2話 出会い
ここは異世界か?
目の前が真っ白になってから、気が付いてから俺は森の中にいた。
見た目は至って普通の森だ。でもよく見たら木になっている実が見たこともないものばかりだった。
これからどうすればいいんだ?
手持ちに何かないかとポケットを探ると紙が入っていた。
“ 堅弥へ
この手紙を見ているということは無事に異世界に着いたようじゃな。そこでお主にこの世界について少し教えようと思う。
この世界の名前は【アール】。そして今お主のいるところは人族の領内にある森、【フォール】の森じゃ。
少し歩けば道なりに着くから、そこから王都に着くじゃろ。この世界にはステータスがある。心の中でステータスと念じれば自分のステータスが見れる。ちゃんとお主に合ったスキルがあるので確認してみるとよい。”
ここまで読んで俺は心の中でステータスと念じた。
名前 ケンヤ・コドウ 16歳 人族
体力 SS 攻撃 SS+ 防御 SS 俊敏 SS
知力 C 魔力 SS+
スキル
喧嘩上等 めんち切り 精神魔法(物理)
これは強いのか?
知力以外SS以上あるな。
知力がCなのは日頃勉強していないからだろう。
“自分のステータスが高いのか低いのかわからんだろうから言っておくが、ステータスのランクはG-~SS+まであり、一般の人は平均Eである。つまりお前さんのステータスはめちゃくちゃ高い。鍛えればステータスは上がるが正直SSまでいく奴などこの世界に殆どおらん。
スキルに関してはこれは個人の資質によるので、わしにはよくわからん。詳細を知りたかったらステータスを開きながらスキルの名前に集中すれば見ることができる。”
そういうことらしいので、俺はスキルに集中してみた。
喧嘩上等
戦闘時に相手の防御力無視、手や足に魔力を纏えば防御魔法無効化、攻撃魔法反射または無効化させることができ、武器にも対抗できる。
ただし、使用中は言葉遣いや言動が悪くなり、ヤンキーみたいになる。
めんち切り
相手を睨むことで、相手を怯ませたり、動きを止めたりできる。
精神魔法(物理)
相手をボコボコにすることで相手の精神を屈服させることができる。魔法効果は自分が相手をどうさせたいかによってきまる。
今までの行いでスキル名がこうなるのは取り合えず仕方ないのはわかる。
しかし何か元の世界にいた頃とあんま変わらない力だな。日頃やっていた事が反映されているのだろうか。
喧嘩上等やメンチ切りは結構というか、かなり使えるな。
精神魔法(物理)は、これは魔法なのか?
やってることが前と変わらないな。まぁ使えるからいいけど。
“さて、取り合えず魔法については魔法は基本火、水、土、風、光、闇からなる。これらは自分の性質から適性がきまってくる。勿論練習すれば、修得も可能じゃ。適正があればな。じゃがお主の場合基本の属性のスキルなんてないじゃろ。
それは“ユニークスキル”といってお主だけの特別なスキルじゃ。普通ユニークスキルは一人につき一つずつ持っているものじゃ。たまに二つ持つ奴もおるところお主は三つじゃからそこは異世界人補正というやつじゃろう。
この世界でユニークスキルはレアじゃが特別珍しい訳ではない。能力の内容は様々じゃ。強い能力もあれば弱い能力を持つ者もおる。
成る程、あまり他人に自分がユニークスキルを持っていることは言わない方がいいかもな。自分の手の内を晒すのはよくないからな。
“話しが長くなってしまったのでこれで最後にするが、確かお主は学園に行きたがっていたな。行くには試験を受けなくてはいけないが生憎この時期は試験はやっておらんのじゃ。だからこの近くで王都の王族が魔物に襲われるようにしたから、サッと助けて学園に行かせて貰うようにするんじゃな。それじゃあ健闘を祈る。
神より”
ちょっとまて!!近くに王族が襲われるのか!!
「ガァァァァ!!」
近くで魔物の声が聞こえた。
まじかよ!急いで行くか!!
俺は声が聞こえた方に急いで向かった。
そこには体長三メートルはあろう巨大な魔物が王族が乗っているであろう馬車があった。そしてその魔物に対峙するように二人の男と馬車から見守る遠目からでも可愛いとわかる程の少女がいた。
俺はそのまま走り魔物に跳び蹴りをした。
「どらぁぁぁぁ!!!」
魔物はそのまま吹っ飛んでいき動かなくなった。どうやら倒したみたいだな。
ふぅ、と俺は一息つき男達のほうに向き直した。
「大丈夫だったか」
俺がそう聞くと男達は少し動揺しながら言った。
「あ、あー大丈夫だ。助けてくれて有り難う」
「気にするなたまたま通りかかっただけだからな」
「そうか、ところでお前はいったい何者だ?オークデーモンを一撃で倒すなんて信じられんぞ」
どうやらあの魔物はオークデーモンというらしい。
しかしいったい何者だと言われてもな、異世界人なんて言えないし何て言おう。
「あー、その、実は俺は記憶が無いんだ。気が付いたらこの森にいた。名前はケンヤ・コドウということだけは覚えているんだが」
かなり苦しい言い訳だがこれで大丈夫だろうか。
「そうか、それは悪いことを聞いたな、俺はアレックス・カーリン見ての通り騎士をやっている。そしてこいつは同僚のマックス・カーラーだ」
「よろしくな」
そう言ってマックスは握手を求めて来たので俺はマックスと握手をした。
案外信じて貰えるもんだな。
すると後ろからドアが開く音がした。
振り返るとそこにはさっき見た少女がいた。
髪は金髪で首下まであり、年は俺と変わらなそうな可愛らしい少女だった。
「ケンヤ様ですね。先程は助けてくれて有り難うございました。私は人族領王都【レクス】王国王女、フィーリア・レクスと申します」
そう言ってフィーリアは行儀よくお辞儀した。
「ど、どおもケンヤ・コドウだ、です」
俺は普段使いなれない敬語に思わず噛んでしまった。
「ふふ、恩人に敬語は不要ですよ。それに私のこともどうかフィーと呼んで下さい」
俺の噛みようにフィーは微笑みながら言った。
「あー、わかったよ、フィー」
俺がそう言うと、フィーは少し嬉しそうにしていた。
「それではケンヤ様。ケンヤ様はこれからどおするんどすか?」
フィーに言われ、俺は少し考える素振りを見せながら
「正直記憶が無いからこのまま近くの街まで行ってみようと思う」
「そうですか、でしたら私達と共に王都に行きませんか?そこで御礼もしたいと思いますので」
その話しに俺は内心喜びつつも
「そうか、それじゃあそうさせて貰う」
こうして俺達は王都に向かった。
めんち切りはヤンキーの言葉で睨むという意味らしいです。