表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一次選考通過!】異世界司令官〜【統帥】スキルで召喚されし無敵の帝国軍よ、誇り高き軍旗とともに前進せよ!〜  作者: あるてみす
第7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

310/476

第310話 尋問、そして黙秘

「おらっ、さっさと毒薬を隠し持っていた理由を吐けっ!」


 ――ドポンッ! ぶくぶく……


「〜〜!! 〜〜〜〜!!」


「そんなに暴れるなよ。情報を吐かないんだから仕方がないだろう?」


 バシャアッ……


「――ゴホッ、ゴホッ!! はぁっ、はぁ……っ!」


「どうだ、まだ吐く気はないのか?」


「何度聞かれようと……答えるわけにはいかない……」


「なんども痛めつけられているのに、大した根性だな。それだけは認めてやるが、痩せ我慢は良くないと思うぞ?」


 騎士団の詰め所では、捕まえた男の尋問が行われていた。

彼は身ぐるみを剥がれた後にムチで滅多打ちにされ、赤熱した鉄で身体を焼かれ、今は水責めにあっている。

だがそれでも、彼が何か情報を吐くことはなかった。


 彼の持ち物に関しても徹底した検査が行われたが、特に何か手がかりとなりそうなものは出てこなかった。

唯一分かっていることは、彼が獣人であるということだけであった。

そのため彼の口からなんとしてでも情報を引き出そうとするのだが、なかなか口を割らないため騎士団員たちにも焦りが見え始めている。


「おい新入り」


「はい。何でしょうか?」


 尋問を取り仕切っていた騎士団員が、近くで書類の整理をしていた男に声を掛ける。

呼ばれた彼は、騎士団員について拷問部屋の扉の前まで赴く。

小さな隙間から騎士団員は部屋の中を覗き見て言う。


「尋問っていうのはああやってやるんだ。よーく見とけよ?」


「私は事務の仕事が専門ですが……」


「もはや騎士団はルイ陛下が推し進める近代式軍隊に軍としての地位を取って代わられた。そんな騎士団が生き残るにはこういうことにも手を染めるしかないんだ。そのことも覚えておけよ?」


「はい。分かりました」


 2人は再び自分の持ち場へと戻った。

持ち場へと戻った騎士団員は、男が着ていた自警団の服を観察する。

なにか思ったことがあったのか、彼は再び新入りの男に尋ねた。


「なぁ。俺はこの服がどうも引っかかるんだが……なにか思わないか?」


「そうですね……イーデ獣王国の自警団のものであることからイーデ獣王国の住人であることは推察できますが、そもそも獣人であることからもほとんどイーデ獣王国出身であることは明確ですし……」


「ちょっと待て、自警団とは何だ?」


「どうやら最近イーデ獣王国で結成された有志の集まりらしいですが、具体的な活動内容は存じ上げません。ただ、皆同じ制服を着て武装しているということだけは分かっています」


 その発言を聞いた騎士団員は、制服を机の上においた。

彼はそのまま尋問が行われている部屋へと赴き、自警団についての質問を追加しようとした。

それを見た新入りの男……いや、騎士団内に潜入した国家保安本部のエージェントは、見たもの聞いたものを全て文章にしてイレーネ島へと送信した。





「司令。エージェントより電報が届いています」


「ありがとう。どれどれ内容は……って、これは……」


「? なにか問題でもありましたか?」


「あぁ、問題大アリだ。まずこの一行目を見てくれ」


 俺は、電報を持ってきたグデーリアンにその一行目を見せる。

そこには、『キシダン、ジンモン』と書かれていた。

これは騎士団に潜入しているエージェントからのものなので、文面を漢字に直すならば『騎士団、尋問』おそらくルクスタント王国騎士団が捉えた捕虜を尋問しているということだろう。


「うへっ、内容まで細かく書いてある。鞭打ち、熱したコテを当てる、水を張った桶に顔をつける……悲惨だな」


「まぁ尋問の中で言えば普通の類に入るのでしょうが、それでもなかなかのことをやらかしていますね」


「そうだな。だが逆にここまでして何も情報を吐かないっていうのも変だ。それほどに重要な情報なのか……いやまて、男の着ていた服装はイーデ獣王国の自警団のそれと一緒と書いているぞ!」


「あの剣やら何やらを持っていた自警団ですか。やっぱりあの組織には純粋な自警という目的だけではなく、なにか裏がありそうですね。情報を吐かないというのもその一環で良く訓練されたエージェントだからかもしれません」


 グデーリアンの言うとおりであれば、自警団は何らかの裏目的を持っていることになるが、それがなにかはさっぱりわからない。

現時点ではなぜ騎士団が彼が毒薬を持っていると知ったのかどうかの情報も入ってきていないし、その毒薬が誰に向けられたものなのかも分かっていない。


 だが、ある程度の推測を立てることはできている。

それによると、自警団はおそらく次の教皇選出に大いに関係があるのではないかということだ。

そして毒薬は、今の隊長が悪化して死んだように見せかけることが可能な教皇ヨーゼフ13世暗殺のために用意されたものであろう。


 そしてその首謀者は、おそらくイーデ獣王国神官のジョヴァンニであろう。

それならば今回犯人が自警団の服を着ていたということにも説明がつくし、何よりもこれは主観でしかないが、彼が必ず教皇に選ばれるために暗殺を仕向けたのであろうと考えられた。


 俺も毒薬を持った男が逮捕されたという一報を聞いた時には、まずその線を疑った。

そのことはヨーゼフ13世にも進言したのだが、彼は笑ってその男を許すと言っていた。

俺には彼がどうしてそこまで寛大なのかはわからない、聖職者だからなのか?


 だが次の教皇選出に絡んでいるかもしれないと告げると、ヨーゼフ13世は少し考えた後にこう言った。


「では、次の教皇になる権利を持っている各国の神官を集めて公会議を開き、私が直々に説法を行いましょう。もしも教皇になるためにそのような暴力的な手段に出るというのであれば、それは信仰の道から外れていますし、私が最後に行うべき説教でしょう」


「いや、でも体調がすぐれない以上、やめておいたほうが良いのでは……」


「この身はどうなろうと構いません。それよりも次の世代へと正しくイズン教を伝えていくことが大切でしょう」


「……なぜ貴方が教皇に選ばれたのか、その理由が分かった気がするよ……」


 2日後、まだ体調が万全ではないヨーゼフ13世の招集に応じて各国から神官たちが集まった。

そんな彼らに対してヨーゼフ13世は、直々に暗殺の件を諌めるために公会議を始める。

だがその公会議は、波乱の幕開けとなった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし宜しければ、評価、ブックマーク等して下さると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ