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ILAND WAR CRAFT  作者: よもぎ
3/4

スローライフは永遠ではない

2話変な文章ありましたので修正します><

今はまだしておりませんが、明日の朝までには修正いたします。

それでは三話をよろしくお願いします。

         *       *       *

 ゼンが日々鉱山坑道に訪れていること認識してる人物が家族以外に存在していた。

 石を拾っては捨て、拾っては捨てと繰り返している様子を眺めている女性がいた。


「また、来ているのね」


 早朝の畑仕事を終えたところに、長身で燕尾の付いたタキシードを着こなし、顔がない従者は上品な仕草で主である彼女に右手にタオルと左手に水晶を持ち、異変を報告する。

 報告が伝わったとして、しゃべることのない従者は、畑の縁側に予め準備されたミニテーブルの方へと促した。


「ありがとう」


 彼女が席につくと、従者は指を鳴らしティーセットを出してティーカップに注ぎ始めた。

 従者に再度笑顔で感謝を伝えると、視線はテーブルに置かれた水晶に目を向ける。

 水晶に移る少年に、彼女は多少なり困惑していた。少年が坑道にいることに違和感を感じるのではなく、その坑道に入れたことに驚いていた。本来なら、彼女の張り巡らせた結界が誰一人入ることは許されない領域だからである。偶然入り込む余地などなく、絶対に入れないはずなのに少年は、毎日訪れていた。


「彼はどうして完璧な結界を超えて侵入してくるんだ? 」


 しゃべることのない従者に疑問をぶつけると、従者は彼女の前に注がれたティーカップを置き、首をかしげてわからないと伝えてくる。

 ティーカップに一口つけ、喉を通すといつも上品で彼女好みに仕上げられた紅茶に彼女はいつものように、お礼を言う。


「いつもありがとう」


 彼女は再度、ティーカップに口をつけ、水晶に移る少年に視線を戻すも深く考えても仕方ないな、    ここは食事でもしようと従者に目配せる。従者も主人との付き合いが長く千年近い年月付き従えば行動が読めるというもの。もう準備しておりますと丁寧に添えられた手元には野菜とスープとこんがり焼けたパンの定番ともいえるセットが眼前として用意されていた。


 フォークを手にもち野菜に突き刺し、それを口に運ぶ。取り立ての野菜はみずみずしい食感で毎度のことながら美味そのもの。本来ならしゃべらない従者とも楽しくおしゃべりをしながら食事をして、この後にお散歩をしながら、林の中の動物を狩りにいくといういつものルーティンワーク。


 千年近い時間の中、揺らぐことない彼女の日常は水晶に映る少年によって変化をもたらしている。招かざる客というべきなのか、侵入者というのか、小さな人間の子が結界内部をとことこ歩いているではないか。気にしないで済まされない。


パンをひとかじりして、紅茶を一口。どうするかと思考をするものやはり、深く考えるのは止そうと喉を紅茶が通ると彼女は従者に声をかけた。


「迎えにいこうか」


 従者は主人の言葉に従い、その場で右腕を前に一礼して了承の証を示し、出かけるためのマントを主人にかけるために肩の高さに広げて準備をする。

 彼女は笑みで謝意を伝えると、席を立ち従者が主人の肩にかけてきた。


「すまないが、食事は彼を迎えに行った後に一緒に彼と食べるから残しておいて」


 従者は主人の言葉に従い、右の指を鳴らしテーブルそのものをその場から消して主人に一礼し、彼女は「では、向かおうか」と一声かけ、従者はその後を静かに追いかける。

 畑を切り分けたあぜ道を抜けるとすぐに林がある。坑道に繋がる入口は林を抜けた先で、彼女は歩きながら水晶を宙に浮かべ少年の動向を確認していた。結界内の坑道内はどこに進もうと出口にはつかない仕様で目には見えない入口からしか彼女のいる場所に辿り着くことはできないのである。できないのだが、水晶に映る少年はとうとう泣きじゃくり座り込んでしまってその場から動こうとしない。


「おや、泣き出してしまったな。 急ごう……えっ? 」


 従者も主人の声に頷くが、当の主人は語尾が上がる声を出すと同時に、水晶に映る少年は秘密の入り口に偶然にも入り込んでしまった。


「えええっ……」


 主人の戸惑った顔は、この数百年みたことがないせいで、従者も忘れてしまい両腕をジタバタと焦ったジャスチェーをしてしまう始末。


「ああ、大丈夫」


 偶然に偶然が重なるとは、どういうことだ? 少年の存在、行動が不可解、難解であり彼女でもわかりかねていた。ただ、わたしに会わせたがっているのか? 誰が何のために? そもそもここにいることすら誰も知らないのに……。

 思案に思いふけっていると従者が主人の腕を軽く指でつつき主人が従者に視線送ると、水晶を指し示した。


「おっと、すまない。ン……ッ、さて……あのままじゃ少年の身が危険だな」


 水晶の少年は顔面蒼白で滑り落ちていく、救助のため水晶に手をかざし彼女特有の力を発動させて助けようとしたが、その力を振るう直前に少年の身体に異変を見て取れたのでやめ一言漏れてしまう。


「……ほんとに何者なのだ? 」


 彼女は水晶を覗き込み、少年の身体を覆うようなわずかだけど光が全身を纏い保護している。

 奇妙な光景に益々混乱が生じて、とうとうこんなダジャレた言葉つぶやいてしまう。


「神でもわからないことはある」


 隣にいる従者が笑ったような気がしたが顔がないのでそれの判別はできないが、長年の付き合いでそれが伝わった気がした。


「ふぅ……さぁ、ここへ誘導しよう。それくらいの御もてなしをしようか」


 少しヤケ気味でもここに人が来る。


『千年前に約束した可能性を叶えるものの存在かもしれない』


 そんな期待を抱かせる、小さな少年はそうなのであろうか――



ありがとうございました。


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