31話 拗ねないで下さいよ
「いや~、それにしても強いね!ケンヤ君は!」
「そりゃあどうも」
俺は荷物を抱えながらリーズと二人で歩いている。
あの後リーズは目覚めて負けたのを実感して少し拗ねていたがライラが慰めて何とか立ち直った。
これで全員の模擬戦が終わり時間はお昼時になっていたのでじゃんけんで負けた二人が買い出しに行くことになり、俺とリーズが行くことになった。
この世界にもじゃんけんってあったんだな。
俺とリーズが行くことが決まったとき、フィーとアイが一緒に行くと言い出したがそれだとじゃんけんの意味がないので二人にはちゃんと残って貰った。
合宿所から今俺と達がいる街までの距離は近く合宿所の掃除もこの街の人がやってくれている。何でもこの街に魔物の大群が押し寄せてきた事があったらしく、それを学園長が阻止したらしい。そんなことがあるからかこの街の人は俺達学園に優しかったりする。
「おじさん、これください」
「まいど!!おや?お前さん達学園の生徒さんかい?だったらこれも持っていきな。オマケだ」
「良いの!!ありがとう!!」
オマケしてくれた店の人にリーズが嬉しそうに言うと。
「そ、そうか。ど、どうせならこれも持ってけ!!」
リーズの笑顔にやられたのか店の人は少し照れながらまたオマケをしてくれた。
チョロいなこの人。
「本当に!やったあ!」
リーズは更なるオマケに喜んでいた。
狙ってやった訳ではないから逆に凄いな。
その他にも違う店に行ったが大概がこんな感じだった。
本当は狙ってやってるんじゃないか?
見ていく内に段々と俺はそう思ってきた。
ーーーーーーーーーーー
「ケンヤ君は何でそんなに強いの?」
買い物が大体終わり合宿所に帰ろうとした時、リーズが俺に言ってきた。
「そうっすねぇ、昔は毎日数十人の敵と相手をしてきたんで自然と強くなりました」
毎日学校に行くとき、帰るときには必ず俺に喧嘩売ってくる奴がいたからな。
最初は学校の中に押し掛けてくる奴もいたがそれに関しては俺との物理的話し合いで学校に押し掛けてくる事はなくなった。
それでも登下校には複数人で俺に襲い掛かって来ることは止まらなかった。
たまに鉄の棒やナイフを持ってくる奴もいたが全て返り討ちにした。他にも不意打ちをしてきたり、数で攻めてきたりしてきたが俺はそんなの関係なしに全員ボコった。
お陰である程度の事には対応できるようになったな。
そんな生活を毎日していれば自然と強くなるに決まっている。
「へぇ、努力してたんだね」
「ま、まあ、そうですね」
何か少し違うけど、まあ言うだけ無駄だろう。
「リーズ先輩こそどうしてそんなに強いんですか?」
「.........ケンヤ君に言われても嬉しくないんだけど」
何となく質問しただけなんだが、どうやらさっきの模擬戦の事を引きずっているようだ。
リーズは若干不機嫌になった。
「拗ねないで下さいよ」
「拗ねてないよ!」
俺のからかいにリーズは頬を膨らませて怒った。
何かちょっと可愛いな。
「私だってケンヤ君程じゃないけど努力してきたんだよ。子供の頃は毎日の様に魔法の練習してきたんだから」
「そうなんですか。努力しきたんですね」
「だがら君に言われてもねぇ」
リーズはそう言って俺をじっと見てきた。
「いや、あの模擬戦だってリーズ先輩本気じゃなかったでしょ?それに勝ったところで別に嬉しくないですよ」
俺がそう言うとリーズは少し呆れながら言った。
「君ねぇ、いくら本気じゃなかったとは言っても負けるつもりはなかったんだよ。それを一瞬でやられるなんて格好悪いでしょ。それに一応私生徒会長なんだよ。学園で一番強いんだよ。それなのにあっさり負けて情けないっていうかさぁ」
リーズはぶーぶー言っているが俺は軽く聞き流していた。
暫く歩いていたら前の建物の方に何だか人だかりが出来ていた。
「何でしょうか?あれ?」
「何だろうね?」
「行ってみますか」
俺はそう言って人だかりが出来ている方に行った。てか、ここ良く見たら冒険者ギルドか。
「本当に見たんだよ!!」
そこにはバンッ!!と机を叩いて受け付けの女性に向かって叫んでいた青年がいた。
「いえ、ですからそう言われましても」
「本当にいたんだよ!!この近くの森に赤色に変化したオークデーモンが!!」
オークデーモン?オークデーモンって俺がこの世界に来て早々ぶっとばした奴だっけ?
でも確かそいつの色って青色だった気がするが。
「それって変異種なのかな?」
青年の言葉を聞いてリーズはそう呟いた。
「何ですか?変異種って」
「知らないの?変異種っていうのは稀に出てくる特異体質の魔物のことで通常の魔物と比べて遥かに強くて一つだけ特異能力をもっているんだよ」
「特異能力ですか?」
「能力は様々でどれも凄いものらしいよ」
変異種か、また何か強そうだな。
「そう言われましても、あんな曖昧な証言では討伐隊をだすわけには」
「本当なんだって!!遠目からだったけど確かにあれは赤いオークデーモンだった!!」
青年は受付の女性に必死に訴えていたが聞き入られていなかった。
「あいつこの前もそんなこと言ってたよな」
「あぁ、前は確か青いゴブリンがいたとかだっけか?」
「それでいざ駆け付けてみれば只のスライムだったって話だよな」
「それに只でさえあの森にいるオークデーモンは数が少ないのに、変異種なんて出るわけねえだろう」
近くにいた冒険者が青年を見てそう言った。
どうやら彼には前科があるみたいだ。
そりゃあ、話も聞き入られずらいよな。
「近くの森っていうと、合宿所からこの街までの通り道にありましたよね?」
「そうだね、まあそんな警戒しなくても大丈夫でしょ。さっ、もう行こう。皆を待たせてるからね」
リーズも青年の話をあまり信じていないのかさっさと行こうと言われた。
俺は若干気になりつつも合宿所に戻った。
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