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第十七話 町へ出かけよう

 マオとレフィは手錠に繋がれたまま町の中を行く。

 見た目、小学生と高校生の奇妙な状態をした二人に通行人は二度、振り替える。

 直接的に手が触れあっているわけではないが、過敏になった左腕は軽い痙攣を起こしていた。


(町を案内するって言ったって何処に行けいいんだ)


 セネス病を患ってから、外に出るのは家の周辺五分圏内ぐらいだ。


「ここのスーパーはお菓子が安い。品揃えも豊富」

「あれはなに?」

「床屋だね。おじいさんがやってるけど腕は良い」

「そっちは?」

「あぁ最近多いね移動販売。キッチンカーって奴か……何か食べる?」

「うん」


 スーパーの駐車場に作られた特設の飲食スペース。

 看板の写真にはメロンパンの間にソフトクリームが挟まれている。

 その名も“メロンパンソフト”と言うそのままのネーミングだ。

 一つ税込み六百円。


「マオ君。レフィが奢る」

「良いの?」

「レディファースト」

「……それ使い方違くない?」


 レフィは財布を取り出すと、黒いカードを取り出した。


「これで」

「ごめんなさい。カード使えないんですよぉ」


 店員の女性は申し訳なさそうに言った。


「むぅ……レフィ、コイン持ってない」

「僕が出すよ。好きなの選んで」

「大丈夫、ぼく? お金持ってる?」

「高校生ですけど!?」


 子供に見られて腹を立てるマオだったが財布の中には千円札しかなかった。

 結局、メロンパンソフトを一つだけ購入する。

 半分に分けて食べながら二人は町の探索を再開した。


「そっちペットショップは動物触れるよ」

「……マオ君。触れるの?」

「犬とか猫は人間じゃないから普通に大丈夫だよ。虫とか爬虫類系は、この病気とは関係なく無理」


 適当に色々な店を回ってブラブラするマオとレフィ。

 幼馴染みであるミツキのバイクで県外まで連れ出されることもあるが、自分の足で三十分以上も歩きで遠出したのは久し振りだ。


「なんか通行止め多いな」

「むぅ……アシダ……ケンセ、ツ?」


 まるで迷路の行き止まりのように、あちらこちらで先へ進めない道が多かった。

 世話しなく道路の補修をする土木作業員や、建物の改修工事があちこちで行われている一帯は重機の音が煩く奏でている。


「そう言えば昨日の女ロボット、テレビでニュースになってなかったよね」

「……じょーほーとーせー……?」

「何か言ったぁ!?」

「こっち行こ」


 レフィがぼそりと言った言葉を聞き取れずマオは聞き返すが、レフィはマオを引っ張って横道に入った。


 ◇◆◇◆◇


「……あっ、マオたち道変えたよ」

「もう少し距離を取ろう。見つかっちゃう」

挿絵(By みてみん)

 マオとレフィを離れた距離の物陰から見守る少女たち。

 ミツキとミヤビは、割り勘して買ったチョコメロンパンいちごソフト──税込み八百円──を半分こして食べながら二人を尾行をしていた。


「でもミャーちゃん。どうして隠れる必要があるの?」

「だって、その方が雰囲気でるじゃん」

「でも今すぐにでもマオを連れ戻そうよ」

「でもでも、ってうるさいよミツキちゃん! あの女の真意を確かめなくちゃいけないの!」


 ミヤビが年上のミツキに怒る。


「だって、あんな手錠を付けてマオが可哀想だよ」

「まーにぃはちょっとMっ気があるから問題ないよ。ミャーの調教のおかげ」

「調教て……」


 実際はただのちょっかいかける程度のことを誤解されるような表現で言うミヤビ。


「まーにぃをイジメていいのはミャーだけなんだから」

「本当に仲良いね」

「……ほら、追い掛けるよ! グズグズしてると見失っちゃう!」

「あ、待ってよ」


 颯爽と駆け出すミヤビ。

 ずば抜けた脚の早さでマオたちに気付かれそうなギリギリの距離まで近付いた。


「あっ……まっ、待ってえ……!」

 大声を出しそうになるミツキは小声で叫びながらミヤビを追い掛けた。


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