23話 油断
闘技場に着き俺は辺りを見渡した。
夜の闘技場は人の気配が無く、静かだった。
闘技場の真ん中では二人の男女がいた。
一人は縄で縛られているフィーだった。
「フィー!」
「ケンヤ様!」
見たところフィーに怪我はないようだ。
俺が現れてホッとしたのか顔が明るくなった。
「良く来たな、ケンヤ・コドウ。待ちわびたぞ」
フィーの隣にいるもう一人の男は俺を見てそう言った。
「やっぱりてめぇか、スティール」
スティールは俺を見て不適な笑みを浮かべた。
見た目は目が黒くなっているが雰囲気が前とはまるで違う。
こいつ本当にスティールか?
「どういうつもりだ。フィーを誘拐してお前何がしてぇんだ」
そう言って俺はめんち切りを発動させスティールを見た。
だが、それなのにスティールは怯える素振りを見せず平然としていた。つまり今のスティールの実力は俺にびびる程の差がないということか。
「俺に威圧をしているようだが無駄だ。俺にはこの力がある。魔族から授かりしこの力が」
「魔族だと?」
魔族っていったら、昔に滅んだんじゃないのか?
「何を言っているんですか!魔族はとうの昔に滅んだはずです!!」
魔族と聞いてフィーは驚くように言った。
「最初は俺も驚きましたよ。いきなり目の前に現れて力をくれるんですから。
だがそんなことはもうどうでもいい!!
俺は力を手に入れた!!
何者にも負けない力を!!
この力で貴様を殺しフィーリア様を手に入れる!!」
スティールの叫びと同時にスティールの体から黒い靄の様なのが現れスティールに纏った。
「今の俺はステータス魔力無しの状態で平均S+だ!!これで貴様を叩き潰す!!」
既に勝ちを確信しているのか、スティールは高笑いを浮かべている。
俺はそれを見て次第に怒りを露にしていった。
フィーを手に入れる?俺を叩き潰す?
たったそれだけの力で俺に喧嘩売ってんのか?
「てめぇの言いたい事は分かった。だが舐められたもんだな。その程度で俺に勝てると思ってんのか?」
「戯れ言をほざくな!死ねぇ!!」
「フィーを誘拐までしたんだ。完膚なきまでにボコしてやるよ」
スティールはそのまま俺に直進して俺に拳を振った。
流石はS+と言ったところか。動きは速い。だが俺のステータスの平均はSSだ。
この程度どうということはない。
俺はスティールの拳を片手で難なく受け止めた。
「なっ!!」
「言ったよな?その程度でかって」
俺はスティールの拳を引き蹴りでスティールの顎を蹴り上げ、ステータスを上空に蹴り飛ばした。
俺はスティールの上に飛び拳を構えスティールの腹に拳を叩き込んだ。
「ぐはぁ!!」
スティールはそのまま地面に叩きつけられ、地面にめり込んだ。
これで終わりかと思ったがスティールは直ぐに立ち上がった。
「中々やるな。そうでなくては面白くない」
意外とスティールはまだ元気があるようで、少し笑っていた。
するとステータスの体を纏っていた黒い靄が増大し、スティールを包んだ。
黒い靄が消えるとそこには先程までのスティールは別人かと思わせるような姿になっていた。
図体がでかくなり、口には吸血鬼の牙の様なものが生え、背中には翼が生えていた。見た目はまんま吸血鬼の様だった。
「人間辞めてんなぁ。それ」
「貴様を殺せるならそれでもいい」
俺の言葉にスティールはそう言った。
かなり狂ってるな。
「これで俺のステータスは平均SSだ。もう貴様ではどうしようもあるまい!!」
どうやらもう一段階進化したらしい。
だが、それでも俺の平常時の強さだ。
「何でもいいからさっさとかかってこい」
俺はそうスティールを煽ると、スティールはそれに反応した。
「そんな口が利けるのもここまでだ!!今度こそ消えろぉ!!!」
スティールは手を前にだし黒色の風をだした。それは禍々しくスティールの腕に纏わりつく。
「黒風咆哮波!!」
黒い風はまるで竜の息吹きの如く勢いでスティールの手から放たれた。
地面を抉りながら真っ直ぐ俺に向かってきた。
俺はそれを冷静に見て拳を構えた。
こいつ何も学んでないな。
「失せろぉ!!」
黒い風は一瞬で黒い粒子に変わり消えていった。
俺は足に魔力を纏いスティールの懐に入った。
スティールの腹に魔力を纏った拳を叩き込みスティールは闘技場の壁まで飛んでいった。
終わったな。流石にここまでやったらもういいだろう。
俺はフィーの下に向かった。
「大丈夫だったか、フィー」
「ケンヤ様、来てくれると信じてました......」
フィーの目は涙で溢れていた。
俺は縄をほどいた。フィーは俺に抱き付き今まで怖かったのか、俺におもいっきりしがみついていた。
俺はフィーが落ち着くまで待っていると、不意に後ろからただならぬ殺気を感じた。
俺はフィーを突き飛ばすと、腹に違和感を感じた。
「!?」
俺の腹はスティールの手に貫かれ、穴が開いた。
ブグマ評価よろしくお願いいたします。




