30話 え?何故俺?
それからも模擬戦は続いた。
上級生達は選抜に選ばれるだけあって実力は確かなものだった。
フィー達も上級生相手に善戦していた。
アランは三年のケイトと模擬戦をしていた。
ケイトは土魔法が得意のようで、果敢に攻めるアランの隙をついて土で拘束して決着が着いた。
といっても、俺と模擬戦をしたときに出した【豪炎の刃】を使っていなかったから本気ではないんだろう。
「最後はいい攻撃だったぞ」
「有り難う御座います」
二人はその場で握手を交わし模擬戦が終了した。
シルバは三年のクロークとの模擬戦だった。
ローブを顔まで隠しているクロークは見た目通り闇魔法を主に使っていた。
シルバは風を使ったスピードのある攻撃に対し、クロークは闇魔法を使った広範囲の攻撃が主なので相性の悪さから、この模擬戦はクロークが勝利した。
「俺もまだまだだな」
「.........相性が良かった」
アイの相手は二年のレイカで、ここで以外なのが実はレイカはユニーク使いだった。
そのユニークスキルは【瞬間移動】らしい。
それはその名の通りで、見たところでは視界に入っている所なら何処にでも行けるとても便利なスキルだ。
レイカはその瞬間移動を使いアイを翻弄しながらアイの後ろに転移し手に持っていた剣をアイの首筋に当て、勝負が着いた。
「そのスキル、ずるい」
「これはそういうスキルよ」
アイは何か納得いかなかったのか少しむっとなっていたが、負けてしまったものはしょうがないだろう。
フィーの相手は二年のメマイヤで結果は意外にもフィーの勝ちだった。
フィーは遠距離からの光魔法に対し、メマイヤは二本の短剣を使った接近戦が得意な為、最後まで相手を近づかせなかったフィーに軍配が上がった。
「いやー、参った!流石王女さんだね!!」
「いえ、運が良かっただけですよ」
フィーは謙遜していたが、俺は良くやったと思う。
全員本気ではないが、勝ちは勝ちだ。自信を持っていいだろう。
次は三年のシグマと二年のユリウス、三年のライラと二年のリグレットの模擬戦だったがどれもいい勝負だったが、流石に上級生の方がまだ強くどれも三年が勝った。
「さてさて、私以外皆模擬戦やったね」
俺達は全員で15人いるので必然的に一人余ることになる。
従ってリーズはまだ模擬戦をしていない。
「それじゃあ私はまだだから相手は..............ケンヤ君にやって貰おうかな!」
「え?俺ですか?」
一人余ったリーズは何故か俺を指名してきた。何故俺?
「ケンヤ君一年生の中で一番強いでしょ?私一年生以外とはもう模擬戦したことあるから一年生とも戦ってみたいんだよね。それにケンヤ君が一番面白そうだし。それじゃあ、先に行ってるね!」
そう言ってリーズは一人練習場に入っていった。
「ケンヤ」
俺も練習場の方に行こうとするとガルドが声を掛けてきた。
「会長の魔法には気を付けろよ。あの人はあんなんだが生徒会長だ。生徒会長は学園最強の証。そんなあの人が使う【氷操作】は一度捕まれば二度と抜けられない厄介な魔法だ。まあ、何て言うか、頑張れよ」
最後は何か照れたのかそっぽを向いた。
態々言いに来てくれるとは、地味にいい人だな。
「はい」
俺はそれだけ言って再び練習場の方に行った。
「あんた、あいつに随分優しいじゃない」
俺が走り去った後、レイカがガルドに言った。
レイカからしたらガルドが誰かに注意やアドバイスをするなど有り得ないと思っていたので、レイカはそんなガルドを見て驚いていた。
「そんなんじゃねぇよ。ただの気紛れだ」
「気紛れでもあんたそんなことしないでしょ」
「うるせぇよ!何だっていいだろうが!」
「何よ!その言い方は!!」
「何だよぉ!!」
「何よぉ!!」
また二人が喧嘩を始めたが、他の皆は慣れているのか二人を放置して練習場の方を見ていた。
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俺はリーズと向かい合う様にして立っていた。
リーズはこれから模擬戦がやるのが楽しみなのかウキウキしていた。
「何か随分楽しそうですね」
「まあね!初めての人と戦うって何かワクワクしない!!」
「それは何となく分かります」
俺も望んではいなかったといえ地球では喧嘩に明け暮れていた。
大半が雑魚だったが、たまに骨のある奴がでてくるときは少し心が熱くなる。
つまりはそういうことだろう。
「それでは合図は俺がする」
リーズの代わりにケイトが審判になり、俺とリーズの間に立った。
「それでは二人とも準備はいいな?」
「ないよ!」
「ないです」
「それでは始め!!」
「それじゃあ、行くよー。ケンヤ君」
「ボコボコにされても文句言わないで下さいよ」
「それいっつも言ってるよねー」
喧嘩しすぎていつの間にか癖になったんだよな。最近気付いたが喧嘩上等スキルはこの言葉をいうと発動するようになっている。
地球にいた頃もこの言葉がスイッチみたいなもんだったからそのせいかもな。
「色々あってそういう癖が付いちまってな。そんなんいいからとっとと来いよ」
喧嘩上等スキルが発動して俺の口調は既に荒れていた。
「うわ、本当に口調が変わった。まあ、いいや。それじょあ行くよ! 氷の部屋!!」
突如としてリーズを中心に床が凍っていった。
やがて床全体を凍らせ、夏なのに床から冷気が漏れた。
足は氷で滑り動きづらい。
変に厄介だな。
「氷の部屋はただ床を凍らせる魔法じゃないよ。これによって凍らされた床は私の意のままに操れるようになる。例えばこんな風に」
そう言ってリーズは人差し指をくいっと上げた。
俺は何か危険を察知したのかその場から飛び退いた。
すると、俺の居たところから先が尖った氷がでてきた。あのままいたら串刺しになってたな。
「まだまだ甘いよ~」
リーズはそう言ってどんどん俺の足元に氷の棘を出現させた。
俺はそれを何度も避けたが床が凍っているせいで、次第に避けずらくなっていった。
「やべっ!」
俺は等々足を滑らせ、体制を崩した。
「隙ありー」
リーズは体制を崩している俺に容赦なく棘を出現させた。
これで終わったと思うだろうが俺はこのままでは終わらない。
「あっぶねぇ。危うくやられるとこだったな」
俺は出現してくる氷の尖った先端部分を手で掴み、氷の上に乗った。
「器用な真似するね」
「身体能力には自信があるんでね」
俺がそういうとリーズはにっこり笑った。
「でもそこからどうするのかな?」
「こうするんだよ。ファイアーボール!」
俺は手からデカめのファイアーボールを出してリーズに向かって発射した。
「無駄だよ」
だが俺が出したファイアーボールはリーズに届く前に氷の壁を造り防いだ。
「そんなので倒せると思ったの?そう思ったなら正直がっかりだよ」
そう言ってリーズはガッカリそうにケンヤのいる方を見た。
「それだけならな」
だがそこにケンヤの姿がなく、声が聞こえたのはリーズの後ろからだった。
「女を殴るのは趣味じゃねぇが、仕方ねぇよな」
そう言って俺は手に水の属性付与をしてリーズの首に手刀をした。
「な.......んで」
リーズはそう言いながら地面に倒れそうになったが俺は直ぐに受け止めた。
「勝者、ケンヤ!!」
ケイトの宣言により周りで見ていた奴等は何か盛り上がっていた。
フィー達は俺は流石という感じで、上級生達はまじかよ!!といった驚きの感じだった。
そこは付き合いの長さだろうか。
ケンヤが最初に撃ったファイアーボールはリーズの気を反らす囮である。
その隙にケンヤは足に風の属性付与をして、先程リーズが出現させた尖った氷の上を踏み台にしながらリーズの後ろに瞬時に回り首に手刀をした。
水の属性付与の効果は体力低下である。
体力を限界まで低下されれば気絶もさせることができる。
特に手刀にする意味はないが、それは気分というものである。
まあ、勝てれば何でもいいだろう。
俺はそう思いながらリーズを背負い皆のいるところに戻った。
喧嘩上等スキルが発動するのは主人公が「ボコボコ」か「ボコす」のどっちかを言った時点からです。
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