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異世界召喚! 国王襲撃事件の余波

王様が襲撃されたがなんとか撃退した

 国王が俺の領内で襲われた。かなり組織的な集団、たぶんどこかの国の軍隊レベルの連中が、相当練られた計画で攻めてきた。

でも、襲撃事件の捜査は全く進まない。


 まず、自白。捕虜にした連中に、俺の作った自白液を飲ませて知ってることは全部白状させた。しかし、肝心なことは何一つ知らされていなかった。まぁそうだろうな。

襲ってきた賊の出身地はバラバラ。出身国は大体うちの国だが、少し外国人も混ざっている。うちの国の中でもほぼまんべんなく集められていた。

 割のいい仕事だと言って国の内外から集められ、窓のない馬車で移動させられ、どこか知らない荒れ野に野営してかなり厳しい訓練をしたらしい。教官から何から偽名だろうな。再び目隠しをされ、またも馬車で移動してうちの領に来た、と。

 数日も目隠しされていたら目がおかしくなるんじゃないかと思うが、そう白状した。よほど強力な洗脳されて心底そう思い込んでる可能性も考えたが、まあ、それはわからない。

 相手方に獣人でも混ざっていれば、どこの土地で訓練したか匂いでわかったりするんだが、あいにく唯人だけ。


 知らないことは白状できない。なんの新しい情報も入らない。


 で、物的証拠の持ち物にも特徴的なものはなかった。下着に至るまでうちの国で作られた物ばかり。金物類はドワーフにも見せたが、これといって特徴はない安物ばかりだそうだ。少なくともドワーフ族が作るようなもんじゃないんだそうだ。特に武器は人族の量産品だが産地までは分からない。


 もう、俺、全国民の指紋データベース作ったろか、ホンマ。指紋をもとに異世界ミステリーに立ち向かう異世界指紋フアンタジー勇者。無能勇者。


 自白物証ともにほぼ皆無。「証拠無しから襲撃まで、これだけのことが行える相手」以外にわかったことはない。

 まともな警察組織が常設されていないこの国では、只ですらうまくいかなそうな捜査は当然のように難航している。領軍はこういうのに不向きだしね。


 俺は王都へ呼び出される。革の魔物服を着て王都へジャンプ。王都にあるサトー館のジャンプ室で気が付いたんだが、このチョーラン、ここのサトー館ジャンプ室に置きっぱなしでよくね?

 物がない当初はどこでもこれ着ていたけど、最近は家の中では普通の庶民の服に着替えてる。固いからねこれ。

 王様に謁見する時の慣習として、この魔物服を着ている。


 それはそれとして、取り急ぎ王城にいってジョーサントス王に土下座。例によって俺と王の間には多数の人がいる。多分貴族だろう。みんながヒソヒソ話しをするんで結構うるさい。


「スンマセン、今度は何ですか?」

「サトーの領地で襲われたよな?俺。」

「スンマセンでした。」


「単騎で暴徒を撃退した功により、三級公爵に任じる。別紙の新領地および新領地開拓の助けとして毎年50万ジョーを渡す。

また、国王襲撃犯捜査官に命じる。速やかに主犯を特定し捕まえてこい。誰が領主かに問わず国王の寝室以外のすべての王国内の捜査権を授与する。また捜査のため、国王が指定するすべての路線に鉄道を敷くこと。


ジョーサントス王 」


「スンマセン、ちょっと待ってください!ありがとうございます。ありがとうございます。でも、ちょっと待ってください!

何重にも反対でございます。お聞きください!」


 しゃべりながら必死で考える、どうやって逃げよう?他の貴族の領内に権力振りかざして入っていったら恨まれるぞ。


「領内で暴徒を撃退したのは確かです。王様のおっしゃる通りですが領兵領民の協力があっての出来事で、単騎ではございません。どなたかが良かれと思ってお伝えくださったことだと思いますが、その場で見た事とは少し違います。」


「暴徒に向かった領兵領民を代表しておほめにあずかったとして。ありがとうございます。でも、おほめにあずかったとして、そもそも王様が襲われたのはうちの領内。お叱りも又うけねばなりません。スンマセンでした。


 これが前例になってはなりません。領内で国王襲撃すれば爵位が上がるなどと考える貴族はいらっしゃらないでしょうが、勘違いして王様を襲う者も出るかもしれません。もう一度お考え直しを。


 そもそも異世界の平民で、三級公爵が何かも存じません。


 ともかく、お褒めの言葉で光栄でございます。


 犯人もまだ見つかっておりません。お待ちを。お考え直しを。」


 土下座。


「なるほどなあ、今いる皆聞いたか?謁見の間にいても小声で話していて、聞いてなかった奴のために言う。」


(あー王様も小声ムカついてたんだ)


「余が、新たな爵位と加増、そして捜査を命じた。

コレは爵位を断った。

国王の意志を軽んじるとんでもない男だ。


 次の王命!


 爵位を取り上げ、辺境伯に戻す。領地も加増を取りあげる。


 また引き続き捜査を命じるが、すべてサトーの自費で行う事!重ねて命じる。鉄道を敷け。」


「へへー。ありがとうございます!ありがとうございます!」

硬い石の床の上で土下座したから膝が痛い。


 足は痺れてるの越えて感覚が無いから、エッチラオッチラ退出して廊下で寝転ぶ。無理すると骨折するからね。

 気が付いてポーション飲む。


「はぁ、疲れた。」


 偉くなるのと領地増やされるのは逃げたが、鉄道は逃げそびれた。まあ国王も線路が本筋だろ。どうせすぐ遊びに来るだろうからその時に聞こう。


 王宮を出て王都のサトー館に向かう。サトー館には三バカ貴族がいて、飯を食っている。初めて会った時に比べて倍に太ってるんじゃないか?前は痩せすぎ。今は中年太りくらい。


「「「サトー様、きょうはどうなさいました???」」」


「や、ちょっと、ごめん、今、急いでるから、2時間くらいしたら、あとで。スンマセン」


 ジエームスさんたちに集まってもらい、忘れないうちに覚えているやり取りを話し、メモをしてもらう。

「いやいや、殿、これはたいへんな事に。二つあります。


1.

 裏で連絡があり、内々の話の時に爵位お断りするならまずしも、謁見の間で他の貴族がいるところで王様に反論しちゃったんですよね。どう転ぶかわかりませんが、どう転んでもたいへんな事になります。

 二つ目はおってご相談します。殿はいますぐ領へ飛び、列車は明日の始発から全部止めて、領内に謹慎と称して厳戒体制敷いてください。3日あとに領軍全員待機。あとはロドリゲスがするでしょう。謹慎、です。


 例によってダミー馬車は領内へ戻しますのでお知りおきください。


では列車と領軍お願いします。」


「えっ?そんな?なんで?」


「そんなです。お早めにお願いします。殿がお戻りになるまでにやれることをやっておきますので、列車と領軍に指示したらすぐに戻ってきてください。」


 なんだかわからんが大変なことをしてしまったらしい。


とりあえず、領に戻って馬車隊長だったヘンリクさんに相談する。今は運輸大臣的な立場になって馬車列車運送全般見てもらってる感じ。

「スンマセン、明日の始発から列車止めてください。」


「わかりました。」ヘンリクさん満面の笑み。


「え?」


「わかりましたと申し上げています。列車の話だけではないんです。領外に泊まるはずだった職員呼び戻したり、細々としたことがあります。

 こちらはお任せください。始発から止める。わかりました。

 持って来れる装備も何もなるべく領内に戻します。」


「え?なに?そんななの?」


「待ってましたよ、殿。この日を。」全くかみ合わない。ヘンリクさんテンション高すぎ。


「殿はこれから忙しくなりますからサトー館に戻ってください。戻ってこいと言われてるでしょ。軍隊は何と?」


「うん、戻ってこいと言われてる。軍隊は3日あとから領軍全員待機。」


「さあさあ、行った行った。

ロドリゲスさんのところへ行ってください。今の殿の仕事は領軍集めて、そのあと、単身でジエームスさんのところへ戻ることです。


 行った行った。こっちもこれから戦場です!」


 追い出された。線路止めるの戦場なのか?こっちも???


 同じ階で執務中の代官さんに今までの話をする。こいつも大喜び。ガッツポーズは異世界にもあるのか。


「わかりました、領軍集めます。

 奥様にもお伝えして行政棟どうするか全体も考えます。


 はい。とにかく任せてください。殿の言葉でいうと『丸投げ上等』。


 時間あるときで結構ですんで、水やり油やり酒やりポーション配りをいつもより気持ち多めにお願いします。謹慎させますんで。謹慎。謹慎。」


 新しい町を追い出され、王都へ再び飛ぶ。


「さすが殿。あっという間に兵をまとめましたな?」

ジャームス氏感心する。


「え?領軍は明日のアルバイトをやめて集まって謹慎するようにロドリゲスさんに頼んだだけ、まとめてんの彼だから。


で、1. 他の貴族がいるところで王様に反論しちゃいけないのはわかったよ、まあ土下座してお願いしたら聞いてもらえた感じだったけどなあ。

で2は?」


「その前に殿、その時、王様は立ってました座ってました?棒かなにか道具を持ってらっしゃいました?」


「えっ、着くなり土下座しちゃったからよく見てないけど、いつもの椅子に座ってたかなあ。デカイ奇麗な。玉座?

 銀のうねうねの棒もってたかなあ。」


「アアアアーー わーーーーー!」

 日頃沈着ダンディイケオジのジエームスさんがパニックかヒステリーかとにかくそっち系起こしてる。肩を回して深呼吸。パニックのあと深呼吸も異世界にあるんだなあ。


「殿、それは一番格式の高い命令です。これに逆らうものはこの魔物を表す棒で倒す、そういう一番格式の高い命令で、それに逆らうものは国王が軍を率いて倒すんです。


 なんでどうして略式の謁見でそんなもん持ちだしたんですかねえ。殿相手にふざけて見せたんでしょうか。


 あー、館にも内密の連絡来てないです。」


「スンマセン。興奮して何言ってんのかちょっとわかんないけど、一番いい格式で命令したのね俺に。」


「そうです。一字一句命令を行う必要があります。今回は期限切られてませんよね?」


「記憶ないけど多分。」


「玉座から銀杖もって10日以内にコレをしろ、って言われたらコレがなんだろうと10日以内にしなきゃなんない、だから期限は区切らないものなんですが、しかし、昇爵命令断ったとなるとどうなることやら。

今回も正式な命令書が数日後に来ますから、それを見てからの対応でいいでしょう。


「そうかー、館に連絡なかったの、昇爵何回かことわってっから。俺から伝えときゃよかったな。」


「はあー?」


「10日おきぐらいにジョーサントス来てるの知ってるよね?」


「王都に住むものならたぶん誰でも知っている公然の秘密です。離宮まで建てたでしょ、殿。」


「あーアレは国王直轄領の離宮なんだけどね。」


「誰もそうは思ってません。」


「そうなの?で、来るたびに役人やれとか、冗談ばっかり言うんだよ。困っちゃってさー。今日なんか王城でいうから往生したよ。オウジョーなだけに。」


「殿――!

 冗談を言っている場合ではありませんぞ!」



 翻訳の指輪機能してよかった。


お読みくださりありがとうございます。


誤字の指摘いただき幸いです。引き続きお願いします。

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