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45ページ目 味方

 ──トキとメグミの部屋。


「さて、トキ。君の体には色々と聞いてみたいと思っていたんだ。だからこその部屋割りだ。……半ば無理矢理感もあったが、私は基本的にあんな感じだから問題は無い」


(や、やられる……ホムラじゃなくて……同性の土の四宝者に私のバージンが……)


 衣服を脱がされ、震えるトキに話すメグミ。

 何処からどう見てもそう言った雰囲気の二人。トキは涙目になりながら走馬灯のように脳裏へ人生が巡っていた。

 そんなトキの体を見、メグミはフッと笑って言葉を続ける。


「……やはりな。トキ。私達に言えなかったみたいだが君……」


「……っ」


「“混血”だろう?」

「……。……え?」


 トキが思っていた事とは別に、思っていた事の次くらいにマズイ事が露見した。

 いや、露見したと言うよりは、その言葉からして元々そうではないかと考えていたようだ。


「“混血”ならば不思議な魔法。もしくは魔術を使えてもおかしくない。君のそれが何なのかは分からないが、かなり高度な、私達の常識や理解すらを超えている力と見た」


「……な、何故……」


 凄まじい洞察力。そして高い知能。

 ヒントというものは殆ど与えていない。与えたのも強いて言えばの事であり、ヒントとはとても言えない代物だった筈。

 しかしそこから近い所まで詰め寄っている。四宝者の存在を改めて深く理解した。

 疑問を浮かべるトキの質問へメグミは返す。


「言っただろう。体に聞くとな。何も君の体を観察したいという理由だけで衣服を脱がした訳ではない」


「て事は理由の一つではあったんだ……」


「系統というものは、体に浮き出るだろう。ホムラやセイカのような火の系統なら赤い髪や目。暖色系。私やリクのような土の系統ならばそれに伴った色。その他にも様々だ。体に流れる魔力によって変わるんだ」


「私の意見は無視だね」


「そこで、だ。君の体……銀髪に碧眼。系統で言えば水や風の性質を含んでいる。そして顔や髪の毛だけじゃなく、年齢の割には貧相な体」


「余計なお世話! しかも人並みにはあるから! 貴女やあのお姫様が大き過ぎるだけ!」


「その体がな。まさかと思ったよ」


 トキの体を見た結果、髪や目の色以外の何かの身体的な特徴から推測したらしい。

 トキは信じられないと言った表情をする。メグミは自分の衣服も脱ぎ捨て、その妖艶な肉体を露にした。


「ほら、見てみろ。私の体を」

「脱がないでよ!」


「君の体は色白……私は褐色。土の系統は退色にも表れるからな。色合いで言えば君とは全く違うんだが、君の体にも土の系統の特徴が幾つか表れている。まあ、それは同じ土の系統、性別も同じ私にしか分からない部分だがな。仮にリクが君の体を見たとしても気付かないだろう」


「んっ……あの……押し付けないで……」


 メグミとセイカに比べたら小さな胸に大きな胸を当て、メグミは淡々と説明する。

 トキは徐々に抗えなくなり、メグミはその頬に手を優しく当てた。


「水と風。そして土。世にも珍しい三つの系統からなる混血。私の思っている仮定が正しければだがな。……そんな三つの混血になるとどんな力を使えるのか。虚無の境地は単純な身体能力だったが、検討も付かない。君の魔法も身体能力強化のような特徴を持っているが、そもそも火と土の混血である虚無の境地と君とでは根本的に違うからな。一つの系統の有無の差はそれ程だ。それではないのだろう。それが何か考えるのは嫌いじゃない」


「あんっ……っ。声出ちゃった……ちょ、ちょっと撫でないで……」


 トキの魔法はまだ分からない。なのでより興味深く観察する。

 メグミが見た能力。それはメグミ視点だと高速移動(仮)と筋力強化(仮)。なので純粋な身体能力強化と考えるのが妥当だが、それとは違うという根拠も無い確信があるようだ。


「フフ……嫌がっている割には逃げようとしないな……身体能力強化なら私を振り払う事も可能……つまり身体能力の強化などの類いでは無いようだな」

「……っ。本当に鋭いね……何でそんなスゴいのに変態なの?」

「変態ではない。単純な好奇心だ。君の立場上、敵対する可能性もあるだろう?」

「だから私の魔法を知りたがっている……いや、杖を使わないから魔術かな。でも感覚的には魔法なんだよねぇ。……まあけど、教える訳にはいかないか……なあ?」

「……んっ。……フ、フフ……責めに転じたか……責めるのは好きだが、責められるのも嫌いじゃない……経験無いけど……」


 トキが何かをし、メグミの体が反射的にビクッと反応を示して引き離れる。

 そして再び衣服を着用し、トキは言葉を続けた。


「女の子同士でやるもんじゃないでしょ。ちゃんと好きな異性を見つけなきゃね。それと、敵対する可能性って言ったけど……ホムラ達が居る間はそんな事にならないと思うよ。ホムラがそう指示しなきゃね♪」


「フッ、そうか。それなら警戒する必要も無いな」


「私は色んな意味で貴女を警戒しているけどね……掴まったら力の差的に逃げられないし……」


「フム……ならば、今度は女同士でやる事……ガールズトークと行こうじゃないか」


「……それなら良いよ♪ 近い世代の女の子とはあまり話した事なかったからね♪」


 一線を超えたりなど、危ない橋を渡る気は無い。そもそもトキはノーマル。メグミはアブノーマルにも見えるが、意外と純情である。

 なので二人は健全なトークをする事にした。

 それと同じように、各々(おのおの)でも夜が更けていく。



 ──“ホムラとセイカの部屋”。


「ホムラ様……今日こそは……! もう体力も栄養も十分。部屋には私達以外の誰もおりません。なので……!」


「あー……他の部屋に居るからな。割とフリーダムだし、入って来られたらちょっと恥ずかしい。今日もやめておくよ」


「あぅ……そうですか……」

「それに、久し振りにのんびり出来るんだ。会話を楽しむとしようか」

「そうですね。楽しみは先に残しておきます。けど、早くしなければ私が寝取られる可能性もありますから……!」

「まだ寝てないからその理論には当てはまらないな」

「うっ……」


 ホムラとセイカの部屋ではいつものようにセイカが求め、断られる。



 ──“フウとスイの部屋”。


「フウ。大丈夫かしら? 明日以降の旅……」


「ホムラが居るから平気だよ。スイこそ。虚無の境地の捜索……私達に負けないくらい危険な事じゃない?」


「四宝者様方が居るから平気よ。……それとリクもね。気を付けてね。フウ」


「うん。ありがとう。スイ。私は私に出来る事をやるから」


 二人は互いの身を案じており、



 ──“リクとカイの部屋”。


「カイさん。修行お願いします!」


「系統が違うから修行と言ってもね……メグミに頼むのが一番なんじゃないか?」


「メグミさん……。俺の自意識過剰なら良いんスけど、俺が土の系統だからか、何か一番狙われている気がするんスよね……」


「あー……多分間違いないね。違う系統の僕やソラ、ゴウの部屋に半裸で入ってきて求めてきた事もあったんだ……」


「へえ……どうしたんスか?」


「元々断るつもりだったけど、いざ直面するや否や向こうが赤面してね。慌てて逃げるように帰ったよ」


「ほえー」


「一番不思議なのが、候補生の中でメグミに狙われたのは僕、ソラ、ゴウの三人だけ。他の面子には興味も抱いてなかった」


「好感度の問題かもしれませんね」


「フム……確かに親しくはあるけど、彼女の欲望は野盗以上だ……」


「心中お察しします」


 リクとカイはメグミによる被害の話をし、



 ──“ソラの部屋”。


(私の力不足で虚無の境地を止められず、ゴウを犠牲にしてしまった。少年達にも苦労を掛けている……四宝者として、皆を守れる力を手に入れなくては……)


 瞑想をし、一人世界の安寧を思案する。

 各々(おのおの)の部屋では、各々(おのおの)が思い思いに行動していた。



*****



 ──“翌日”。


「それじゃ、私達は私達で虚無の境地の捜索に当たる。君達は君達で……何と言おうか。頑張ってくれ……で良いか?」


「ええ、構いませんよ。俺達も俺達のやれる事をやるだけですから」


「フッ、そうか」


 次の日の朝、朝食を摂り終えたホムラ達は屋敷の前に集まっており、しばらくの別れを惜しんで? いた。

 ホムラ達とメグミ達。虚無の境地を追うのは変わらないが、各々(おのおの)で世界を探す。何ヵ月か何年かは分からないにせよ、いずれは見つかる筈である。

 既にある程度は話したので後は見送るだけ。去る前にメグミはホムラを指名した。


「そうそう、ホムラ。最後に君と話がある。私と君。二人きりで人目が無い所に移動して良いか?」


「……?」


 ホムラにあると言う、何かの話。

 ホムラは疑問符を浮かべ、他の者達、主にセイカとトキが反応を示していた。


「メグミ様! もしやホムラ様にナニかをするおつもりでは……!?」


「ちょっと! それは見過ごせないよ!」


 当然の反応。今までのメグミを見ていたらこの様な反応にもなるだろう。

 しかし、セイカとトキよりもメグミについて知っているカイが補足を加えた。


「やれやれ。今までの行動を見てみろ。メグミは基本的に肉体的に誘う場合は誰の前だろうと堂々と言う。人目の付かない所に誘ったという事は、逆に真面目な話だ。本当に内密な何かがあるんだろう」


「そ、そうですか……」

「確かに……昨日同じ部屋になったから分かるけど、彼女なら“肉体関係を築こう!”とか直球で言うもんね……」


「どんなイメージだ。否定はしないが。さて、ホムラ。来てくれ」


「別に良いですけど」


 メグミの性格を理解しているからこそ、メグミならば堂々と不埒な事へ誘うと分かっている。故に今回ばかりは真面目な話だろうと考えているようだ。

 その性格はこの一日二日だけでよく分かったセイカとトキも納得する。

 当のメグミは軽くツッコミを入れるが事実なのでそれ以上は言わず、ホムラと共に屋敷の裏へと回った。


「さて、ホムラ。一つ聞きたいんだが良いか?」


「まあ、誘ったという事はそう言うことでしょう。一体なんですか? と言うか、別にそこまで押さなくても良い気が……」


「フフ、成り行きだ」

「どんな成り行きですか」


 壁を背にするホムラに自分の胸を押し付け、よく分からない理論を話す。

 しかし、本当に真面目らしく即座に対応を変えた。


「冗談はさておき、単刀直入に言う。……君、闇魔法に目覚めているな?」


「……!」


 ──それはホムラの扱う、メグミ達には話していない闇魔法について。

 ホムラはピクリと反応を示し、メグミは更に続ける。


「特徴は出ている。黒髪黒目。魔力の流れが変わり、火の魔力が闇に変化したのだろう。精神的なイメチェンだったか? 言い得て妙だな。つまり君の精神は一度完全に崩壊したという事。おそらく切っ掛けは家族達とゴウの死。闇魔法についてはまだまだ知らない事も多い。何故それが目覚めたのかは、君を見ても分からない。切っ掛けくらいしか掴めないな」


「流石ですね。四宝者は基本的に切れ者揃い……と思う。あんなやり取りをしていてちゃんと観察していたのか」


「まあな。久し振りに君を見てからその変化には違和感しか無かった。これは他人事、私が君にこれを言う資格など無いが……──」


 メグミはホムラの頭に触れ、胸に抱き寄せた。


「苦労したようだな。今の私に出来るのはこれくらいだが、勘弁してくれ。私達は君の味方だよ。ホムラ」


「……。闇魔法は全人類の敵になりうる存在。良いんですか? 四宝者として行動しなくて」


「フッ、四宝者の行動と言うのは苦しむ人々を殺める事か? 違う。厳密な活動内容はぶっちゃけ私も知らないが、君がこの場で全人類殲滅を宣言するなら行動を考える。が、今は苦労の多い君を抱き締めるのが正解だ」


「そうですか」


 闇魔法という事を知り、なおメグミはホムラの身を案じていた。

 仮に最初の考え通り全人類や生物の抹消を目論んだとしても、あくまでそこからどうするかを考えるだけらしい。何ともお人好しな性格だろうか。


「けど、俺のやろうとしている事は四宝者の敵になる可能性もあります。その時はどうしますか?」


「その時はその時考える。そう言っただろう? それはこれからも適用される事だ」


 顔を傾け、髪を揺らしてフッと笑うメグミ。

 ホムラのやろうとしている事。流石に全人類の滅亡は面倒なのでしないが、虚無の境地を倒し、絶望の象徴を倒し、ホムラが独断と偏見で悪者を殺す。ただそれだけ。

 話を終え、メグミは手を引いた。


「さて、皆の所に戻ろうか。私がしたかった確認はそれだけだ。君が闇魔法に目覚めた。それを知れたのだからもういいさ」


「一人で行けますよ。子供じゃないんですから」


「そうだな。本来なら子供を残す年齢だ。幼い頃の君に会っているからな。正直に言おう。私は君達が可愛くてしょうがないんだ。子を見る親の気持ちと言うか、弟や妹を世話する姉の気持ちと言うか、そんな感じに思えてくる!」


「そ、そうですか」


 真面目な態度から一変、普段の調子に戻った。

 何かとホムラ達を気に掛ける理由は幼い日に一度会った事で見守りたい欲求が高まったかららしい。


「と言うか、親目線なら結婚願望とか湧くのは変じゃないですか?」


「む? それもそうだな……確かに君達を見ていると性的欲求が湧く。近親婚は生まれてくる子が遺伝子の異常を抱える可能性もあると言う。ならば私の君達に対する感情は何なのだろうか」


「知りませんよ。そもそも実際に血は繋がってませんし。また別のものなんじゃないですか」


「ハッハ、そう言う事にしよう。君を、君達を見守るという気持ちは変わらないのだからな」


 メグミは高らかに笑う。

 闇魔法についての会話が終わり、ホムラとメグミはセイカ達の元に戻る。


「……お、戻ってきたようだ」

「結構早い戻りでしたね」

「変わった様子もないし、やっぱり本当に真面目な話だったんだね」


 戻り、カイ、セイカ、トキが順に話す。

 そしてメグミ、カイ、ソラ、スイ、リクの五人は最後に別れを告げた。


「では、今度こそさよならだ。と言ってもまた会う機会は訪れるだろうがな」


「ありがとうございました。私達も頑張って虚無の境地を探します」


「ありがとう……って彼女達何かしてくれたっけ?」

『バウ?』

『『『『ニャーン』』』』


 これからは別行動。目的はいずれも虚無の境地。ホムラとセイカのみは絶望の象徴にも因縁がある。


「じゃ、またいつか」

「ああ。君達に幸運を」


 何はともあれ、ホムラ達とメグミ達は別れるのだった。



*****



 帰り道、手紙を持った鳥のような魔物がメグミの腕に止まった。

 その手紙を開き、メグミは苦い顔をする。


「……虚無の境地もそうだが……そろそろ別の戦争が起こりそうだな……」


「……どれどれ……成る程。僕達も駆り出されるかもしれないね。それなりの大国との戦争か」


「どうする? 今からでも戻って彼らに報告するか?」


「……一体、どうやって戻ると言うのだ? 此処からな」


 メグミ達の現在地は、戦時中の国。黒煙が立ち込めり、荒廃した都市から離れた場所にメグミ達四宝者は居た。

 ホムラ達と別れた帰り道、呼び出されたのでスイとリクだけを先に行かせ、一つの戦争を終わらせたのだ。その帰り道の出来事。

 この世は争いに満ちている。ホムラ達の受難はまだまだ続きそうである。

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