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第18話 ゼィニク、皇帝陛下から呼び出される

【ゼィニク視点】


 マズいことになったぁぁぁぁ。

 ナガリをドクタャブにけしかけ、あの無能から刀を奪おうとしたことも皇帝陛下にバレてしまった。

 なぜ、あそこに小娘がいたのだ。


 剣しか使えない役立たずも負けて帰ってくるし、これでは鞘の勇者の方がマシだったか。

 何はともあれ、今はこの局面を乗り越えなければ。


「ゼィニク」


「は、ひゃい!」


「貴様の一族しか勇者召喚の儀式を行えないのだったな。その後どうなっている?」


「は、はい。勇者の召喚には成功しましたが、鞘の勇者は最初から刀を扱えず、つるぎの勇者は剣以外を扱えません」


 平伏しながら発言するだけで額からの汗が止まらない。

 お目通りするのは三回目だが、やはり慣れん。


「余はそんなことを聞いているのではない。貴様を呼び出したときに全ての刀を集めて持ってこいと命じたはずだ。どうなっている?」


「あ、あ、そ、それは……。鞘の勇者が二本、剣の勇者が一本所有しております」


「ほぅ。では鞘の勇者の方が優秀ということだな。して、貴様の後ろにいるのは鞘か剣か?」


 皇帝陛下はわしの後ろに控えるボロボロのナガリを指さす。


「こ、こちらは剣の勇者になります」


「では、鞘の勇者はどこだ?」


「そ、それは……その」


 なんて言えばよいのだ。

 まさか、初期の段階で見限って追放したなんてことは口が滑っても言えんぞ。


「鞘の勇者様はゼィニクに追放され、北方の地であるクッシーロにおられます」


 いつの間に現れたのか、アリサ皇女が皇帝陛下の隣に立っていた。


「クッシーロか。となれば、一本は寒刀かんとう氷綿ひわた』だな」


 な!?

 皇帝陛下はどこにどの刀があるのか全て把握されているのか!?

 最初からわしに勝ち目はなかったのか!?


「ゼィニク、貴様には人を見る能力がなかったようだ。余の願いを叶えてくれるのは鞘の勇者のようだ。今すぐにでも連れ戻しに行ってはどうだ?」


 そんなことできるものか!

 このわしがあの無能に頭を下げるなどありえん。

 ナガリの奴め。この落とし前はキッチリとつけてもらうぞ。


「わ、分かりました。すぐに鞘の勇者を連れ戻し――」


「その必要はございません」


 な、なんだ。いらぬ事を言うなよ小娘!


「鞘の勇者様は本日こちらにお越しいただいております」


「な、なにぃぃいぃ!?」


 思わず大声を出してしまい、咄嗟に両手で口を覆い隠す。

 おかげで皇帝陛下に睨まれてしまったではないか。


「これより鞘の勇者様の任命式へ移ります」


 任命式だとっ!?

 驚きの余り言葉を失っていると部屋そのものが転移魔方陣に包まれた。


「ゼィニク、控えなさい」


 帝国の国旗が翻り、新品のレッドカーペットが敷かれた部屋には多くの来賓が着席していた。

 渋々アリサ皇女に従い、ナガリとともに壁際へ移動する。

 舞台袖からは純白の騎士服に身を包んだ三人の騎士が登場する。


 待て、待て、待て。

 まさか、ナイトオブクワットロか!?

 帝国最強の騎士たちが一堂に会するなど、ありえない!


「佐山 冴也、入場!」


 わしの目の前を歩くのは紛れもなく、わしが無能だと断言して追放した男だった。

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