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第三十一話 唯一無二の親友

マオです。

色々と昔のことを思い出してきたけれど、まだまだ僕の記憶のブラックボックスは紐解かれないまま。

僕にも好きな人がいたんだね。

でも、それがセレス病になんの関係があるっていうだろうか?

わからないことだらけだ。

「おはようございまぁ~……あれ?」


 ミヤビは朝の恒例行事である寝起きダイブを仕掛けようと、二階のマオの部屋に忍び込むがベッドに兄の姿はなかった。

 机の上には綺麗に畳まれたパジャマと一緒に置き手紙があった。


『探さないでください 兄』


「はぁ……今時、ドラマでもやんないよ、こんなのさっ…………カイナさぁん! まーにぃがー!」


 手紙をくしゃっと丸めてゴミ箱に投げ入れると、ミヤビは階段を駆け降りた。


 ◇◆◇◆◇



 身体を襲う倦怠感のまま、マオあてもなく走っていた。


 今朝の夢。

 炎上する町中で戦う巨人同士の戦い。

 それに自分が乗って戦う、というあの現実感のない漫画みたいな夢が頭の中に、こびりついて離れない。


「はぁ……はぁ…………」


 息を整えて立ち止まるマオ。


「なんだよ。結局、家の裏じゃないか……」


 滅茶苦茶に道を進んでいたつもりだっだが、疲れて立ち止まった場所は真宮家から程近い馴染みの真芯稲荷神社だった。

 マオは階段に登り、境内を見渡す。

 相変わらず手入れのされていない寂れた神社だが、今日は先客が居た。


「やぁ」


 先日もこの神社で会ったジャージ服のボーイッシュ少女トウカ。

 その時は初対面だと思っていたが、今朝の夢でそれは間違いだとマオは気付いた。


「トウカ……いや、ちがう。君はダイくんだよね」

「…………うん、そうだよ! ボクの名前は上条橙花カミジョウ・トウカ。橙色でダイちゃん……君がボクにつけてくれたアダ名だよ」

挿絵(By みてみん)

 トウカは目尻に涙を浮かべながら嬉しそうに笑った。


「幼馴染みのダイ。思い出してくれてボク嬉しいよ……」

「いや、小学校別だったよね……ずっと男の子だと思ってた」

「ひどいなぁ、ボクはれっきとした女の子だよ」

「そうか……そうなんだね」


 マオはベンチに座り、項垂れる。

 そんなマオの顔を覗き込むトウカ。


「泣いて、いるのかい?」


 ベンチの木の葉を払い、トウカはマオの隣にちょこんと座る。


「ボクはいつだって君の力になってきた。ボクたちならどんな敵だって負けない、無敵なんだよ」

「…………わからない」

「何が?」

「どうして僕はこんな風になってしまったのか。なんなんだセネス病って……あの人はどうなったんだ?」


 あの夢は途中で途切れた。

 まだ、はっきりとは思い出せないが、マオにとってアカリと言う女性はとても大事な人だった。

 そんなアカリが別の人に取られてしまうのが幼いマオにはショックな琴だったのだ。


「怖いんだね。人に裏切られるのが、ほら……」

「……あっ!」

 

 トウカはマオの身体に抱き付いた。

 マオは驚いて声を上げる。

 いつもならば、セネス病の症状がすぐに出るはずだった。


「ね……触っても、怖くないでしょ?」

「どう、して……?」

「ふふふ……どうしてだろうね。不思議だね?」


 更に強く抱き締めてくるトウカにマオは身体を委ねていた。


「……ボクたちなら合体できる」


 苦しまないで人に触れられるというのが、こんなに安心するなんて久し振りだった。

 しかし、それも長くは続かなかった。


「うるさいのが来た……」


 マオから離れて立ち上がるトウカは近付いてくる足音の先を睨んだ。


「マオ!」


 階段を昇って現れたのは制服姿のミツキだった。


「あ、マオ……」

「来たね、お邪魔虫」


 マオを隠すように近付いてくるミツキの前にトウカは立ちはだかる。


「もしかして、カミジョウさん?」

「ミツキ……お前、よくも何も覚えていないマオ君と一緒にいられるな!」


 トウカはミツキを見た瞬間、豹変する。

 ずっと溜まっていた怒りを爆発させるかのように叫んだ。

 

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