第411話 パレードの余韻と3H計画
お久しぶりです。
最近は設定を上げると言いながら、忙しすぎてあげれず、本当に申し訳ございませんでした。
これからは通常通りの更新に戻りますので、引き続き『異世界司令官』をよろしくお願いします。
それと、最後にちょっとしたお知らせがあります。
ぜひ覗いてみてください。
では本編に
軍事パレードの終了後、俺とグデーリアンたちは宮殿で晩餐会を開いていた。
少しずつ運ばれてくる料理を堪能しつつ、俺たちは今回のパレードの効果について話し合っていた。
全員今回のパレードの効果については肯定的に捉えているようであり、また全員がコアレシアに対する良い牽制になったのではないかという意見であった。
だが、軍事パレードだけでは牽制にはなっても、戦争を避けることができるわけではない。
結局のところは、さらなる軍拡が必要である、ということに話の論題が移り始めた。
そんな中、グデーリアンは一つの資料を俺たちに配った。
「これは?」
「我々軍部の首脳の間にて作成した、対コアレシア用の作戦要項、および戦争に向けた必要な準備をまとめた資料です。一度ご確認を」
「分かった。少し待ってくれ」
俺は受け取った資料を開き、中に書かれていることに目を通していく。
最初に書かれているのは、コアレシアとの交渉において獲得した島々に、軍港や飛行場を含む一大軍事拠点を作るという計画であった。
これ自体はハワイやグアムなどと同じく、要石となるであろう重要要素であった。
計画自体は既に話がまとまり始めており、書かれている内容は作成されていたものの修正案であった。
複合基地を作りに足りる土地があるのかは不明であったが、それも大方決まったようであった。
その次に書かれているのは……なんだろうか。
『3H計画』……すごく怪しい計画名だが、中身は何であろうか。
俺がちらりと目を上げると、ルーデルが嬉しそうに笑っていった。
「司令、今『3H計画』の項目に目を通されましたね?」
「ああ。よく分かったな」
「その資料においてそんな反応をするであろうページはただ一つだけですので。その計画については私とハルゼーより説明させていただきます」
「では司令、まずはこれをご覧ください」
そう言ってハルゼーが取り出したのは、イレーネとコアレシアを映し出した地図であった。
既に把握されている情報や、【世界地図】を用いて作成されたものであり、その制度は非常に高い。
そんな地図のうち、彼はイレーネ島、ゾルン島、ブルネイ泊地とコアレシアをそれぞれピンと糸でつなげた。
「これを見てもらえば分かるように、我が国とコアレシアは非常に離れています。いうなれば日本とアメリカぐらい……太平洋を挟んでいるぐらいの距離があるのです。そんな中、我が国の航空基地から発進する爆撃機の多くでは、敵地への侵入はかないません」
「その通りだな。B-52Hは例外であるが、それ以外のB-29やB-36では到底たどり着くことが出来ないのは確かだ」
「そしてまた、護衛の戦闘機をつけることも不可能です。つまり、B-52Hはもし戦争となった場合、敵の防空網を護衛無しで通り抜けなければならないのです」
「たしかに、無謀な護衛なしの爆撃は避けたいな……。いくらコアレシアの対空技術がまだ発展していなかろうと、見ているうちに気がつけば高高度の爆撃機も落とせるようになるかもしれないな。それが『3H計画』に関係するのだな?」
俺がそう聞くと、ハルゼーはコクリと頷いた。
そして地図をなおした彼は、次は3つの模型を順番に机の上に置き始めた。
それはそれぞれ。『船』『飛行機』『爆弾』の形状をしていた。
「これらが我々の計画する『3H計画』の主役たちです。順番に”Huge Battleships”、”Huge bombers”、”Huge bomb”です。これらの頭文字を取って『3H計画』と名付けました」
「安直だな……で、その”Huge”シリーズは何をコンセプトとしているのだ?」
「それは、名前からも分かる通り巨大さです。多様化した海軍艦艇の一元統率を行う『巨大』戦艦、帰りの燃料を気にする必要がない『巨大』爆撃機、そして敵国を焼き払う『巨大』爆弾……。基本的には前線の基地が焼き払われようと、本土から発進した爆撃機によって報復を可能とすることを見据えています」
「報復攻撃……ね」
俺は視線を資料に戻し、読み進めていく。
どうやら資料によると、既にH爆撃機は研究・試作段階に入っているようだ。
コアレシアの大使に対するカモフラージュとして、計画名は『旅客機』になっているが。
計画によると12発のターボジェットエンジンを備えた超大型爆撃機、とのことだ。
それに単独で自衛機能を備えるように、との考慮がなされているので、護衛機も不要だ。
あまりのでかさであり量産には不向きだろうが、数飛行隊単位であれば整備も可能であろう。
「H爆撃機及びH爆弾においては、研究と製造、配備を承認しよう。ただ、H爆撃機については対空ミサイルの他に、機関砲と機銃を防空用として搭載すること。敵の保有する飛行機がセイバーである以上、対空ミサイルだけでなく機関砲も十分有用なはずだ」
「分かりました。H級戦艦についてはどうでしょうか?」
「戦艦……は個人的に好きではあるが、大和型以上のものを就役させた場合、入港できる港湾が制限されるほか、敵航空機の良い的になるだろう。よってH級戦艦の建造は一旦却下する。代わりに、ガングート級重装甲航空巡洋艦や、砲撃という意味ではグスタフ・アドルフの同型艦を建造するように。特にガングートについては重点的に、な。もしくは弾道ミサイルの洋上発射プラットフォームを建造しても良いかもしれないな」
「畏まりました。では、一旦H級戦艦の計画案は凍結とします。ですが運用の必要性を見出した場合は、再度建造の議論に上げるかもしれません」
ハルゼーはそう言い、持ってきていた模型をせっせとなおし始めた。
H爆撃機に関しては、正直なところ俺も開発の必要性を痛感していたが、妄想に過ぎないとして話に上げることはなかった。
だがこうして提案がなされた以上、大手を振って開発が可能となったのであった。
H爆撃機は、コアレシアを火の海に変えるのか、それとも……。
新たな爆撃機の開発が今後にどのような影響を及ぼすのか、そのときはまだ誰も知らなかった。
新規の読者勲章『プール・ル・ロマン勲章・グラン・メートル』を制定しました。
現行の『プール・ル・ロマン勲章』の最上位に位置し、保有者には『騎士爵』の称号が与えられます。
そして、《《イレーネ帝国陸軍若しくは空軍の部隊の部隊名の命名権と出場権》》が付与されます。
受章資格等につきましては、活動報告を御覧ください。
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