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第十話 黒い刺客とサムライガール

「……………………は?」


 一瞬、目の前に現れたものが何なのか頭で理解できず思考が停止する。

 先程の音から察するに空から降ってきたのだろうそれはコンクリートの床を砕いたその黒い人影はあまりにも非現実的だった。


『対象発見』


 ボディラインのハッキリした黒い衣装に見に纏ったサングラスの女性。

 口を全く動かさず、甲高い機械的な電子音の言葉を喋る。

 ズンズン、と重い音を立てて床を踏みしめる黒い女性は指先から電撃を迸らせて、真っ黒なレンズ越しにマオを上から下まで観察している。


「やっ……!」


 叫びそうになるのを堪え、マオは当てもなく駆け出す。

 何だかわからないが直感的に感じる危険な雰囲気からとっさに離れようとするが、マオが動き出していた時に黒い女性は尋常じゃない早さで眼前に立つ。


『コレヨリ、たーげっとトノ合体ヲ開始スル』

「……あぁっ……?!」

「マオ君、避けてッ!!」

 

 声に反応してマオは無意識に体を捻り、床に向かって思いきり飛び込んだ。


 たった数秒の出来事だが、マオに世界の時間がゆっくりとスローモーションになったかのような感覚。


「……れ、レフィ……?」


 屋上の扉が宙を舞う。

 そこから飛び出して来たのはレフィだ。

 黒い女性を鉄の扉ごと刀で両断した。


「むぅ……大丈夫、マオ君? 今すぐ離れよ」

「うっ、ああぁぁーっ!?」

 

 目の前で人間が真っ二つにされたのを間近で見てしまいマオは情けなく叫ぶ。


「マオ君、違う。これ人形……メカニカル」

「は…………えっ?」

 

 黒い女性の亡骸を引っくり返して断面を見せるレフィ。

 恐怖で顔を手で覆うマオは恐る恐る指を開いた。

 レフィの言う通り、確かにそれは中身が機械でぎっちり詰まったメカだった。


「ろ、ロボットかコレ……?」

「マオ君、狙われてる。間に合ってよかった」


 安堵するレフィ。

 その表情は普段のぼーっとした雰囲気とは違い、鋭い刃物のようにキリッとしていた。


「…………な、何なんだよこれは?!」

「うーん……わからない。サイボーグ、アンドロイド?」


 首をかしげるレフィ。


「わからない、ってちゃんと説明してくれよ!」

「When I was little, I saw you fighting on a robot ride on TV. My parents, Yusa Corporation, are trying to kidnap you. But it's okay. I will protect you at the risk of my life.」

「日本語でっ!」

「しっ…………マオ君、ここはレフィに任せて」

挿絵(By みてみん)

 レフィが何かを察知する。

 すると、再び奇怪な電子音と共に黒い女性アンドロイドが、今度はで四階ある校舎の屋上にまで昇ってきた。


『たーげっと発見』

『前方ニ武装シタ障害アリ』

「マオ行って、早くっ!!」

「あ……うん」


 刀を構えたレフィに急かされて、マオは出口に向かって走り出した。

 レフィが女性アンドロイドと激しくぶつかり合う音を背後に感じで階段を駆け降りる。

 何故、わけもわからない機械の怪物に狙われなければならないのか。

 心当たりを探してみるも皆目、検討がつかなかった。


「……って来たぁ!?」


 上の階段が破壊され、腕をドリルのように回転させながら女性アンドロイドはマオを凝視する。

 レフィによってやられたのか片足の先がなく、付けていたサングラスが壊れて中からカメラのレンズのような瞳がバチバチと火花を上げていた。


「くっ、レフィ……!」


 階段の崩落にマオは方向転換して二階、一年生クラスの廊下へと走る。


「皆ぁ、どいてどいてぇっ!!」


 騒然となる学校。

 ゆっくりとした足取りで進む女性アンドロイドを避けるように生徒たちが逃げる。


「なんだお前は?! どこから入ってきた!?」


 そこへ勇気ある男性教師の一人が女性アンドロイドを止めようと近付く。


『威嚇射撃ハ許可サレテイル』


 パパンパン、と乾いた音が鳴ると同時に教師の背後で窓ガラスが連続して割れる。 


「キャァァァァーッ!!」


 女生徒の悲鳴と共に生徒たちは一斉に逃げ出す。

 胸から煙を上げる女性アンドロイド。

 教師に傷は無かったが驚いて腰を抜かし、パクパクと口を動かすだけだった。


「銃もあるって、オイオイオイ……っ!?」

『対象ろすと。せんさーニ異常アリ、さーもぐらふぃーニヨル探知、不可能』


 目が破損しているせいでマオの場所を見失う女性アンドロイド。

 視線がこちらから離れている内にマオも逃げ出す。


「ここを抜けたら下の階段で外に出られる! でも、レフィは……ミツキは?」


 安堵すると同時に自分を守ってくれたレフィや、ミツキのことが心配だった。


「男として、それでいいのか……真宮眞央」


 立ち止まり考えるマオ。

 しかし、状況は更に一変するのだった。


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