18話 実技試験最後の模擬戦 後編
フレイムメテオが直撃し、辺りが土煙で覆われた。
もうケンヤは戦闘不能だろう。
この時、観戦していた人達は誰もが思ったことだ。
あれだけの攻撃を受けて、無事な筈がない。
普通の人間ならそうだろう。
しかし、それは普通の人間ならではの話だ。
「あっぶね~、死ぬかと思ったぞ」
土煙が晴れ、そこには無傷で平然と立っている土煙のような物を身体中に纏ったケンヤの姿があった。途中で解けたのかフレイムチェーンは消えていてケンヤは自由の身になっていた。
「う、嘘だろ」
流石のアランもこの事に驚いたのか、顔から笑顔が消えていた。
観客の生徒達も同様に驚いていた。
なんせあれだけの魔法を喰らって無傷なんだ。驚かない筈がない。
「ケンヤ様ーー!」
遠くからフィーの声が聞こえる。
俺の無事なのが分かって、安心しきった声で俺の名を呼んだ。
隣にいたアイは無言ながらも当然といった感じで頬を緩ませていた。
「ケンヤ、お、お前いったいどうやって.......」
アランはまだ若干驚きながらも俺に問い掛けた。
「簡単だ。ただ土の属性付与で防御しただけだ」
土の属性付与の効果は防御力上昇だ。アランの攻撃を受ける前俺は咄嗟に土の属性付与を体に纏った。
元々高い防御力に加え土の属性付与が合わさったんだ。そりゃあ防げるだろ。
「は、はは。まじかよ」
それを聞いたアランは乾いた笑みを浮かべていた。
属性付与は適正が10以上あれば誰でも使える魔法だ。しかもそれは効果がちゃんと発揮するまで燃費が悪く、誰も使わない魔法だ。
いくら魔力量が多いと言っても限度がある。
アランは心の中でそう言ってるだろう。
「さて、ここまでされたんだ。きっちりお返ししねぇとな」
俺の言葉にアランは我に帰り、再び動いた。
「フレイムチェーン!」
「遅ぇ!!」
俺を拘束しようとアランはフレイムチェーンを出したが、その時には既に風の属性付与を使いアランの懐にいた。
「がはぁ!」
そこから俺はアランの顎にアッパーをかました。
アランは真っ直ぐ上空に飛んだ。そこから俺は上空に飛び、アランの上に移動しアランの腹にかかと落としをお見舞いした。
アランは下に急降下した。そこに俺は先回りをし、アランを殴り飛ばした。
それが延々と続き、遠目から見ればアランが空中で踊ってるように見えるだろう。
勿論ちゃんと手加減してる。下手したら死ぬからな。しかしアランは既に限界か、意識が飛びかけていた。
「おらおらどうした!もう終わりかアラン!!」
俺の言葉に触発されたのかアランの目に生気が蘇った。
「くっ!!エクスプロージョン!!」
アランと俺が接触しようとしたとき目の前で小さな爆発が起きた。
アランはその爆発のお陰で俺に殴られることなく、地面に落下した。
「はあ、はあ、まさかここまで差があるなんてな」
アランは息を切らしながら言った。
体は既にボロボロ。限界に近い。
「降参するか?」
俺の言葉にアランは若干微笑みながら、
「いや、降参はしない。最後まで全力で戦いたい」
そう言い終わるとアランは満面の笑みをした。
どこまでも戦闘狂だな。
アランは剣を上段に構え、最後の攻撃に入った。
「この剣は特別製でな。火魔法の効果を上げるのと同時に大きさも変えられる」
腕や剣に炎が集まり始め、やがてそれは巨大な炎の腕となった。 アランは手に持っていた剣が炎の腕へと移り巨大な剣になった。
目の前には空中に巨大な炎の腕が巨大な剣を持つ光景が広がった。
それを見た俺は笑みを浮かべながら構えた。
「面白ぇ!来いよ!!」
「豪炎の刃!!」
それは俺に向かって一直線に振られた。俺はそれを回避せず手に魔力を集め両手で受け止めた。それはさながら真剣しらは取りだ。
剣を受け止めた俺はそこから闇の属性付与でアランの魔力を吸い始めた。
アランはそれに気付いたのか剣に更に力を加えた。
俺はそれに負けじと魔力を吸い続けた。
「うおおおおお!!」
「ぐおおおおおお!!」
互いにその状態が続き持久戦となった。
俺が力尽きるのが先か、アランが力尽きるのが先か。
最初に変化が現れたのはアランだ。
アランの剣や腕に纏った炎が段々と小さくなっていった。
それを見た俺はチャンスとばかりに吸いとる力を大きくした。
「うおおおおおお!!」
「ぐぅ......」
それは次第にどんどん小さくなっていき炎が消えた。剣はその場に落ち元の大きさに戻った。
「くっそ........まじかよ....」
アランは力尽きたのか膝を着き倒れた。
「俺の勝ちだな」
それを見た俺は静かに言った。
「勝者!ケンヤ・コドウ!!!」
先生もアランが戦闘不能と判断したらしく大声で叫んだ。
観客の生徒達は一斉に盛り上がり歓声を挙げた。
「ケンヤ様!」
模擬戦が終わり、俺の元にフィーがいち早く辿り着いた。
「凄いですケンヤ様!おめでとうございます!」
俺の戦いを見て興奮したのか、フィーは俺の所に着くなり急に喋り始めた。
「.......流石はケンヤ」
「うむ、二人とも見事な戦いだった」
そしていつの間にか、アイとシルバが俺の所まで来て言葉を掛けた。
「まったく、お前まじで凄いな」
まだ立てないのか、アランは寝ながら俺にそう言った。
「立てるか?」
俺はアランの元まで行き、手を差し伸べた。
アランは俺の手を取り立ち上がったが直ぐにバランスを崩して倒れそうになった。
仕方ないので俺はアランの肩を担いだ。
戦えて悔いはないのか、アランは何処か満足していた。
「次は俺が勝つ」
「やってみろ」
俺はそのままアランを治療の先生の所まで運んだ。
途中俺は観客席の生徒達から大きな拍手をされた。俺はそれに若干照れながらも観客席に手を振った。不意にスティールと目があった。
俺の事が気に入らないのか殺気の籠った視線を送ってきた。
俺はスティールから目を逸らした。やっぱりまだ怒ってんのかな?
それはともかく、俺は無事に模擬戦で全勝を果たした。
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