王都爆進
大変遅くなりましたが、最新話投稿致します。よろしくお願い致します。
さて、王妹殿下を乗せた馬車は悪路も疲れも物ともせず、王都を目指し、ひたすら林の中にある道を驀進していた。
進行方向に石があっても構わずバウンド、馬達がバテても最低限の休みのみ。
王妹殿下は悟った顔の馬と目が合った瞬間、何か、通じあった。
「……強行軍にも程があるのう」
道を少しだけ逸れた所に、道行く人々に憩いを与える小さな池がある。そのほとりにある木陰でようやっと落ち着けた王妹殿下は、お尻を摩り摩り呟いた。
馬車は決して粗悪な物ではなく、むしろ、調度は最高と言っても差し支えない。だが、いかんせん運転が荒い。いくらクッションが柔らかくフッカフカだろうと何の効果も成さなかった。
何故、後先考えず急いでいるのか、従者に真っ先に問うたところ、顔を蒼白にして目を見開くという、顔面蒼白とも鬼気迫るとも言える顔つきで、
「私の首がかかっているのです」
と、言った。
何でも、彼の主である前后陛下(王妹殿下にとっては兄嫁にあたる)が、気品ある笑みを湛えつつ、海賊さながらに、自分の親指を使って首をかっ切るという仕種をして見せ、
「二日以内にカレンをここに連れて来なければクビ」
と、宣ったとのこと。
「『クビ』とは免職のことと捉えてよろしいですよね!? ねッ!?」
一心に前后陛下に尋ねたが、彼女は上品に微笑みを湛えるのみであったそうな。
一抹どころではない不安に苛まれた従者は、本来の自分以上の能力を発揮して、御者を手配し、三日はかかる王妹殿下の領地まで、一日以内に到着してみせた。
羊顔従者に捕まった憐れな御者は後に語る。
「青い顔しながら土下座で頼まれているのに、自分は殺されるかと思った」と。
土下座しながら人を脅迫するという、矛盾を覆す行為をしてのけた羊顔従者なのであった。
さて、そんな貴重な脅迫を経験した御者の、
「お前達! 二十四時間以内に城へ到着すれば、きっと救われるからなッ!!」
という、そのうち「ハレルヤ」とか言い出しそうな叱咤激励をBGMに、寛いでいる王妹殿下の背後から、羊顔従者が現れた。
「カレン様。お車の準備が整いましてございます」
「……」
「カレン様。−−カレン様?」
「……んむ? ああ、わらわのことか」
王妹殿下の三角気味の目が丸くなり、案じ顔の従者と目を合わせた。
「名で呼ばれるからビックリしたわ」
「そ、それは失礼致しました。以後控えます」
「いや、構わぬ」
と、王妹殿下は首を二度振った後、目を細め、微笑んだ。
「いつも、『王妹殿下』や『姫』等と呼ばれ、名で呼ばれることは滅多にないからの。新鮮で面白い」
「はぁ……。新鮮、でございますか」
「すでに臣下に下ったというに、皆からは『王妹殿下』とあだ名をつけられ、アンリ達からは『姫様』と呼ばれておる。おこがましいばかりであるが、もう慣れてしもうた」
のほほ、と王妹殿下は笑い出した。
最新6話でした。
以前、後書きに説明を入れられるよう頑張る、と書きましたが、また今回も入れられず…。
次回こそ、入れられるかと思います。
そして、次回の投稿の予定日はまたしても未定になっておりますので、ご了承いただければ、ありがたいです…。
次も書くぞッと、いう気持ちはありますので、何卒よろしくお願い致しますm(__)m