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第一話 プロローグ~命がけの合体~

 思春期真っ盛りの男の子ならば、誰でも可愛い女の子にモテたいと思うことは当たり前にあるだろう。


 学校の色んな女子に告白されてハーレムを築きたい。


 毎日違う子と取っ替え引っ替え付き合いたい。


 自分を巡って奪い合いにまで発展して困っている……なんて大それた妄想をすることは誰でもあるだろう。


 しかし、そんな夢物語を妄想すら出来ない少年がいる。



 ◇◆◇◆◇


 見た目は小学生の様にしか見えない小柄すぎる十六歳の高校生。

 真宮眞央マミヤ・マオ──マオ──は死にかけていた。


 ◇◆◇◆◇



「ま、マオぉ…………」

「……マオ君、覚悟を決めて」


 真っ暗な一室に集まるマオたち三人。

 美少女二人がマオに急接近し、両サイドから迫る。

挿絵(By みてみん)

「……やろうよ、マオ」

「マオ君にしか出来ないことなんだよ……?」


 同じ学校の生徒でクラスメイトの二人。


 一人は長い髪を後ろに結った、赤い眼鏡の真面目そうな女の子でマオの幼馴染み。

 もう一人は日本人ではない、金色の瞳と雪のように白い肌を持つ不思議な雰囲気を放つ少女だ。


「どうする? いっそ……ワタシたちだけで……」

「それはダメ。マオと一緒に……三人じゃなきゃダメなんだから」


 そんな少女たちは高校生男子にしては小柄すぎるマオの両腕を、逃げられないようにがっちりと掴んでいる。

 腕に伝わる柔らかい感触と甘い匂いが鼻孔をくすぐる。


「はぁ……はぁ……はぁ……!」


 マオの顔が紅潮し、呼吸が荒くなる。

 それは美少女二人が密着して興奮しているからだけではない。


「マオ、私だって本当はマオと二人だけがいい……でも……」

「三人でやる……じゃなきゃダメ」

「……は、はぁ、はぁ、ひぃ、ふぅ、はぁ、はぁ……っ!!」


 二人に攻められてマオの呼吸は更に荒くなり、パタパタと頭から流れ出る汗で視界も歪んでいく。


 どうにか二人から離れようと思いきり腕を動かすも、小学生並であるマオの体格では振り切ることは出来ない。


 そうしている内に鼓動の音が少女たちに聞こえるのではないかと思うぐらい心拍数はドンドン上がっていき、まだ春先だと言うのに夏場のような発汗状態でマオの身体は大量の汗を全身から吹き出す。


「ふ、二人とも……はぁ…………本当に……止め……!」

 懇願するマオ。

 普通の男性にはご褒美みたいな状態が、マオにとっては命の危険に関わる。


 それがマオの持つ特殊な“病気”なのだ。

 

「ここで終わっていいの? マオなら出来るよ」

「日本ではこう言うとき……据え膳を食べないのは男の恥だ、って聞く」


 密着する少女たちが耳元で囁く。

 マオの耳はたちまち真っ赤になるが、顔は真っ青に青ざめる。


「はぁっ……はぁっ……で、でもっ! 僕……もうこれ以上は……っ!」


 言いかけて止めるマオ。

 嫌な想像が脳裏を過り、先の言葉を出すことをためらい絶句したのだ。


「マオ……!」

「マオ君……!」


 鼻先に触れるぐらい少女たちの顔が近付き、マオの頭は沸騰する。


 ここまでの時間、女の子に触れているのはマオの中での記録を大幅に更新してしまっている。

 既に我慢は限界に近く、何かが弾けそうな感覚があった。


 マオは死を悟る。


「うっ……うおおぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!」


 その時、見上げた闇の先に佇む“魔王”と目が合い、笑っている様に見えた気がした。


 ◇◆◇◆◇


 人生とは常に選択の連続だ。

 二者択一。

 いや、無数にある選択肢の中から、いかに最良の行動を取れるかが勝負である。

 

 どうして、こんな事態に陥ってしまったのか。


 時間は約一ヶ月前に遡る──。


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