10話 中間試験
「中間試験?」
異世界にもあるんだな。まあ学園なんだから当たり前か。
「そうですよ。ケンヤ様は編入したばかりなので知らないとは思いますが、この時期になると中間試験があってその成績によってクラスが変わったりするんです」
そんなのがあるんだな。
まあ、学園なんだからあっても不思議じゃないな。
「試験には筆記試験と実技試験があるんですけどこの学園は実力主義なので実技試験の方が成績の得点が高いんです。なので筆記試験試験で赤点でもとらない限り実技試験で良い結果を残せば問題ありません」
そこまで実力主義な学園だったのか。
にしても筆記か。地球にいたころは全然勉強してなかったな。
毎日喧嘩の相手してたし。
因みに実技試験の内容は学年毎に行われる一対一の模擬戦となり相手はランダムで合計十回の模擬戦を行いそこから勝敗や戦い方で評価が決まる。ただしその模擬戦で十回全部勝てば無条件でAクラス入りが決まるらしい。
「お前なら十回全部勝てそうだな」
アランが俺を見ながら言ってきた。
「勝負なんてどうなるか分からないだろう」
「そんな謙遜するなよ。お前の実力は多分同学年の中ではトップクラスだと思うぞ。何せあのスティールを倒したんだからな」
「スティール?あいつってそんな凄い奴なのか?」
「お前知らないのか?スティールは魔法適正やステータスの高さが高く周りから期待されてたんだぞ。まあ俺程じゃないけどな」
そうだったのか。だからあんな態度をとっていたんだろうか。
俺からしたら唯の噛ませ犬だな。
「だからそいつをボコボコにしたお前は他のクラスでも有名だぞ。目付きが悪く機嫌を損ねたらボコボコにされるって噂があるくらいにな」
そんな噂があったのかよ。
だから俺が話し掛けてもみんな俺を避けてたんだな。
ていうか、そんな噂した奴今すぐ出てこい。少しお話をしようじゃないか。ちょっとそこの体育館裏でな。
「そんな噂出鱈目なのに酷いですよね!」
フィーが少し不機嫌な感じで言った。
やっぱりいい奴だなフィーは。
「ケンヤ様はただ目付きが悪いだけのいい人ですよね」
目付きが悪いのは否定しないんだな。
まあ自覚はあるからいいんだけどな。
それにしても中間試験か。またAクラスにいられるように頑張らなくちゃな。
そうと決まれば早速勉強頑張るか!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数日が経ちいよいよ中間試験の日がやってきた。
試験は一日目に筆記試験をして、二日目に実技試験をするという形になる。
しかし俺は筆記試験である問題を抱えていた。筆記試験のテスト範囲にはこの世界の歴史や魔法の基礎理論についての内容になる。
気付いただろうか。そう、俺は最近この世界に来たばかりだ、歴史や魔法の基礎理論なんて殆ど知らない事ばかりの内容だった。
頑張ろうと思い教科書を見たが一時間も経たずに諦めがでた。
いやこれは無理ゲーだろ。何も知らないのに一からこの範囲をやるなんて無茶だ。しかも元々頭が悪いだけかもしれないが、教科書の内容が意味不明な内容ばかりだった。
絶望のまま俺はテストを受けた。
手応えは案の定最悪だった。正直一問目から分からなかったぞ。
この学園のテストムズすぎだろ。
「お疲れー、テストどうだった?」
「結構余裕だったね。今回基礎的な所が多かったし」
何!あれで基礎なのか!
この世界の奴等はみんな天才か!!
何てこった、俺この世界でやっていけるかな....。
俺が一人項垂れてると
「どうした?ケンヤ」
アランが話し掛けてきた。
「アラン、お前テストどうだった?」
「ん?まあ楽だったな。常識問題が多かったし」
やっぱりか.......。
常識問題も解けないのか俺は....。
「俺多分赤点だわ」
俺は顔を俯かせながら言った。
正直顔を上げられない。
「はあ!?嘘だろ!!勉強しなくても半分は解ける問題だぞ!!」
アランは驚いたように言った。
「解答用紙半分も埋まってない」
「まじかよ....」
俺の言葉にアランは言葉を失っていた。
「ま、まあそんな気を落とすな。まだ実技試験が残ってるんだ。そこで十回全部勝てばいい話じゃないか」
アランが俺を慰めるように言った。
アラン.......良い奴だな。
「まあ俺と当たった時は遠慮しないけどな」
「そこは手加減してくれないんだな」
「勝負事だからな」
アランは笑いながら言った。
まあなっちまったことはしょうがない。
実技試験では頑張るか。
俺は改めて気合いをだした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
筆記試験が終わり、俺は特に用もないのでそのまま寮に向かっていた。
他の生徒達は今頃明日のために特訓しているだろう。俺はここ最近森の方に行っていたから、今日は体を休めよう。
寮に帰る道中俺は一人の少女を見かけた。
ポニーテールにした銀の髪に顔は美人だが表情が無表情でじっとこちらを見ていた。
「あの、何か用か?」
「........」
少女は無言のまま立ち去っていった。
何だったんだ?
俺が不思議に思っていると、
「ケンヤ・コドウだな」
銀色の髪に少し厳つい顔をした無愛想な男は俺に声を掛けてきた。少し厳ついというか、武士の顔みたいな感じだな。
「誰だお前?」
「俺はBクラスのシルバ・メダル。お前に戦いを申し込みに来た」
「戦い?」
いきなりなんだこいつ?
「そうだ。実技試験ではBクラス以下の奴等は自分より上のクラスに戦いを申し込んで勝利するとそいつとクラスを入れ替えされる事ができるんだ。勿論相手の了承を得なければいけないけどな。最も勝負を受けて貰える事なんて滅多にない。受ける方に利益になるようなことがないからな」
そんな制度があったんだな。知らなかった。
しかしなんちゅう制度だよ。
受ける側には何の特がないな。しかもそれに勝てばクラスを替えられるって、実技試験の意味がないんじゃないのか?
「誰が作ったんだその制度?」
「ここの学園長らしい。生徒達の意欲向上の為に作ったが誰も使わないから忘れられた制度になってる」
使われなさすぎて忘れられた制度って、さっさと廃止しろよ。
てかよく見つけたなそれ。
「何で相手を俺に選んだんだ?他にも沢山いるよな?」
「お前の噂は聞いている。相手が泣いて命乞いをしても笑いながら相手を完膚なきまでにボコボコにする悪魔の男らしいな」
何か噂がどんどん悪化してる!!
誰だよそんなん言った奴!!
「それでそれほど強いお前ならいい戦いが出来ると思ったんだ。だから頼む!お前に利益が無いことは分かっている!どうか受けてはくれないだろうか!」
シルバは頭を下げながら俺に頼んだ。
どうやらシルバはクラスの入れ替えよりもただ強い奴と戦いタイだけのようだな。
強い奴と確実に戦うにはこの制度を使うのが一番って事か。
しかしどうするか....。正直俺は赤点確実だから下手に受けてもなー。
俺はしばしう~んと考えた。
「分かった。受けてやるよ」
「本当か!」
「そこまで頼まれたら引き下がれないからな」
「ありがとう!恩に着る!」
シルバは嬉しそうに言った。
正直こいつは顔が元から怖いから笑うと不気味だな。俺も人の事言えないけど。
「それでは明日はよろしく頼む、ケンヤよ」
「あー、こちらこそな」
俺とシルバは握手を交わした。互いに笑顔で握手をしていたが、周りから見たらどこかの悪徳取引の場面みたいに見えるだろうな。
シルバと別れ俺は寮に帰った。
ブグマ評価よろしくお願いいたします。




