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【一次選考通過!】異世界司令官〜【統帥】スキルで召喚されし無敵の帝国軍よ、誇り高き軍旗とともに前進せよ!〜  作者: あるてみす
第8章

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第423話 小さな式と大きな軍拡

 俺とミラの結婚により、従来の教会は新たに帝国国教会として生まれ変わった。

これにより皇帝権と教皇権は同一のものとなり、その権威は大幅に強化されるところとなった。

また、国においては皇帝による統治と信仰による統治、の二重統治が行われるところとなった。


 俺はミラに盛大な結婚式を行うことを提案したが、彼女はそれを断り簡素な結婚式だけで済ませたいと言ってきた。

一世一代の大舞台であるが、と反論はしたが、譲ることはなかった。

彼女いわく、さんざん迷惑をかけた教会の人間がそのようなことに莫大な金をつぎ込むのは申し訳ない、とのことだ。


 よって後日に近親者のみを招いての結婚式を帝国宮殿内の神殿にて執り行うことを決め、その日は別れた。

その間に俺は溜まっている執務を消化しなければならず、対応に追われるところとなった。

特に大変であるのが、コアレシアの仲介によってやってくるザイエルン公国、ローゼンベルク大公国の全権との会談であった。


「さて、チャーチル。来るザイエルン公国及びローゼンベルク大公国との会談であるが……我々はどう望むべきであろうか?」


「そうですな……十中八九、彼らは我々に支援を求めてくるでしょう。コアレシアが彼らの領土に侵攻せんとしていることは理解しているでしょうから」


「となると……この会談は初めから我々が優位な立場に立って始めることができるのだな?」


「左様です。それに、優位な立場であるのは会談全体を通してです。彼らとしては我々を頼らざるを得ない以上、下でにでてくるでしょう。最初は要求を跳ねる素振りを見せ、段々と我々に有利な条件を引き出していくのです。手の中で転がしてあげればよいのですよ」


 チャーチルはそう言い、葉巻を吹かした。

彼が葉巻を好んでいることは承知の上なので、俺たちは喫煙可能な談話室にて話している。

天井についている強力な空気清浄機が、全ての煙を吸い取ってくれるのであった。


「……で、ですが。我々が主に要求すべきことは3つあります」


「1つ目は、コアレシアの動向を探るために情報を開示、もしくはこちらのSDの派遣、保護を保証すること。2つ目は対コアレシアに備えていくらかの軍隊の駐留を認めること、だな。3つ目は?」


「3つ目は、両国に眠る始祖王の時代の文献、物品等をこちらに譲渡してもらうことですな。過去の悲劇の理由は何なのか、誰によって引き起こされたのか……を我々はより知る必要があるのです。そうすれば、新約聖書外典における悲劇を回避するためのひとつの指標となりましょう」


 俺はチャーチルの言葉に頷き、同意を示した。

ウーラノスの情報解析と合わせて進めるべきことではあるが、なにせウーラノスが離れすぎているせいで返答までに時間を要しているし、ところどころ情報が劣化してしまっている。

それを埋めるために、また物的証拠としての物を欲しているのだ。


「これぐらいは相手に飲んでもらわないと困ります。逆に相手が持ちかけてくる条件が何なのか……は気になるところですが、基本的には譲歩する方針で進めるべきです。下手に扱うとコアレシアの付け入る隙を与えることになりますからね」


「それは絶対に避けなければいけないだろう。俺は、彼らがおそらく兵器の支援を中心に望んでくると思っているのだが、どうであろうか?」


「たしかに、自国の軍の強化を求めてくることは間違いないでしょう。ですが、それ以上に欲しいのは直接的な力、よりも間接的な盾、であると思います。つまり神聖イレーネ帝国という権威を用いることにより、コアレシアを一定程度牽制することが可能ということですな。コアレシアがしびれを切らすのも時間の問題、可及的速やかに会談をまとめましょう」


「基本的な方針は、前に行ったように君に一任するつもりだ。その過程において俺の権威を有用に振りかざす分には問題ない。むしろそれで好転するのであればどんどんと使っていくべきだ。俺も実際に交渉の場には参加しているが、基本的な対話は君と、必要に応じてビスマルクに任せる。よくやってくれたたえ」


 チャーチルは頭を下げ、手に持っていた葉巻を皿の上に横たえた。

葉巻に付いていた火は消え、残ったのは吸い殻だけであった。

彼はその吸い殻をシガレットケースに治め、その口をきつく閉じた。


「了解いたしました。……しかしビスマルク殿と一緒に仕事をするなど、非常に光栄なことですな。ナポレオン3世を欺いたその外交手段、是非参考にしたいものです」


「ああ、切磋琢磨するが良い。……それとビスマルクは、どうやら対コアレシア用の切符を欲しているようだ。その点は上院議員の間で可決されたことらしいが、エムス電報事件のような真似はあまり好ましくない。そちらに手を出しそうになったら静止するように」


「了解いたしました。それと少し話は変わりますが……私は海軍の人間ですが、首相もやっていたので陸軍のことも多少は分かります。現状の我々帝国陸軍……もとい国防軍は、対コアレシア戦において圧倒的に兵力が不足していると感じます。大陸ひとつが主戦場になることが予想されますゆえ、もう少し規模を拡大するべきかと」


「軍備……についてもまた貴族院の採決で、拡大する方針で決定された。それに伴い現行の国防軍の組織を解体、再編する。規模は、独米ソに新たに英仏が参入し、規模も大陸間の戦争に耐えれるだけの100万人、武装親衛隊を含めて130万位を予定している。イレーネ本国から以外も兵は参入することになるだろう。その場合は十分な数字になるはずだ」


 イギリス軍も新規参入すると聞いたチャーチルは、嬉しそうに口角を上げた。

帝国海軍においてもロイヤルネイビーの枠を増やすように言ってきたが、そこは検討しておこう。

いよいよ対コアレシアに向けた動きが加速しようとしていた。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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