19話 街案内
中間試験が終わって翌日が経った。
中間試験が終わったら教師達は試験の採点に追われるため、今日は学園は休みだ。
昨日は中々疲れたから今日はのんびり過ごそう。
ドンドン!!
俺がそう思った矢先来訪者が来た。
まったく誰だ?まだ午前中だぞ。
ドアを開けるとそこにはフィーとアイがいた。
休みだからか二人は私服だった。
「おはようございます。ケンヤ様」
「.......ケンヤ、おはよう」
「おはよう。それでどうかしたのか?こんな朝早くに」
俺は二人に聞くとフィーは少し困ったような感じでアイを見た。アイは相変わらず無表情だ。
「えっと、折角のお休みなのでケンヤ様と二人で一緒に街の方へ遊びに行こうかと思ったのですが」
「さっきそこで鉢合わせした」
どうやら二人は俺を誘うとしていたんだが、お互い目的が重なって困っているという感じか。
「というわけでケンヤ、デートしよ」
そう言ってアイは俺の腕に絡んできた。
何がという訳なんだろうか。
「ちょ、ちょっとアインさん!域なりくっつくのはどうかと思いますよ!」
それを見たフィーがアイを止めに入った。
にしても街か。最近は特訓ばっかでろくに街なんか見てなかったな。
「だったら三人で行こうぜ。俺は余り街に詳しくないから二人で案内してくれ」
俺の提案に二人で少し考え込んだ。
「それもいいですね」
「案内は任せて」
了承してくれた。
そうと決まれば早速行くか。
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街の方に着き、俺達は色々な所に回った。
最初は武器屋に向かった。
武器は使わないが異世界の武器も多少興味があったので割りと楽しみだったりする。
「らっしゃい!おっ!アインの嬢ちゃんじゃねぇか!」
「久しぶり」
中に入ると厳ついおっさんが出迎えたかと思うとアインを見て驚いていた。どうやら知り合いみたいだ。
「今日はお友達も一緒か?男の方は彼氏か?」
「いつかそうなる予定」
何か変な会話が聞こえたが気のせいだろう。
店の中には大量の武器が並んでいた。中には見たことがない武器もあって中々面白かった。
次に道具屋だ。毒消しやポーション等が売っている。他にも毒や麻痺の薬等もある。
中には淫薬や惚れ薬も置いてあった。誰が買うんだこんなもの?
「この惚れ薬があればケンヤ様を......」
フィー達は惚れ薬を見て買おうかどうか真剣に悩んでいた。悩んでいる途中俺の名前が聞こえた気がするが気のせいだろう。うん、気のせいだろう、きっと。
最終的に買うのは止めたようだ。心なしか俺はホッとしていた。
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「これ美味いな」
「そうですね」
「.........美味」
案内の途中焼き鳥のような串を頬張りながら俺達は大通りを歩いていた。
味は焼き鳥と変わらないな。甘辛いタレが肉に絶妙にマッチしている。
「にしても凄い人だな」
「ここの通りはいつもこうですよ」
まじかい。にしても多すぎないか。どれくらい多いかというと、近くにいないと二人を直ぐに見失いそうなほどに多い。
「人混み、苦手」
アイはこの人の多さに少しうんざりしていた。確かにこの多さはうんざりもするな。
「これだけ多いと直ぐにはぐれそうだな」
俺はそう言うと串を口にくわえて二人の手を取った。
域なり触れられて二人は少しドキッとしていた。
「これならはぐれないだろ?」
「そ、そうですね」
「........確かに」
二人は若干照れながらも俺の手をしっかり握った。
自分でやっておいて何だが俺も少し緊張している。やってみると恥ずかしいもんだな。
俺が密かにそう思っているとき、不意に後ろから殺気を感じた。
「ッ!!!」
咄嗟に俺は後ろを向いた。
この人混みの多さじゃ何も分からない筈なのに何故か一人の人物に目が行った。
黒いローブで顔は分からなかったが確かにこいつだ。黒いローブの人物は殺気を消しそのまま路地へと消えていった。
「ケンヤ様?どうかしましたか?」
「ケンヤ、どうしたの?」
俺の行動に二人は不思議そうに言った。
俺は平静を装い。
「いや、何でもない。何か視線を感じただけだ」
二人は何でもないと誤魔化し街歩きを続けた。その後は特に何も起こらず楽しい時間が続いた。
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「いや~危ない危ない。危うく気付かれる所だった」
路地裏に入った黒いローブの男は軽い感じで言った。
声は若くケンヤ達と同じく16歳位の容姿だ。
髪は薄紫で見た目は人族とほぼ一緒だが一つ決定的に異なる点がある。
「いやはや、ちょっとお遊びで殺気をぶつけただけなのにまさか王女のとなりの奴が気付くなんてな。あいつ何もんだ?」
そう言って男はフードを外した。そこには頭に生えた黒い二本の角があった。
背中には翼が生え男はそれを使って飛んだ。
そう、彼はとうの昔に滅んだとされた魔族の一人である。
「にしてもどうやってあの王女を殺そうかな?僕がやれば早いんだろうけど、それじゃあつまらないよねぇ」
男はう~んと悩みながら飛んでいると一人の男が目に入った。
「良いこと思い付いちゃった~」
男はニヤリと笑いこれからの作戦を練っていた。
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