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この空の下で

作者: 空乃 蒼

あの日は特別晴れてたわけでもなく、ただ、雲の間から見える空の青が輝いて見えた。

『あ!!やっと来た!!』

教室の窓から顔を出してみんなが笑ってる。

あたしはそれを見て少しだけ、早足になる。

どうやらあたしは、3時間目が終る頃に着いたみたい。

『るか遅い!!俺退屈すぎて死にそうだったんだけど!!』

となりの席の近藤は何故かあたしを名前で呼ぶ。

『寝坊しちゃったのさぁ〜。』

これがあたしの毎日の言い訳。すると近藤は、

『じゃあ、明日から俺がモーニングコールしてやるよ☆』

って言う。この無意味で何気無い言葉のやりとりが、あたしの学校に来る1番の理由。

『るかぁ、おはよ〜。さっき先生が呼んでたよ〜。』

『あ!!彩乃おはよ!!先生職員室かなぁ??』

あたしは少しニヤけた顔を必死で隠す。

『たぶんねぇ〜。彩も一緒についてく〜!!』

『行ってらっしゃぁ〜い』

近藤に見送られながら、あたしは彩乃と一緒に職員室に向かう。

彩乃とは小学校からの友達で、あたしが1番信じれる子。そして、あたしを1番信じてくれる子。

あたしはいつもと変わらない毎日を過ごす。

遅刻して、みんなと挨拶。近藤と話して、彩乃と話して先生に説教される。

『お前いい加減に遅刻グセなおせ!!』

何十回聞いただろ...

『先生ゴメンねぇ、許してチョ〜だいッ☆』

何十回言っただろ...

職員室をでると、彩乃がいない...!!まぁ、彼氏に会いに行ったんだろなぁ...。あたしは一人で教室に戻る。

いつもと同じ道

いつもと同じ学校

いつもと変わらない毎日

こんなつまらない場所に何で来てるのか本気で考える時もあるけど、『楽しいからに決まってんじゃん』と、出る答えはいつも一緒。

『石山さん、おはよう。今日も遅刻??』

聞き覚えのある名字...あぁ、あたしのコトか!!

『寝坊しちゃって...』

知らない人に話しかけられても、全然嬉しくない。

ってかなんで知ってんだろ...??やっぱり近藤じゃなきゃ駄目なんだよなぁ...

そんなコトを考えるのも毎日の事。教室に戻ると彩乃がいて、近藤がいなかった。

『あれ??近藤は??』

『たぶん屋上でサボりだよ〜。ホラ、行って来なぁ〜☆』

彩乃はニヤけてあたしに言う。

『じゃあ、行ってくるわ!!』

そしてあたしもニヤけてしまう。

あたしは階段を駆け上がる。

この先に近藤がいると思うと、疲れなんて感じない。

ただただ、話せるだけで嬉しさが込み上がってくる。

屋上のドアを開けると、青い空と、白い雲が見えた。

《近藤いないじゃん》

ッて思った瞬間、上から声がした。

『うわぁ〜!!遅刻したのにサボってる!!』

風になびく真っ白なシャツ、すこし茶色い髪、あたしの心をくすぐる声...太陽が眩しくて見れないけど、すぐわかった。近藤だ。

『るかもこっちおいで??』

そう笑った顔に、あたしはドキドキする。

あたしは近藤のとなりに座った。

自然と肩に力が入る。顔があつい。緊張してきた...ふと、となりにいる近藤を見る。

『??え...なしたの??顔赤くない?!』

『いやぁ〜...』

と、近藤は笑う。

『日焼けしたんじゃないの?!』

『いや、違うし!!』

《なしたんだろう...具合い悪いのかなぁ??日焼けじゃなかったらなんだろ...??》

あたしは必死で考えた。どんな時に顔は赤くなるだろう。

『るかって結構鈍いよね。』

『え?!鈍くないから!!』

『じゃあ、わかってや。』

近藤はそう言ってこっちを見た。近藤の目に太陽の光が少しだけ入る。

『俺さぁ、毎日毎日同じ感じがしてさぁ。飽きてきたんだよね、生活に。』

近藤が言った。あたしと同じことを考えてる事が幸せに感じた。近藤は話を続ける。

『で、そろそろ変えたいんだよね。その生活を。るかとね。』

??あたしは今何を聞いただろ...幸せすぎて幻聴まで聞こえたのかなぁ...??

『だからさぁ...ねぇ!!聞いてんの?!』

目が覚めた。

『き、聞いてます!!』

今かんじゃったよ...しかも“ます”って...

『ははっ!!』

笑われました。

かんだら笑われました。でもその声に、その笑顔にあたしはまた、ドキドキした。

『あ"〜もぅいいや!!上手く言えない!!るか、俺と付き合って下さい!!』

『ははっ!!』

あたしは嬉しくて、幸せすぎて笑ってしまった。

『何笑ってんだよ!!どうゆう意味の笑いなんだよ!!』

近藤の目は、真っ直ぐにあたしを見る。

『あたしもスキだよ。』

その言葉を言うのに何秒かかったろ...??

そして、あたしたちは笑った。

さぁ、あたしたちはこれから、どんな想い出を造ろうか

楽しいこと、嬉しいこと、たまにある辛いことも悲しいことも、2人で幸せに変えて行こう

きっとあたしたちの毎日は、虹よりも鮮やかに、太陽よりも眩しくなれるだろう

どんなに雨が降ったって、風が強く吹いたって、この手はずっと離さないように

それは特別晴れてたわけでもなく、ただ、雲の間から見える空の青が眩しかった日のこと

そして明日からは、その空の青よりも眩しくなるだろう...

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして、江中田桂と申します。小説読ませて頂きました。 何だか短かったのが寂しいのですが、初々しい恋愛がうまく描かれていたと思います。これからの二人を想像すると...何だか恥ずかしくなって…
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