ばした。
オークデーモンは顔が捻れながら吹っ飛んでいき絶命した。
いきなりなことに、全員はポカンとしていたが直ぐに気を取り戻した。
「け、ケンヤ君大丈夫!?」
近くにいたリーズが俺を心配してきた。
いや、一撃で決まったんだから大丈夫に決まってるでしょう。
「オークデーモンを瞬殺って.....」
「流石ケンヤ様ですね!」
「本当、何でもありね」
皆の反応が何か変だがまあ、気にしないでいこう。
「にしてもまさか、オークデーモンが出てくるなんてな」
「まだ森の深くまできてないわよね?」
ガルドとレイカがオークデーモンが出てきたことに不思議に思っていた。
オークデーモンは森の深くにいる魔物でそこから出てくることなんて殆どない。だからこうしてオークデーモンが出てくるなんてな事はまず有り得ない。
「この森で何かあったんですかね?」
アランがそんなことを言ったが何が起きたなんて確証はまだない。
今回がたまたま運が悪かっただけかもしれないからな。
他に何か原因がないかと考えていた時
ぎゃぁぁぁぁぁ!!
人の悲鳴が聞こえた。
方向からして街の方角だった。
「今の悲鳴は?」
「街の方からでしたね」
「何かあったんすかね」
「兎に角行ってみようか!」
リーズの言葉に全員頷き、悲鳴がした方へと向かった。
ーーーーーーーーーーー
悲鳴が聞こえた方へと走ると兵士の格好をした男達が血だらけになって倒れていた。
「大丈夫ですか!しっかりしてください!」
リーズが兵士の一人を抱えて必死に叫んだ。
するとまだ少し息があるらしく今にも消えそうな声で語りかけた。
「街に......オークデーモンの.....集団が.....」
「もう喋らないで下さい!!兎に角治療を」
治療をしようと治癒の魔法が使えるフィーを呼ぼうとしとら兵士が止めに入った。
「いや.....いい.....どのみち.....助からん....それ....よりも....聞いて..くれ」
兵士は段々とぐったりしていきながら最後の言葉と言わんばかりに俺達に必死に伝えようとした。
「オークデーモンの中に......赤いオークデーモンが......いた。あれは....並みの...強さじゃ....ない。頼む、あれを....止めて.....くれ」
そう言ってリーズを掴んでいた兵士の手が落ちた。
赤いオークデーモンって、もしかしてこの前ギルドで言っていたやつか。
リーズは静かに兵士を下ろし俺達の方を向いた。
「皆、今日の特訓を変更するよ」
リーズは一呼吸置き俺達を見た。
俺達は既に覚悟を決めていた目でリーズを見た。
「今からオークデーモン達を殲滅しにいくよ!!」
その言葉に俺達は力強く返事をした。
まあ、やらなきゃだよな。
魔物にもランクがあり、それぞれE~Sまであり、ゴブリンやスライムはEでオークはDそしてオークデーモンはCとなります。
Cが一般の冒険者が複数人いて倒せる基準です。
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