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異世界行っても喧嘩上等  作者: サザンテラス
23/73

23話 油断

 闘技場に着き俺は辺りを見渡した。

 夜の闘技場は人の気配が無く、静かだった。 

 闘技場の真ん中では二人の男女がいた。

 一人は縄で縛られているフィーだった。


「フィー!」 

 

「ケンヤ様!」


 見たところフィーに怪我はないようだ。

 俺が現れてホッとしたのか顔が明るくなった。


「良く来たな、ケンヤ・コドウ。待ちわびたぞ」


 フィーの隣にいるもう一人の男は俺を見てそう言った。


「やっぱりてめぇか、スティール」


 スティールは俺を見て不適な笑みを浮かべた。

 見た目は目が黒くなっているが雰囲気が前とはまるで違う。

 こいつ本当にスティールか?


「どういうつもりだ。フィーを誘拐してお前何がしてぇんだ」


 そう言って俺はめんち切りを発動させスティールを見た。

 だが、それなのにスティールは怯える素振りを見せず平然としていた。つまり今のスティールの実力は俺にびびる程の差がないということか。


「俺に威圧をしているようだが無駄だ。俺にはこの力がある。魔族から授かりしこの力が」

 

「魔族だと?」


 魔族っていったら、昔に滅んだんじゃないのか?

 

「何を言っているんですか!魔族はとうの昔に滅んだはずです!!」


 魔族と聞いてフィーは驚くように言った。


「最初は俺も驚きましたよ。いきなり目の前に現れて力をくれるんですから。

 だがそんなことはもうどうでもいい!!

 俺は力を手に入れた!!

 何者にも負けない力を!!

 この力で貴様を殺しフィーリア様を手に入れる!!」

 

 スティールの叫びと同時にスティールの体から黒い靄の様なのが現れスティールに纏った。


「今の俺はステータス魔力無しの状態で平均S+だ!!これで貴様を叩き潰す!!」


 既に勝ちを確信しているのか、スティールは高笑いを浮かべている。

 俺はそれを見て次第に怒りを露にしていった。

 フィーを手に入れる?俺を叩き潰す?

 たったそれだけの力で俺に喧嘩売ってんのか?


「てめぇの言いたい事は分かった。だが舐められたもんだな。その程度で俺に勝てると思ってんのか?」


「戯れ言をほざくな!死ねぇ!!」


「フィーを誘拐までしたんだ。完膚なきまでにボコしてやるよ」

 

 スティールはそのまま俺に直進して俺に拳を振った。

 流石はS+と言ったところか。動きは速い。だが俺のステータスの平均はSSだ。

 この程度どうということはない。

 俺はスティールの拳を片手で難なく受け止めた。


「なっ!!」 

 

「言ったよな?その程度でかって」


 俺はスティールの拳を引き蹴りでスティールの顎を蹴り上げ、ステータスを上空に蹴り飛ばした。

 俺はスティールの上に飛び拳を構えスティールの腹に拳を叩き込んだ。

 

「ぐはぁ!!」  


 スティールはそのまま地面に叩きつけられ、地面にめり込んだ。

 これで終わりかと思ったがスティールは直ぐに立ち上がった。


「中々やるな。そうでなくては面白くない」


 意外とスティールはまだ元気があるようで、少し笑っていた。

 するとステータスの体を纏っていた黒い靄が増大し、スティールを包んだ。

 黒い靄が消えるとそこには先程までのスティールは別人かと思わせるような姿になっていた。

 図体がでかくなり、口には吸血鬼の牙の様なものが生え、背中には翼が生えていた。見た目はまんま吸血鬼の様だった。


「人間辞めてんなぁ。それ」


「貴様を殺せるならそれでもいい」


 俺の言葉にスティールはそう言った。

 かなり狂ってるな。


「これで俺のステータスは平均SSだ。もう貴様ではどうしようもあるまい!!」


 どうやらもう一段階進化したらしい。

 だが、それでも俺の平常時の強さだ。


「何でもいいからさっさとかかってこい」


 俺はそうスティールを煽ると、スティールはそれに反応した。


「そんな口が利けるのもここまでだ!!今度こそ消えろぉ!!!」


 スティールは手を前にだし黒色の風をだした。それは禍々しくスティールの腕に纏わりつく。


「黒風咆哮波!!」

 

 黒い風はまるで竜の息吹きの如く勢いでスティールの手から放たれた。

 地面を抉りながら真っ直ぐ俺に向かってきた。

 俺はそれを冷静に見て拳を構えた。

 こいつ何も学んでないな。

 

「失せろぉ!!」 


 黒い風は一瞬で黒い粒子に変わり消えていった。  

 俺は足に魔力を纏いスティールの懐に入った。

 スティールの腹に魔力を纏った拳を叩き込みスティールは闘技場の壁まで飛んでいった。

 終わったな。流石にここまでやったらもういいだろう。

 俺はフィーの下に向かった。


「大丈夫だったか、フィー」


「ケンヤ様、来てくれると信じてました......」


 フィーの目は涙で溢れていた。

 俺は縄をほどいた。フィーは俺に抱き付き今まで怖かったのか、俺におもいっきりしがみついていた。

 俺はフィーが落ち着くまで待っていると、不意に後ろからただならぬ殺気を感じた。

 俺はフィーを突き飛ばすと、腹に違和感を感じた。  


「!?」


 俺の腹はスティールの手に貫かれ、穴が開いた。

 

ブグマ評価よろしくお願いいたします。

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