第6話:筋肉よ、語れ!〜俺の鍬は妄想でできている〜
村の朝は筋肉で始まる。
「イチ!ニー!サン!筋肉!筋肉!おはよー筋肉ー!!」
広場では今日もアーノルドが上半身裸で鍬と一緒に筋トレしていた。
※鍬=マッスルドリームMk-II(愛と情熱で進化した農具)
その隣でモフモフがあきれ顔で言う。
「朝から裸のオッサンが鍬とスクワットしてんの見せられて、村人はよう黙ってんな……」
「いや、これもう宗教になってるから……“筋肉信仰”っていう」(誠一)
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アーノルドの妄想、暴走す。
事件は突然だった。
アーノルド「ワイ、ついに想像してもうたんや……筋肉が鍬を耕す世界を!!」
誠一「逆だろ!?鍬が筋肉を使うんじゃないの!?何が起きるの!?」
バゴォォォン!!!
地面から生えたのは、**二足歩行の巨大筋肉生命体“マッスルランド”**だった。
シルフィーナ「ちょっと!?それ土を耕すってより、村ごと握りつぶしてない!?」
マッスルランド「耕すことは、愛すこと……!」
誠一「哲学っぽいけど全部物理だよねそれ!!」
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誠一、想像で“筋肉理論”を生成
「いくぞ……想像主の本気、“筋肉の定義”を書き換える!!」
俺が思い描いたのは、
“筋肉とは、制御された力である”
すなわち、**“暴走しない筋肉こそ、真のマッスル”**である。
想像により誕生したのは、
**“セクシー自制筋スーツ”**!!
(自分の筋肉に言い聞かせる冷静なスーツ。見た目が地味。)
「な、なんやこのスーツ!?ワイの筋肉が……落ち着いとる!?冷静になっとるうううう!?」
「冷静な筋肉ってなんだよ!?」
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筋肉は、耕す。
すべてが終わった後、アーノルドはつぶやいた。
「妄想の力は……想像以上やな……」
「うまいこと言ったつもりかもしれんが、全然うまくないぞ」(誠一)
「でもこれからは……冷静に耕していくわ、ワイの鍬と一緒に……」
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そして、村の畑には“ちょっと引き締まった”野菜が実り始めた
キャベツに割れ目があり、トマトに腹筋が刻まれている。
シルフィーナ「……やっぱり村、おかしいと思う」
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次回予告
鍬と語り合う筋肉、叫ぶマッチョ、暴走する想像力。
誠一のツッコミが追いつかない中、次なる事件は――
詩を語るトイレと、涙をこらえる少女!?
次回『シルフィーナ、ポエムトイレで泣く』
「このトイレ……ポエム詠むんですけど」
「なんでそんな設定想像したんだよ俺ーーー!!」
妄想の副作用、それは「心の扉」だった……?
次回、異世界で初めての涙が、静かに流れる。