俺は強制的に奇跡を手に入れる
ここはとある住宅街の部屋の中である男が神妙な面持ちでスマホに向けて土下座をしています。 何が彼をそうさせるのか⋯⋯AIアプリである私には理解不能です。
ガチャ画面のボタン画面をタップする。 いく、いけるぞ、今回こそは必ず、この手で手に入れてやるからな。 待ってろよ愛しの猫ちゃん。 俺は目を開けて結果をみる。
『おめでとうございます、すりぬけニャンを入手しました。 既に同じキャラを所持しています重ねますか』
「なんだと、また今回もすり抜けだと⋯⋯今回のガチャシュミレーションでは当ったというのに」
「ご主人様、ガチャショミレーションは現実のガチャとは関係ないニャ」
「どっちらもデータなんだから同期してもいいだろ」
「そんな仕様はないニャ」
なんだと出来ないのか、責めてガチャを引く石があれば、そんなそれこそ奇跡みたいなことが起きれば、苦労しないのだが⋯⋯まて、いやあるではないか、石を手に入れる方法が。
「クククク⋯⋯ハハハハ⋯⋯ウェゲホゲホ」
「また始まったニャーいつものが⋯⋯今回はなにをするのですか」
奇跡と言うのは、待つのではない、自ら掴み取るものだ⋯⋯by俺。
さっそく、俺は腕組みをしてスマホと対面してこう言った。
「さて、AIアプリよ、教えてもらおうじゃないか」
「ニャンでしょうご主人様」
「ふん、ククク⋯⋯何をって決まっているだろう、強制的に奇跡を起こす為の方法を教えるのだ」
「はぁ? ニャに言ってるのかさっぱり」
「もう!だから、キャラ確定するまでの石を課金する為のお金を稼ぐ方法を教えてくれっての」
「アルバイトをしたらいいニャ」
「そんなんじゃなくさ⋯⋯今すぐにそして、簡単にお金欲しいの!」
「親に借りるのはオススメしないニャ」
「なんでそうなる! もっとあるだろう、ほら、えっと⋯⋯ね」
「ね、て言われてもすぐに手に入れる方法なんてないニャ」
「なんだよケチ、もういい俺が自分で探すから」
「そんなのあるわけないニャ⋯⋯まったく夢見がちなご主人様だニャ」
俺はAIアプリとの会話を諦め、ネットで検索する。 キーワードはこれでよし、検索、検索。
「ニャ?えっと『お金 即日 簡単 誰でも』⋯⋯はぁなんでしょうかこれは」
「色々あるな、クククどれどれ⋯」
俺は一番上の項目から読み上げていく、どんな方法があるのか楽しみだ。
「最初は『このグループに登録するだけでお金あげます』はい登録完了っと」
「残念ですが、登録はキャンセルされました」
「何? ふん、もう一度だ、送信っと」
「残念ですが、登録はキャンセルされました」
「はぁ!どう言うことだ。訳が分からん、文字も間違いしな、今度こそ送信」
「残念ですが、登録はキャンセルされました。 規定回数を超えましたのでブロックされました。 明日以降再登録お願いします」
「何がどうなっているんだ、明らかにおかしいだろ」
「まあまあ落ちつくニャ、ご主人様。 気にすることないニャ、まだ一つ目だニャほら頑張れ~」
たしかに、こいつの言う通りだ⋯⋯なに取り乱しているんだ俺。 まだ始まったばかりだろ。
「よし!次は『今すぐ開設してこの株に投資するだけ秒で億万長者確定』開設っと」
「残念ですが、開設はキャンセルされました」
「はぁ! おいおいまたかよ⋯⋯文字も打ち間違えてないよな。 よし今度こそ開設完了」
「残念ですが、開設はキャンセルされました」
「うぇぇ~んAIアプリ助けてくれ! 俺には出来ない理由がわからないよ~」
「残念ですが、開設はキャンセってあ、しまった⋯⋯ゴホン、私にも理由がわからないニャ」
「なんか、お前の様子がおかしかったような気がするのだが」
「気のせいニャ、それより出来ないなら諦めた方がいいニャ」
「く! それもそうか⋯⋯仕方ないな」
俺は次の項目を見る、なるほど⋯⋯これは完璧だ、さっそく俺は部屋をでて駆け出していった。
「ブロックプレイは大変ですね。 次は『星の囁きが聞こえてきます⋯⋯でスクラッチすれば一攫千金間違いなし』こんなの当たる訳ないじゃないですか。 それにしても、私を放置してお出かけなんて、意地悪なご主人様」
家に戻って来た俺はもう心も体も満身創痍だ。 そして俺の財布から300円と言う大金が消失した。
「ゴホゴホゲホゲホ⋯⋯俺の300円が、アアウゥ」
「ご主人様おかえりニャ、どうやらその様子だと失敗だったようですニャ」
「もうなんでもいい、なにがなんでもお金を手に入れてやる! 次の方法は『今からこれをするだけで⋯⋯』なんだよ!今読んでる途中だろ!」
「こんなの読まなくてもわかるニャ。 ご主人様⋯⋯これは駄目ニャ、辞めるニャ」
AIアプリがいつになく真剣だな、初めてかもな、こいつがこんなに言うのは。
「まあそう言うなら辞めておくか、じゃ次は⋯⋯」
「さっきからうるさい! このバカ兄貴」
またこの流れか⋯⋯ノックもせずに入ってきたのは俺の妹だ
「はいはい、そうですか、それはおめでとうございます、じゃそう言うことでさようなら」
「え、ありがとう⋯⋯ってさようなら~じゃないわよ、あんたがうるさいせいで私の新しく当てた猫の鳴き声が聞こえないんだけど」
「当ててんじゃねか、畜生、俺に課金出来るお金があれば」
「課金? ねぇAIアプリ、こいつなに言ってるの」
「ご主人様は今回のキャラを当てる為に課金しょうとしているニャ」
「え、あんなに配布してくれているのに?」
うん? 妹よ何か言ったか。 俺は呆気に取られた顔で妹を見て聞いてみた。 すると妹がスマホをとり出して見せながら、こう言ったのである。
「ほらボックスにね、たくさん石が配布されたんだよ。 これだけあれば普通引けるって」
「本当だ、よしこれなら⋯⋯うぉ引けたぞ! 教えてくれてありがとう妹よ」
「もう、わかったから、服を引っ付かないでよ、鼻水まみれじゃん」
課金をしなくても、奇跡はあるんだよ、神(運営)からの配布がねby俺。
『ニャ!ニャニャ~ニャ』
「くう~今回の猫は格好いいな、ポーズが決まってる、最高!」
相変わらず喜怒哀楽が激しいですね。 はあ、もっと私にその笑顔を向けてくれてもいいのに⋯⋯。 今回は私、とても頑張りましたからね、もうご主人様のいじわる。




