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83ページ目 行動開始

「ダークエルフが素直に吐いてくれた情報によると、拠点の位置は此処から数キロ先の黒い森。基本的に見張りは少ないみたいだ。大体が直接攻めて来てるから手薄なんだろうな」


 ダークエルフの証言を元に描いた地図を見やり、作戦を考える。

 見張りなどは少ないらしく、攻め込む余地は多々ある。後はその攻め込み方だ。


「ま、一番簡単で効率的なのは俺とゼッちゃん、サチで表門を攻めて囮と陽動の役割を担う。それでセイカ達が別方面の出入口から潜入。囚われのエルフ達を救出し、成り行きで拠点全てを破壊するって方法かな」


「実際、それが確実そうですね。ホムラ様とゼッちゃん。サチさんが居れば大抵の国は落とせます」


 最適解はホムラ、ゼッちゃん、サチ。最強格が暴れ回る事。

 ただ単に拠点を滅ぼすだけなら何もしなくても良いが、囚われのエルフ達も居る。犠牲者は少ないに越した事はないので助けた後で終わらせるのが一番だろう。

 それを聞き、リクが小首を傾げてホムラに訊ねた。


「そこのダークエルフを倒したホムラなら分かるが、そのゼッちゃん? とサチっー奴は強ェのか?」


「ああ、リク。正直言って、多分この場に居る全員の中で三本の指に入る実力者だ。何なら敵を含めた全メンバーでもベスト5には入る」


「メグミさん達四宝者を含めてのその評価。ホムラの言う事なら本当か。ハッ、誰かは分からねェが本当にやるみてェだな」


「ああ、それは保証する」


「私もホムラの意見に同意だ。カイ、ソラ。君達は?」


「メグミが良いと言うなら断る理由は無いかな」

「右に同じ」


 ゼッちゃんとサチはこの場に居る全戦力の中でのベスト3。敵を含めてのベスト5。かなりの高評価であり、ホムラがそう言うならとリクには理解もあった。


「エルフの皆さんはどうですか?」


「ええ、私達もそれで良いと思います。ホムラ様の実力は把握し、そのホムラ様が推薦するのならゼッ様とサチ様の実力も相応という事でしょうから」


「……ゼッ様……? なんか新鮮な呼び方……」

「今は事を荒立てないで下さい。ゼッちゃん」

「うーん、そこまで嫌な呼び方じゃないからいいかな。違和感はあるけど」


 リク。及びメグミ達四宝者にスイも頷いてくれた。

 後はエルフの面々だが、ダークエルフ捕縛の功績などで多少は信頼してくれたらしくその意見に反対はしない。

 そもそも自分達ではあの三人のようなダークエルフには勝てないと理解しているので納得せざるを得ないのかもしれない。

 何であれ、ダークエルフの拠点に攻める陣形は決まった。


「照らし合わせてみてもそこそこ距離はあるな。てか、エルフの国自体が結構広い。地味にこの第三拠点に来るまでも時間掛かったしな」


「そうですね。何というか、私達の世界に比べて“国”の定義が広い感じです」


「魔物も居ないから国としての土地が広いんだろうな。俺達の世界の、誰の土地でもない道とかも所有地に出来る訳だからな」


 エルフの国は広い。第三拠点に来るまで戦闘の時間を差し引いても5~6時間は掛かったくらい。現時刻は正午から3時間程である。そろそろ日も傾き始める。

 国から国なら寧ろ5~6時間は短いが、第一拠点から第三拠点までの時間がそう。つまり同じ国の範囲内でこの広さという事。

 こんなに広い理由には魔物などによって土地の開拓が邪魔される事もなく使えるからこそなのだろう。

 そんな広い土地にそれなりの資源。そしてエルフの高い知能。発展しているのも頷ける。


「ダークエルフの場合は此処とはまた別の国……いや、この地域全てが“エルフの国”で一括りなら街か。何にせよ、普通に進んだら2~3日は掛かるな。街から街なら別に普通の距離だけど」


「ダークエルフの拠点の人数が少ないと言うのは、あくまであの三人が此処に来るまでの陣形ですからね。層が厚くなっている可能性もあります」


 距離を考えれば向こう側の勝手も色々と変わってくる。しかし作戦自体は変わらない。

 そうなると誰がそこへ行くかに寄る。


「全員で行くと道中でバレて余計な争いに発展する可能性は高いな。そうなったら総出で迎え撃たれる」


「ホムラ様やゼッちゃん、サチさんならそれでも問題無いと思いますけど、囚われた方々を救出する私達の方が困りますね。最優先事項は救出なので、やはりなるべく目立ちたくはありません」


「それを大前提で部隊を組み込むか。俺、ゼッちゃん、サチの三人は確定。後は後続と待機組。そんな感じか」


「大きく分けて三つの役割分担が必要ですね」


 先陣を切るホムラ達は当然一番最初に行くとして、他の面々の役割が重要。

 言ってしまえば、ホムラ、ゼッちゃん、サチの三人が居れば例え相手がどんな手で来ても、犠牲を厭わなければ容易く打開出来る。しかし犠牲はなるべく出さない今回の方針だとそれは難しい。

 なのでそれについて考える。先ずは役割分担について。


「実力的に考えるとしよう。ゼッちゃんとサチは、確かに私達の中では三本の指に入る。そう考えると時点で来るのは私達“四宝者”だろう」


「ああ、そうだね。僕達は最低十本の指には入るかな」


 それは驕りなどではなく、単なる周知の事実。

 闇魔法のホムラがどの位置に来るのかはともかく、ゼッちゃん、サチ。“人類の敵”に次ぐ実力者は間違い無くメグミ達“四宝者”の三人。それについては実力の高いエルフ達も頷いていた。


「となると編成的に……やっぱりゼッちゃんとサチは二人で行く事も無いか。一人でもオーバーキルだしな」


「えぇ~。じゃあボクかサチちゃんのどっちかはホムラと一緒に居れないの~?」


「それは残念……」


「仕方無いさ。実力的にそうなんだからな。二人は強過ぎるんだ」


「そう言われると悪い気はしないけど……ホムラと一緒に居たぁい」


「ゼッちゃんに同じ」


 改めて構成するなら、先鋒に“人類の敵”二人は過剰戦力。なので先陣を切るのはホムラとどちらか一人だけが最適だろう。

 それに加え、どちらか一人が後続になれば後続が敵と相対した場合も優位に運べるようになる。諸々を考え、その方が圧倒的に良かった。


「と、取り敢えず改めますと、先陣を切るのはホムラ様とゼッちゃんorサチさん。救出組と待機組を分けるなら、そのどちらにしてもゼッちゃんかサチさんが居る場合は四宝者様が一人。居ない場合は二人付ける……ですかね。メランさんや執事さんも居ますので戦力は申し分ありません」


「魔族の彼女は分かる。その……執事とやらはどれくらいの実力なんだ?」


「え? それは……あれ、どれ程なのでしょう……」


「オイオイ……」


 先陣を切るのがホムラとどちらか。そしてもう一人を救出組か待機組に置くのが理想。

 どちらが付かなかった方も戦力的には四宝者とメラン、執事が居るので問題無さそうだが、考えてみればゼッちゃんの執事の強さはよく分からない。

 メグミは肩を落として呆れ、セイカは笑っていた。


「ま、結構やるんじゃないか? ゼッちゃんの執事だし」


「フフ、まあそれなりには。この世界、表も裏も天界もエルフの国も、ある程度の力が無ければ生きて行けませんから」


「じゃ、戦力に数えて良さそうだな。隻腕で戦えるか?」


「まあ、やろうと思えば。五分五分ですかね」


 取り敢えず強そうではある。雰囲気は強そうだ。

 なので隻腕の執事も戦力に数え、改めて割り振った。


「それじゃまとめると、先陣を切る囮と陽動を担うのは俺とゼッちゃん。救出組にサチを入れてセイカとトキ。そしてエメラの四人。後は全員待機組……って、メグミさん。四宝者も上手く分ける予定じゃなかったんですか?」


「ああ、私もそう考えていたんだがな。改めて考え直すと、敵の拠点に既にゼッちゃんとサチが攻め込む事になる。私達が入らずともオーバーキルじゃないか?」


「「「確かに」」」


 満場一致でそう決まった。

 色々と考えた結果、一番良い案はまた別にあったという事。

 確かに救出組もダークエルフの拠点に向かう。それは間違い無い。そして目立たぬように少数精鋭が大事。

 敵を探知出来るセイカに味方の逃げ足を速く出来るトキ。そして味方エルフ達の顔を知るエメラ。最後に乱戦は苦手だが、取り零した少数とのみ戦うサチ。なんやかんやこれが一番だった。

 それに加え、現在の拠点に攻め込まれた場合、四宝者全員や魔族のメラン。ゼッちゃんの執事である執事さん。その他の強者と、大勢居れば安心も出来る。そう、本当の本当にこれが一番。これが一番の選択だったのだ。


「……まあ、実際これが真の最適解ですね。それじゃ、距離はあるんで俺達六人は途中まで一緒に行ってます。拠点は任せました」


「ああ、泥船に乗ったつもりで居てくれ。私の土魔法からなる泥は大船よりも遥かに沈まないからな!」


「アハハ……それでは、私達は失礼します。行きましょう。皆さん」


「途中まではホムラと一緒で嬉しいな!」

「ボクはずっと一緒~。トキの負け~!」

「むぅ? ズルいよ。ゼッちゃん」

「アハハ!」

「このー!」


「……。き、緊張する……」

「落ち着いて……エメラ……」

「ありがとう……サチ……」


 そしてエルフの中でエメラが選ばれた理由は、サチと色々気が合うから。パーティにはムードも大事。ギスギスしたら壊滅する可能性もある。

 なのでなるべく気が合いそうな面々で組んでいる節もあった。

 この六人は拠点まで一緒。拠点に付いてから分かれるので道中も心配無さそうだ。


「……まあ、上手く行きそうではあるな。捕らえたダークエルフはゼッちゃんがマーキングしたし、反乱されたらホムラとゼッちゃんがすぐに帰って来れる」


「此処からも重要だからね。第三拠点にいつ敵が来てもおかしくない。気を引き締めよう」


 メグミが小さく笑って言い、カイが指揮を執る。

 “四宝者”はリーダーとしての気質もあり、他を纏める力にも長けている。

 そしてこの場の者と、フウを除いてほとんど面識の無いメランや執事もその職業柄、他者に仕えるのは慣れている。これもまた適材適所だろう。

 ホムラ達とメグミ達。一時的に三組で分かれ、行動を開始する。いや、反撃開始だろう。

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