表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

ホワイトデー、後

 3月14日。

 遥からのお返しはなかった。


 ♡


 無駄に緊張した入試は終わり、あとは流れるように時間が経って私は中学校の課程を無事に終了した。なんというか、卒業式はもっと華やかで盛大だと思っていたので予想に反した普通ぶりに少しだけ落胆した。

 お返しがないことは正直辛いけれど仕方がない。遥に告白をしたことはない。でも私は失恋したのだ。これで最後と決めていただけに悲しくて14日の夜は少しだけ泣きそうになった。

 でもこのことばかりを悲しんではいられない。今日は入試の結果が高校に張り出される。しっかりしなきゃならない。とにかく今は遥のことではなく、合格していることだけを考えていよう。

 私は志望校の校門をくぐる。入試の時ほどではないにしても緊張する。少し先にはもう人だかりができていて大勢の人が必死に結果を見ようとしていた。そんな中を掻い潜り私は自分の受験番号を探す。見えない。まったく確認できない。自分の身長の小ささに苛立っていると、突然体が上向きに放り出されるように浮いた。目線は一気に高くなり前の人の頭上を超えて見下ろすような感じで結果が見えた。私の番号は、しっかりとそこに明記してあった。

「見えたか」

 声が聞こえたかと思うと視界は一気に下がる。振り向くとそこには、遥がやれやれといった表情で立っていた。理解できない。何で遥がここにいるのか。遥はここの高校ではないはずだし、そもそも遥は前期入試でもう合格している。

 私たちは取り敢えず人ごみから脱出した。

「どうしたんだ、呆然と」

「いや、何で遥がと思って」

「だって俺ここの高校に入学するし、同じ中学のやつが落ちてないか見に来た」

「え、だって遥はここの高校じゃないでしょ」

「前期入試の直前でやっぱり志望校変えてここにした」

 なんでだろう。言葉が出ない。感情が言葉にならない。

「それに、ここの高校じゃないと……一緒に帰る人がいない」

「それは……どういった……意味」

「言わすなよ……それと、これ」

 そう言って遥はポケットから水色の小さな紙袋を取り出す。そして目を伏せながら手わたされた。

「学校じゃ勇気が出なかったから、今。……遅くなって、ごめん、春」

 私は少しだけ泣きそうになりながら、受け取った。

 チョコを誰にもあげていないのでお返しがない私です。私の中でバレンタインとホワイトデーは何気ない普段の日常に過ぎないのです。(あ、目から雫が)

 という訳で、これで三日で書いたシリーズ『最後のバレンタインデー』は終了です。皆様、ご精読ありがとうございました。それでは(´ー`)/~~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ