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【一次選考通過!】異世界司令官〜【統帥】スキルで召喚されし無敵の帝国軍よ、誇り高き軍旗とともに前進せよ!〜  作者: あるてみす
第7章

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第317話 ドラグーンの咆哮

 野を駆ける姫竜騎兵連隊。

彼女らが掲げるのは、イレーネ帝国の旗を掲げる教会軍と判別をつけるための軍旗、連隊旗であった。

数が多くよく目立つため、姫竜騎兵連隊の接近はすぐに王都内の教会軍に察知されるところとなった。


「おい、イレーネ軍が国境を超えて王都に侵攻してきているぞ!」


「何だって! イレーネ軍の正規部隊か!?」


「いや、どうやら馬に乗っているようだぞ! しかも馬に乗っているのは皆女だ!」


「一体何を考えているんだ! 実はあれは別働隊で、本隊はどこか別の場所にいるんじゃないか?」


 混乱しつつも、彼らはとりあえず城門を固く閉ざした。

そして争うふりをしていた、武装SSの仮装をする教会軍も、元の軍服に着替えて戦列に参加する。

彼らは城門の上から迫りくる姫竜騎兵たちを撃ち下ろすべく、横一列にならんでマスケット銃を構えた。


 ヒュルルルル…………ドォォン!


「なんだ、あの騎兵たちの攻撃ではないぞ!」


「北側の門が攻撃されている! 敵の砲撃だ!」


「くそっ、こっちは陽動ってことか!」


「どうやらそうみたいだ! 畜生、戦車部隊もお出ましだよ!」


 砂煙を上げながら突進する、ロンメル元帥率いる武装SSの戦車部隊。

彼らのさらに後方では、フンメルやナースホルンといった自走砲による支援射撃が行われていた。

ただ、それらは一般市民に危害を加えないようにすべて城壁より外側に着弾させていた。


「騎兵単体では門は突破できないはずだ、ならば今は北側の防衛を優先しよう!」


「よし、移動するぞ! いそげ!」


 彼らはマスケット銃を構えて北側へと移動を開始する。

その頃、城門に近づいた彼女らは陣形の間隔を縮めていた。

先頭を行く連隊長は、手に持っているライフル銃を上に掲げて言った。


「チャージ!!!!」


 その声に合わせ、他の女性たちも声を張り上げる。


「「「「チャージ!!!!」」」」


 チャージ……それすなわち騎兵突撃を意味する号令である。

彼女らは四四式騎銃を前方に突き出した。

騎銃の先端に取り付けられたステッキに、彼女らは魔力を込める。


「「「「灼熱を放つ魔法(ピロトキシルム)!」」」」


 彼女らに徹底して訓練を施された魔法の『ピロトキシルム』。

これは新型魔法にもともと造詣の深かったウェルニッケにより、彼女らに伝授されたものであった。

魔法により前方の殲滅力が向上するとともに、今回のような木造物の破壊も可能となった。


 放たれたピロトキシルムは、巨大な火炎の渦となって城門を焼き払う。

これにより何の障害物もなくなった姫竜騎兵連隊は、そのまま王都へとなだれ込んだ。

そこで彼女らは、城門を警備していた教会軍と会敵した。


「私たちは無条件殲滅を許可された! 捕虜のことなど気にすることなく全員殺して構わない! 思うがままに突撃せよ!」


「「「「了解! 突撃します!」」」」


 王都の通りを、端から端まで埋め尽くしながら駆け回る姫竜騎兵連隊。

彼女らの前に立ちはだかる者は、皆魔法もしくは銃弾を受けて地面に倒れ伏す。

中には、先についているスティックを本来の銃剣のように相手に刺突しているものもいた。


「何だあいつら、女のくせになんて強さだ!」


「男女の問題ではない! 今すぐ止めなければ!」


「馬を撃て! そうすれば動きが止まるはずだ!」


 彼らはそう言い、ライフルを馬めがけて構える。

その時、隊列の最前列にいた騎士が、何かを空中に放り投げた。

彼女がそれを放り投げた瞬間、教会軍の兵士たちはマスケット銃の引き金を引いた。


 ダァァン……


 火薬の燃えきった匂いが立ち込め、銃弾が放たれる。

だが、その銃弾が馬や彼女らに命中することはなかった。

なぜか、それはイレーネ軍が極秘に開発した新アイテムのおかげであった。


 かつての大陸戦争のとき、イレーネ島の上空防御のために作られた阻塞気球たち。

だが戦争の終わり、大した効果もないので、倉庫の肥やしとなっっていた。

それを騎兵突撃の際の防楯として活用しよう、とトマスが提案した結果生まれたものが、今回投げられた防御魔法を展開するための特殊手榴弾であった。


 結果、この手榴弾は見事に機能し、姫竜騎兵連隊がマスケット銃兵の攻撃による被害を受ける可能性は低くなった。

事実、今回の突撃では一発の弾丸も通すことなく無事に姫竜騎兵たちは教会軍の兵士を屠った。

勢いづいた彼女らは、そのまま更に中心部へと駆けてゆく。


「! 一旦停止せよ、一旦停止!」


「了解! 部隊、一旦停止せよ!」


 彼女らがまさに大通りに出ようとしたとき、先頭の騎兵が停止の命令を出した。

それに合わせて他の騎馬たちも停止する。

彼女らの目線の先には、槍を大々的に持ってバリケードを作っている教会軍の姿があった。


「連隊長! どうしますか、突撃しますか!」


「いえ、もう即席防御魔法の手榴弾も数が少ないでしょう。突破しきれるか不安が残るわ」


「なるほど、では……いえ、その心配はなくなったようです」


 教会軍の後ろから現れた、武装SSの戦車部隊。

彼らは陣形を組んで、身動きが取れない教会軍の兵士たちを踏み潰しながら進んでいく。

これにより、彼女らが突撃する必要はなくなった。


「無事に敵部隊を殲滅できたようだな。お疲れ様」


「ロンメル元帥閣下! 敬礼!」


「今は戦闘中だ、そんな形式張ったことは良い。それよりも、今は敵を完全に殲滅することを考えねばならん」


「了解です閣下!」


 さて、そうは言ったところでもう王都内の敵兵はほぼ殲滅されたかのように思われた。

沿道では、住人たちが何事かと窓から部隊を眺めている。

そんな彼らを攻撃せんと、大聖堂地下に立てこもる教会軍の残存勢力は隙を伺っていた。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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