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92ページ目

「お疲れ様。はい、報酬金と……後は物置の中で欲しい物があったら好きに持っていってくれて構わないよ」


「はい、有難う御座います」


 それから数十分後、物置の清掃整理を終わらせたホムラ達は報酬金。そして使わない物を色々と貰った。

 そのままホムラ達は次のクエストに向かう。


「この奥に貴重な野草があるんだけどね……魔物達が巣を作っちゃって採りに行けないんだ。魔物には悪いけど、追い払って巣も消し去ってくれ。危険な依頼だから報酬金は前払い。戻って来たらいくつかの野草と野菜を分けて上げるよ」


「分かりました」


 野草集め。

 簡単な様で魔物が居るから危険なクエスト。しかしホムラ達は問題無くこなし、なるべく魔物は殺さないように追い払うだけ追い払い、見せて貰った資料に乗っている野草を届けた。


「これで良いですか?」

「おお、ありがとう! 期待以上だよ! はい、追加報酬と野草に野菜。あと、植物図鑑」

「有難う御座います」


 野草集めの依頼も達成。

 次いで魔物の討伐に向かう。


「かなり危険な魔物だ……一匹で村一つが滅びたと言う噂もある。報酬金は前払い。そしてもし成功させたら戻って来てくれ。無事な姿を見たい」


「分かりました」


 村一つを容易く滅ぼせると言う魔物。あくまで噂だが、確かに危険なのだろう。

 ホムラ達はそこに向かった。


『グギャア!』

「コイツか」


 そして居た、数匹の群れ。

 鋭い爪のある巨腕に鋭い牙。巨躯で頑丈な肉体。

 確かに戦える者が居ない村なら一匹で壊滅させられる事だろう。見れば周りは荒れており、同族同士で争って鍛えているようだ。

 砕けた木々に岩。転がる人骨。これは確かに駆除対象になりうる存在だった。


『『『ガギャアアアァァァァ!』』』

「完了っと」

『『『────』』』


 そして、討伐完了。

 闇魔法で全身を貫けば大抵の生き物は死ぬ。

 強い魔物の死体は魔物避けに使える。なので何匹かの頭を切り落とし、それを手土産に帰る。死体を放っておくと腐るので残りは魔力増強にでも使うのがホムラ達のやり方である。


「倒しました。かなり大変でしたよ」

「おお、よくぞ戻って来てくれた……! ……。……あれ? 汚れの割には傷が無いような……」

「よく見てください。ほら、ローブの下……酷い傷があるでしょう?」

「ほ、本当だ……これはすまない。……しかしその傷、まるでシラヌイ・ホムラみたいな位置に出来たな……」

「大変ですね」


 苦労無く倒すと怪しまれる。なのでローブは予め汚しており、顔をチラリとだけ見せて火傷の痕を有効活用する。

 極悪人のシラヌイ・ホムラを彷彿とさせる傷には依頼人も一瞬疑問に思うが、強い魔物と戦った者なら顔にも傷くらい出来る。なのでスルーしてくれた。

 基本的に依頼人の村や街はすぐに立ち去るのでローブを全部取る必要も無く、問題無く過ごせる。


「これで今日の依頼は達成……まだ夕方にもなっていませんね。ホムラ様」


「そうだな。何処かに寄る……事は出来ないな。少なくとも人間の世界では」


「じゃあ何処かに行くの? ホムラ」


 受けた依頼は三つだけ。ホムラ達にとっては簡単過ぎる依頼。

 この後屋敷に帰っても良いが、屋敷内では特にやる事もない。トキ達も終わらせていると考えると、他のメンバーの留守中にホムラとセイカの営みを終わらせるのも難しい。

 なのでホムラは鍵を使った。



*****



 ──“星の裏側・魔族の城”。


「お帰りなさいませ。ホムラ様」


「住んでないからその挨拶は違うな。いらっしゃいませが適切だ……で、厄災の王は居るか?」


「はい。この数日間、ずっと静かに過ごしていますよ」


「会わせてくれ」

「かしこまりました」


 鍵を使い、やって来たのは“星の裏側”魔族達の城。

 メランが迎え、ホムラの用件を聞いて厄災の王の元へと案内する。


「よっ。王様。今空いてるか?」

「おお、ホムラ殿か。ああ、問題無い」


 メランの案内の元、ホムラ達は厄災の王の部屋に来た。

 別に、この者は牢屋などに閉じ込めてはいない。敵意も無いので城から出ないという制約の下、自由に行動しているだけ。

 厄災の王はホムラ達に茶を出し、椅子に座って向き直った。


「それで、何の用か。ホムラ殿。ワシの知っている事なら何でも話すとしよう」


「ああ、人類の敵についてな。寧ろ俺に与えられる情報ってそれくらいだろ?」


「それもそうだな。魔族の者達に聞いてみたが、やはり闇魔法は未知の存在だった。話だけなら伝承でも知っているのだがな」


「それについては同意見だ」


 厄災の王の元に来た理由は、“人類の敵”についてある程度知っておこうという考えから。

 ゼッちゃんやサチなど味方にその存在がおり、仇であり目的でもある虚無の境地についても何か知れるかもしれないと考えたから。と言ってもゼッちゃんやサチの身の上はもうほとんど知っており、厄災の王の身の上話も興味がないので主に虚無の境地についての質問になるだろう。

 ちなみにこの部屋に居るのはホムラと厄災の王の二人だけ。セイカとフウはメランを始め、魔族の女性陣達とトークをしている。

 ともかく本題。


「虚無の虚無の現在位置とか知ってるか?」


「知らんの。ワシが絶望の象徴や最凶最悪が来ている事に気付かなかったように、“人類の敵”同士なら居場所も分かるとかは無いぞ」


「成る程。それなら、行きそうな場所とかあるか? 前にある程度絞って探した事もあったけど全部が空回りだったんだ」


「フム、そうか」


 一番聞きたいのは“虚無の境地”の情報。少なくとも居場所は分からないらしいが、少しでも当ては欲しい。故にそれについて聞いた。

 厄災の王は言葉を続ける。


「まあ、それも確かではないが、彼奴あやつの性格的に争いがある場所だろう。それか本当に気儘に世界を渡り歩いているかの。じっとしていられる性格でないのは知っているだろう?」


「そうだな。確かに虚無の境地がずっと同じ場所に居る訳無いか。部下の野盗はメグミさん達が全滅させたし、まだ何人かは残っているかもしれないけど組織としては小さくなった筈だ」


「元々彼奴はワシらとも行動基準が結構違うからの。傭兵もやっている。それについて考えれば良いのではないか?」


「ああ。その辺りから考えるとするか」


 結果だけ言えば何も掴めなかった。

 虚無の境地の性格を考えれば掴めないのが当たり前と考えた方が良いだろう。

 しかしながら、元々は傭兵として色々と駆り出されていた。それを考えればおのずと居場所が特定出来るかもしれない。


「じゃ、俺は帰るよ。特に居る理由も無いしな」


「もう帰るのか。主とはもう少し話したいのだがの」


「俺はそうでもない。“人類の敵”の成り立ちとか謎は多いけど、今はあまり興味がないからな。聞きたい事があったらまた来る」


「残念じゃ」


 年齢的に若者と話したい様子の厄災の王だが、ホムラからは特に無い。なのでそそくさと帰る。

 話そうと思えばいつでも来れるのが“星の裏側”。ホムラはセイカとフウの元に戻った。


「あ、ホムラ様。どうでしたか? 手掛かり的なものは?」

「ゼロだな。根本的な部分から探してみるとするよ」

「根本的な?」

「ああ、根本的な」


 根っ子を探す事にしたホムラ。セイカとフウは互いに顔を見合わせて小首を傾げ、一先ず鍵を使用。表側に戻ったホムラは時間を確認した。


「現時刻は夕方少し前……また明日かな」

「明日に何かするんですか?」


 時間的に今日はもう帰った方が良い。なのでホムラは“それ”を明日実行する事にした。

 セイカは小首を傾げたままホムラに訊ね、ホムラは疑問符を浮かべる二人に話す。


「明日、俺達の街“エレメンタリー・アトリビュート”に一度行ってみる」


「「……!?」」


 それはホムラの故郷、“エレメンタリー・アトリビュート”に向かうとの事。

 セイカとフウはパチクリと瞬きしながら驚愕の表情を浮かべ、ホムラは続きを話す。


「安心しろ。俺一人でだ。包囲網も今の俺なら簡単に抜け出せるしな」


 他の者達は巻き込まない。あくまでホムラ一人で行く。

 それについてセイカとフウの二人は今一度互いに顔を見合わせ、頷いてホムラへ告げた。


「いえ、私も見ておきたいです。今現在、私の街がどうなっているのかを……!」


「私もセイカ様に同意見だよ。ホムラ。それに、私は隠れなくても普通に帰れるからね!」


「……。そうか。好きにしろ」


「好きにします!」

「好きにするよ!」


 止めはしない。止めたところで意味が無いのも分かっているからだ。

 そしてホムラとセイカは姿を隠す必要もあるが、フウはそうでもない。その様な者が一人居るだけで優位に事を運べるだろう。

 虚無の境地の当てを掴む為、ホムラ達。ホムラ、セイカ、フウの三人は明日、自分達の街“エレメンタリー・アトリビュート”に帰る事にした。

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