表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

空虚2

作者: 悲愁

 ふと、人の動く気配で目が覚めた。隣へ手を伸ばし、そこにあるはずのぬくもりを探したが、そこにはほんのりと温かな痕跡だけが残っている。段々と消えていく熱を指先で感じながら、ゆっくりと重い瞼を開いた。


――ああ、またか。


 窓の方を向くと、あの人がベランダに立っていた。月明かりに照らされ、一人静かに夜の街を眺めるその姿は、どことなく寂しく、切ない。あの人はときどきこうやって夜に目を覚ますと、何をするでもなく外の景色をぼんやりと眺めている。

 その後ろ姿を見るたび私はあの人との間の壁を感じるのだ。あの人の心には私では埋められない大きな穴があって、その穴はまるでどこまでも続いているかのように深く暗い。あの人から滲む孤独の色はいつまでも消えない。こんなにも近くにいるのに、あの人は内に秘めるものを私には見せようとせず、いつも柔らかく微笑んで隠してしまう。底に触れることができないまま、もどかしさと寂しさが募っていく。

 ベッドからそっと起き上がり、あの人の元へ近づいていった。私には理解できなくても、埋めることができなくても、少しでも孤独を分け合いたい。


 振り返ったあの人の冷えた体をそっと抱きしめた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ