表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神隠し  作者: デベ
9/9

方針(前編)

この後どうするか話合うため、百物語を行った教室まで引き返して来た。

だが、誰一人として声を発する人はいない。

実際に怪異に出くわした明美は、普段では考えられないほど弱々しくなっている。

沈黙に耐えかねたのか、恐る恐る卓海が口を開いた。

「すまん。どうしても確認しておきたいことがある。」

他の5人が卓海に顔を向ける。

「赤紙青紙って、何だ?」

本当にわからないという具合に尋ねる。

夏美を除いた4人が脱力する。

百物語の最中に話題に出たにも関わらず忘れたらしい。

少し気まずそうに顔を逸らす。

ちなみ夏美は卓海側だ。

夏美の場合は怖がって耳を塞いでいたからだが・・・。

「僕が説明するよ。」

亜矢が説明係を買って出る。

「赤紙青紙っていうのは学校の怪談によくある話の一つだよ。トイレの個室に入ったときにどこからともなく『赤い紙と青い紙どっちがいい?』って聞かれるんだ。」

「俺なら赤だな。」

何もしらない卓海は好きな方の色を答える。

「それだと体中を傷だらけにされて、血で真っ赤にされて殺されちゃうよ。」

「んな!?なら青だ!」

「それだと今度は体中から血を抜かれて真っ青にされて殺される。」

「じゃあ結局殺されるんじゃねぇか!」

「そうなんだけど、この場合はそのどちらとも違う色を答えるか、何も言わないことで回避できるっていうのがお約束みたいだよ?地域によっては聞かれた時点でアウトらしいけど。」

「そうなのか・・・。怖えな。」

「そうだね。明美と違って卓海は確実に殺されちゃってたってところとかね。」

「達也!嫌なこと言うなよ!!」

「ごめんごめん。でも、事実だよ。」

「そうだけどよー・・・。」

「で、でも、明美が無事が無事で良かったよ・・・。」

夏美は泣きそうになりながら明美にしがみついている。

明美は相変わらず青い顔をしている。

「夏美・・・。・・・ごめんね。」

そう呟くと明美は夏美を抱きしめる。

「んなことより、これからどうするか考えた方がいいんじゃねぇのか?」

雅人がそう切り出すことで場の空気が入れ替わった。

明美は青い顔を上げると厳しい表情で同意する。

怪異に触れた本人だからだろう。

その眼はとても真剣だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ